Girls & Martians 第161話 「装甲艦は時代遅れかもしれません!」  【宇宙戦争 全訳】【入試 英文法 問題】

GuP_宇宙戦争_段落ごと

本シリーズは『宇宙戦争』を詳細に読解し、当時の時代情勢を読み解くことを目的としています。
実験的な試みとして、一部の登場人物の名前と代名詞を書き換えていますが、その他の単語や文章は変更しておりません。

『宇宙戦争』の全訳・英文法解説です。

第11章 第8段落

問題編

They seemed amazingly busy. I began to ask myself what they could be. Were they intelligent mechanisms*? Such a thing I felt was impossible. Or did a Martian sit within each, ruling, directing, using, much as* a man’s brain sits and rules in his body? I began to compare the things (  ) human machines, to ask myself for the first time in my life how an ironclad* or a steam engine* would seem to an intelligent lower* animal.

mechanism機構 much as~のように(≒as) ironclad装甲艦 steam engine蒸気機関車  lower劣った

1. オレンジのカッコ内に前置詞一語を入れると?
2. 赤のto不定詞の用法は?

デナリス
デナリス

というか、「intelligent lower animal」は火星人のことでいいんだよね。

ウェストリッジ
ウェストリッジ

だな。さすがにあんなのろまな火星人の姿(第51話)を見てたら、この段階ではlower(劣った)と見なすのも仕方ないじゃないか。まだロボットと火星人の関係もあいまいだしな。

デナリス
デナリス

まあね。

じゃあ、最終文はそうした火星人から見て、「地球のironcladやsteam engineはどう見えるだろうか」って言ってるわけね。

ウェストリッジ
ウェストリッジ

そういうことだ。

「steam engine」は「蒸気機関」でもいいかもしれないが、目に留まるものということで「蒸気機関車」としておこう。

そうすると「ironclad」は「装甲艦」だな。
…さて、久しぶりに軍事の話だ。

オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

装甲艦はその名の通り、鋼鉄で装甲を施した艦艇だぜ。

19世紀前半までは木造船だったが、鋼鉄装甲があると防御面で強いってことがわかってきて、建造が始まったんだ。

ステファニー
ステファニー

世界初の装甲艦をつくったのは、海軍王国イギリスじゃなくて、実はフランスですにゃ。
「グロワール(Gloire)」という艦で、1860年に就役しましたにゃ。

タージルム
タージルム

ただ、イギリスも翌年「ウォーリア(Warrior)」を就役させたりして、建艦競争が一気に加速していくのよ。

21世紀では博物館となっているWarrior(geni, CC BY-SA 4.0)
オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

そして、装甲艦が出てきてから初の本格的な海戦としてよく挙げられるのがリッサ海戦(1866)だな。イタリアVSオーストリアの海戦だ(イタリア負けちゃったけど)。装甲艦の威力が十分発揮され、木造艦は完全にオワコンになっちゃう。

シルカ
シルカ

ちなみに、このリッサ海戦でそれ以上にヤバいことがありまして、装甲艦のラムアタック(船の体当たり)が成功しちゃったんですよ。
それまで、普通は大砲がメインウェポンです。ラムアタックなんて無謀な突撃はしません。でもリッサ海戦でうまくいっちゃったんです。確かに装甲艦になると防御力が上がるから、大砲(従来のメインウェポン)の威力が相対的に弱くなってしまいます。でもだからといって突撃しますかね?

オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

あんたらが言うか。

シルカ
シルカ

ともあれ、次に本格的海戦が起こる日露戦争(1904)くらいまで、19世紀後半は船の先っぽに衝角(以下写真)をつける艦艇がメジャーでした。もちろん大砲も発展しますけど、ずっとリッサ海戦をひきずって「タイミングが合えば特攻しよう」みたいなこと考えるわけです。

ウェストリッジ
ウェストリッジ

あ、そうそう。ここで画面の向こうの皆さんへひとつ。

こうして今回も雑談を交わしているわけだが、今回の話は結構深くこの小説と関係してくるんだ。「19世紀後半のフネはラムアタックできるのが常識」ということは覚えておいてくれ。

タージルム
タージルム

ま、そうはいっても、砲や魚雷の技術は進化していくし、20世紀に入って日本海海戦やらを経験すると、結局ラムアタックは無理ってわかってくるんだけどね。
そして近代化するにつれて装甲艦という艦種もなくなって、ドレッドノート(1906年就役)をはじめとする戦艦の時代になっていくわ。

ともあれ、装甲艦も蒸気機関車も、20世紀には戦艦や電車に置き換わってしまうわね。最終文を見ると、H.G.Wellsさんがそこまで見通していたようにも思えてきちゃうわ。

解答編

They seemed amazingly busy. I began to ask myself [what they could be]. Were they intelligent mechanisms*? Such a thing 〔I felt〕 was impossible. Or did a Martian sit (within each), (ruling, directing, using), (much as* a man’s brain sits and rules in his body)? I began to compare the things to[with] human machines, to ask myself (for the first time in my life) [how an ironclad* or a steam engine* would seem (to an intelligent lower* animal)].

1. オレンジのカッコ内に前置詞一語を入れるとtoかwith。compare A to[with] B ですね。
2. 赤のto不定詞の用法はたぶん結果用法。ほとんどandと置き換えられる感じですね。

全訳

ロボットは驚くほど忙しそうだった。いったいあれは何なんだろうと自問し始めた。あのロボは知性を持った機構なのだろうか?そんな風に考えたりもしたがあり得るはずもない。ならば、頭の中にある人間の脳が体を支配しているように、火星人がその中に座って、操縦して指示を出し利用しているのだろうか? わたしはこのロボットと人間の機械を比べ始め、そして人生で初めて「装甲艦や蒸気機関車は劣った知的動物にとってどう見えるのだろうか?」と自問した。

オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

ラムアタックのきっかけとなったリッサ海戦については以下の動画が面白かったぞ。

プロの方の解説だから、ここのライトな解説よりももっと深いし、軍事に興味がなくても世界情勢など学べることは多いと思うぜ。

…イタリアはまだ統一したばっかりだ。散々に酷評されているが仕方ないな。

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