夏休みのあいだ、毎日ロシア語・英語・サンスクリット語に触れようという連載企画です。
といってもどっさりやるのはめんどいですから、ロシア語とSKT(サンスクリット語)は毎日たった1文ずつ、英語は毎日1段落ずつです。
まだ夏休み前ですので、予告を兼ねたテスト回(Day0)です。それじゃ、どうぞ!
ロシア語
まずは、ロシア語の基礎を作った功績で崇められている大詩人アレクサンドル・プーシュキン(Александр Пушкин)(1799-1837)の詩を読んでいきましょう!
※難しい文法や分かりづらい表現を避けるため、原文から一部改めているところがあります。
まずはこちら… ≪Ты и вы≫(『君と貴方』) https://www.culture.ru/poems/5734/ty-i-vy
<文> Пустое ≪вы≫ сердечным ≪ты≫ она заменила.
<単語> пустой:空虚な【形】 сердечный:心のこもった【形】 заменить:(目的語)の代わりに(補語)を使う【V完了】
※ロシア語では引用符を「” “」ではなく「≪≫」と書きます。
<問題> それぞれの名詞・形容詞の格は?
<新出文法>
●不完了体と完了体:教科書P56を参照。英語で「完了」(~してしまった)を表すには、動詞を過去分詞に変化させて「have 過去分詞」を用います。しかしロシア語はそのような語形変化はせず、「完了」を表わす動詞を別に持ってきて用います。ですからロシア語は一つの意味に対して「完了」と「不完了(今まで習ってたやつ)」の2つの動詞が存在することになるのです(終わりの始まり)。
とりあえずこの連載では、【V完了】と書いていれば「完了」(してしまった)のニュアンスなんだなぁと思っておく程度でOK(になるように調節します)。
例:この文の「заменила」は「代わりに用いてしまった」くらい。1回限り、瞬間の動作を表します。
<答え> Пустое ≪вы≫ сердечным ≪ты≫ она заменила.
主語:赤
動詞:緑
O(目的語)(対格):青
C(目的語とイコールになる補語)(造格):オレンジ
ポイント1:「сердечным」が造格になっていますが、補語(英語のC)なら(主語とイコールになろうが目的語とイコールになろうが)造格なのです!
ポイント2:ここでのвыとтыは特定の対象を指す代名詞ではなく、「выという呼び方」「тыという呼び方」という抽象的な概念ですので、中性名詞扱いになってます(気にしなくてOK)。
<訳>「心のこもった『君』を、空虚な『貴方』の代わりに彼女は用いてしまった」
<補足>英語の完了形とロシア語の完了体はほとんど一緒なのだが、言語学的に厳密に言えば、英語の完了形は「完了相(perfect aspect)」であり、ロシア語の完了体の「完結相(perfective aspect)」とは異なるので注意されたい。英語の完了形は発話時点から見て完了していて、その結果が影響していることを示すものである。一方、ロシア語の完了体(=完結相)は時間軸とは一切関係なく、完了しているかどうかに重きが置かれる。
したがって、「現在からみて過去の経験を話す」(←「完了」の要素はないよね)というときには完了体ではなく不完了体を使う。
例:Have you seen this? = Вы это видели?
英語
19世紀末期のイギリスのSF小説『宇宙戦争』(The War of the Worlds)(H・G・Wells 作)を読んでいきます!
…ただ、わたしのこのサイトで3/4くらいはすでに連載していますので、残りの1/4をやっていきます。もし最初から読みたい人はこちら!→https://studyray.site/the_war_of_the_worlds_1-1/
今回は第7章28回(通算500話目)です。
ここまでのあらすじ:西暦1900年代初頭、火星の寒冷化によって地球への移住を決意した火星人らは、UFOに乗ってイギリス・ロンドン近郊に突如来襲した。火星人らはレーザー兵器とロボットを駆使し、当時地球最強のイギリス軍を壊滅させた。ロンドンをはじめイングランド南部は、完全に機能を停止したのである。しかし火星人は軍と政府を崩壊させただけでは終わらなかった。なんと火星人は人間を食料にするのである。発見されれば即座に狩られるという恐怖に駆られ、一市民の語り手(私)はイングランド中を逃げまどう。そんななか、ロンドン近郊の「Putney Hill」(パトニー・ヒル)でまだ生き残っている男に出会う。最初は彼の張り切った言動に勇気をもらっていた「私」だが、彼にはかなり妄想癖があることにうすうす気づきはじめている…。
問題編
From that, in answer to my questions, he came round to his grandiose* plans again. He grew enthusiastic. He talked so eloquently of the possibility of capturing a fighting-machine that I more than half believed in him again. But (of, quality, was, that, something, to, now, his, I, beginning, understand), I could divine* the stress he laid on doing nothing precipitately*. And I noted that now there was no question that he personally was to capture and fight the great machine.
grandiose壮大(非現実的)な divine占う・見抜く precipitately突然/軽率に
Q:青アンダーラインを並び替えると?
解答編
(From that), (in answer to my questions), he came round to his grandiose* plans again. He grew enthusiastic. He talked 《so eloquently》 of the possibility of capturing a fighting-machine that I 《more than half》 believed in him again. But 【now that I was beginning to understand something of his quality】, I could divine* the stress 〔he laid (on doing nothing precipitately*)〕. And I noted [that now there was no question 【that he personally was to capture and fight the great machine】].
now that(接続詞)
全訳
そこから、わたしの疑問に応えて、彼はまた夢物語に向かった。彼は熱狂的になっていった。火星の機械を捕まえられるかもしれないと、とても流暢に話すので、半分以上彼を信じ込んでしまった。だが今やいくらか彼の本質を理解し始めたのだから、何か急いでしようとしていることはないのだと見抜けた。そして彼がひとりであの巨大な機械と戦って捕まえるつもりであるということは疑問の余地もないのだと悟った。
SKT46
マハーバーラタの第७章१४६節(7章146節)をやりましょうか。ラピュタの雷(インドラの雷)が出てくるのでね。

※そういえば「シータ」姫だって、ラーマーヤナの登場人物ですよねぇ…。
धृतराष्ट्र उवाच
<ローマ字転写> dhRtarAShTra uvAca
※ローマ字転写において、長音記号などの補助符号がつく文字は大文字にしてます(例:ā→A、ṭ→T)
※結合文字 ट+र= ट्र なので注意
<単語>
धृतराष्ट्र (dhRtarAShTra):m. ドリタラーシュトラ王(盲目の王)(クル国の百王子=カウラヴァ 陣営)
√ वच् (√vac):言う【第2類動詞】
<新出文法>
サンスクリット語の動詞の体系は下表のようになる(受動態など、派生的な動詞は除く)。
今回のउवाच (uvAca)という形を文法的に長く説明すると、「完了組織 直説法 完了時制 能動態 三人称 単数」である(今後は「pf. act. sg. 3」などと略記するが…)。
完了体のつくり方は非常にシンプルで、「完了語幹+完了語尾」で形成できる。
⑴完了語幹の作り方は様々である。一般に、能動態・単数1/2/3人称とそれ以外では語幹が異なる(強語幹と弱語幹)が、基本的には語根(root, √)の最初を重字(重複)させる(例:√puSh → 完了語幹:強語幹pupoSh、弱語幹pupuSh)。
ただし今回の√vacは少し面倒な形で、強語幹uvAc、弱語幹Ucとなる。
⑵完了語尾は規則的である。教科書等を参照。

<文法>
धृतराष्ट्र (dhRtarAShTra) → dhRtarAShTra / m. sg. nom.
उवाच (uvAca) → √vac / pf. act. sg. 3
<訳>ドリタラーシュトラ王が言った。

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