『宇宙戦争』の全訳・英文法解説です。
XII. WHAT I SAW OF THE DESTRUCTION OF WEYBRIDGE AND SHEPPERTON.
第12章 ウェイブリッジとシェパートンでの死闘です!

第12章のスタートね。
それにしてもタイトルながすぎじゃないかしら。
第12章 第1・2段落
これまでの/これからの『宇宙戦争』

ここは1908年の大英帝国だ。
第11章終了までに、ロンドンのベッドタウンにあたるウォーキングに3隻の宇宙船が着陸した。そして戦闘ロボに搭乗した火星人が付近のイギリス陸軍を蹴散らし、ウォーキングの街を壊滅させたってところだな。

ゴジラが鎌倉の海岸から現れて、横浜を灰にしたっていうイメージでOKですよ。

日本で例えるとそんな感じだ。
そして第12章からは、ゴジラが横浜から首都東京に向かうように、火星軍がウォーキングから首都ロンドンへ向け進撃を開始する。

ということは、いよいよ自衛隊VSゴジラのメイン戦闘シーンに相当する場面になるってことですね。

その通り。
ウォーキング周辺での戦闘は「小手調べ」だからな。いよいよ、人類最強のイギリス軍と、太陽系最強の火星軍の本格決戦だ。シン・ゴジラでの自衛隊VSゴジラのシーンにも劣らない「リアルな」戦闘シーンが展開されるぞ。
もちろん、その中でのヒューマンドラマを味わえるのもゴジラに通じる魅力だ。
生存キャラ紹介

そうしたドラマを展開していくわたしたち主要登場人物を紹介しよう。
まずわたしが小説の語り手にして主人公のウェストリッジ。社会学者で、雑誌等に寄稿して生計を立てている中産階級のウォーキング住民だ。そういう仕事上、小説中では周りの人々を少し醒めた目で見ている部分もあるが許してくれ。あと会話編では中二病とか言われているが…。
そんなことで担当国家はドイツ(←黒森峰)らしい。
第10章までは火星人のロボットとすれ違い死にそうになったり、死体や家の残骸を見たりとかなり精神的につらい面もあった。だが、第11章でウォーキングにあるわたしの自宅に入りミッちゃんと話をしたことで、少しずつ生きる希望が湧いてきたかもしれない。

ほいっ。続いてタージルムよ。
小説では語り手のリッちゃんの奥さん役となってるわ。戦争など夢物語だと思っている典型的なイギリス国民という役回りね。ということで担当国家はイギリス(←聖グロリアーナ)よ。
ここ数章はずっとレザーヘッドにある親戚の家に避難していて、なんとか生き延びているわ。

…こんにちは、そして念のため、おはようとこんばんは。
どうもミーカライネンだ。イギリス陸軍の王立騎馬砲兵隊に所属する馬車操縦手。
ホーセル共有地の戦いから這う這うの体で逃げ延び、第11章でリッちゃんと出会ったばかり。いまはリッちゃんの自宅にいるところなのだよ。
担当国家はフィンランド(←継続)ということにしたのだが、この役回りになった理由は下巻に突入したらわかるかもしれないな。
戦没キャラ紹介

なんだよ「戦没キャラ紹介」って。
…オギルヴィーナだ。イングランド一帯ではそれなりに名の知られた天文学者だと思う。あと実は火星人の宇宙船の第一発見者なんだぜ。ただ、ホーセル共有地で交渉の使者として立ったところ、レーザー光線を受けて秒殺されてしまったけどな。
担当国家はイタリア(←アンツィオ)だ。ちょうど火星の研究で有名な天文学者のスキャパレリ(第7話)って人がイタリアの人だからこの役にしてみたぜ。

うぃっす!ヘンスリーです!
ロンドンの新聞社に記事を送るジャーナリストとして働いてたんだけど、オギルヴィーナちゃんとかと一緒にレーザー光線でキルされたんだよねっ。
担当国家はアメリカ(←サンダース)だよ。ジャーナリストといえばアメリカかなぁ、くらいのノリなんだけどね。

にゃ。ステファニーにゃ。語尾が崩壊してるのは許してほしいにゃ。
王室天文官(the Astronomer Royal)っていうイギリス天文学会で一番偉い役職に就いてたにゃ。グリニッジ天文台の所長にゃ。でも、オギルヴィーナちゃんとヘンスリーさんと同じタイミングでレーザー光線でキルされちゃったにゃ。
ちなみに担当国家はフランス(←BC)にゃ。役職名に「Royal」ってついてるから、王妃(マリー)に近いにゃって思ってフランスにしてみたにゃ。

そして、シルカですっ!
わたしは「Spotted Dog」っていうパブの主人をしてました。でも火星人のロボから逃げてる途中に、爆風や混乱に巻き込まれて死んでしまったんですよね。詳しい死因は明らかになっていませんが…。
担当国家は日本(←知波単)です。突撃をした覚えはないですし、なぜこの役なのかはフィーリングとしか言いようがないんですけど。

最後に、ちゅーとはんぱな立場のデナリスです。
GuP原作では愛里寿、宇宙戦争原作ではDenningっていう名前です。Denningさんが隕石学会の「authority」(権威)として出てきたので、配役がここら辺に落ち着いた形です。
もちろん担当国家はないですし(強いて言うならイギリス?)、宇宙戦争原作でDenningさんは今後出てこないので亡霊みたいな存在になっていますが、ときどき会話編には顔を出すのでよろしく。
問題編
As the dawn grew brighter we withdrew* from the window from which we had watched the Martians, and went very quietly downstairs.
The artilleryman agreed with me that the house was no place to stay. She proposed, she said, to make her way Londonward, and thence* rejoin her battery*—No. 12, of the Horse Artillery. My plan was to return at once to Leatherhead; and so greatly had the strength of the Martians impressed me that I had determined to take my wife to Newhaven, and go with her out of the country forthwith*. For I already perceived clearly that the country about London must inevitably* be the scene of a disastrous* struggle before such creatures as these could be destroyed.
withdraw引く thenceそこから battery(砲兵)中隊 inevitably避けられず disastrous破滅的な
1. オレンジのandが繋いでるものは?
2. 青アンダーラインで誤っている部分を訂正すると?
3. 紫のandが繋いでるものは?
4. 赤アンダーラインの文型表示は?
5. 緑のandが繋いでるものは?

こちらが今回のMapだ。
わたしはこのとき、ターちゃんを連れて港町のNewheavenに行き、そこからヨーロッパ大陸の方に逃げ出そうとしてたんだ。

ほかに港町もあるのになんでNewheavenなんでしょう?

確かにわかんないな。
誰かわかったら教えてくれ。


ミッちゃんの所属部隊、ちゃんと細かく設定されてるのね。「her batteryーNo.12, of the Horse Artillery」と書いているわ。
「battery」は砲兵での「中隊」だったわね(中隊が行動単位)。
さて「No.12」というのが今回の気になるところだけど…ミッちゃん任せてもいいかしら?


はい、任された。
やっぱりこういうときは、イギリス陸軍軍事記録を見るのがいいのだよ。
https://digital.nls.uk/british-military-lists/archive/100739612

1ファイルがめちゃくちゃ重い(140MB)から、ダウンロードするのをお勧めするにゃ。

とりあえず、この物語が出版された1898年の記録と、物語中の1908年の記録を調べてみようか。Royal Horse Artilleryの編制に関係しそうなのは、1898年版でP157、1908年版でP245に載っているな(ページはPDFのページだ)。


たしかに本拠地として「Aldershot」の文字がところどころ見えるね!
(Aldershotからの軍がホーセル共有地に展開)


(上の方が1898、下の方が1908年の記録だ)
こちらの記録から見てわかる通り、「battery」(中隊)は、「No.12」といった番号ではなく、A, B, C…といったアルファベットで呼ばれていることがわかるかと思うぞ(いちおう、15年前の1883年までさかのぼって見たがすべてアルファベットだった)。

ちなみに、1908年の記録でローマ数字「XIV – Aldershot」などと書いてあるけど、これは「brigade」(大隊)に振られる番号ね。
ややこしいことなんだけど、1901年にRHAに組織改革があったのよね。それまではRHAの下に直接中隊(battery)があったんだけど、1901年以後はRHAの下に大隊(brigade)ができて、その下に中隊(battery)がある、という仕組みになったわ。そのせいで、ちょっと組織表が変わってるわけ。

ま、そういったややこしいことはこのさい置いておこうか。老後の楽しみに取っておけばいいさ。
いずれにせよ、小説中に書かれている「No.12 battery」というのは厳密には正しくないってことがわかってればOKだ。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
【As the dawn grew brighter】 we withdrew* from the window 〔from which we had watched the Martians〕, and went very quietly downstairs.
The artilleryman agreed (with me) [that the house was no place to stay in]. She proposed, 《she said》, to make her way Londonward, and (thence*) rejoin her battery*—No. 12, of the Horse Artillery. My plan was to return (at once) to Leatherhead; and so greatly had the strength of the Martians impressed me that I had determined to take my wife to Newhaven, and go (with her) (out of the country forthwith*). For I already perceived (clearly) [that the country about London must inevitably* be the scene of a disastrous* struggle 【before such creatures as these could be destroyed】].
1. オレンジのandが繋いでるものは、withdrewとwent。
2. 青アンダーラインでは、最後のstayのあとにinが足りません。「to stay in the house」という風に被修飾名詞に繋がらなければいけないので、inが必要です。
3. 紫のandが繋いでるものは、makeとrejoin。rejoinが原形(または現在形)ですからね。
4. 赤アンダーラインの文型表示は、the strengthがS、had impressed がV、meがO。so ~that構文で倒置が起こるときは「So~be S that~」という風にbe動詞がつくのがよく見る形ですが、今回のように「So~一般動詞疑問文」の形でも大丈夫ですよ。
5. 緑のandが繋いでるものは、takeとgo。
全訳
太陽が徐々に昇ってきたので、わたしたちは火星人を眺めていた窓から下がり、とても静かに一階に行った。この家にはもういられないとわたしが言ったら、ミッちゃんもうなずいてくれた。ミッちゃんはロンドンの方になんとかして進み、そこから自分の中隊ー第12砲兵中隊ーと合流するつもりだと言った。わたしの計画はというと、レザーヘッドにすぐ戻ることだった。火星人がいかに強大か甚だしく印象に残っていたので、ニューヘブンにターちゃんを連れて行って、すぐ一緒に国外に出ようと思っていた。というのも、こうした生き物を滅ぼすにあたってロンドン一帯で破局的な戦闘が起こるのは避けられないのだ、とわたしは既にはっきり悟っていたからだ。

悩むのは最終文「the country must be the scene of a disastrous* struggle before such creatures could be destroyed」(一部略)のところだな。
beforeを普通に「~の前に」と訳すと、「そういう生き物が破壊される前に、その地域は悲惨な闘争の光景になるに違いない」となって、悪いわけではないがしっくりこない気もする。
ここはbeforeがwhen/ifと似た感じで「~にあたって」「~の際には」として訳してあげるといいかもな。


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