『宇宙戦争』の全訳・英文法解説です。
第12章 第34段落
問題編
The decapitated* colossus* reeled* like a drunken giant; but it did not fall over. It recovered its balance by a miracle, and, no longer heeding* its steps and with the camera that fired the Heat-Ray now rigidly* upheld*, it reeled swiftly upon Shepperton. The living intelligence, the Martian within the hood, was slain* and splashed to the ( ) winds of heaven, and the Thing was now but a mere intricate* device of metal whirling* to destruction. It drove along in a straight line, incapable of guidance*. It struck the tower of Shepperton Church, smashing it down as the impact of a battering ram* might have done, swerved* aside, blundered* on and collapsed* with tremendous force into the river out of my sight.
decapitate頭部を切断する colossus巨人 reelよろめく heed気にする・注意する rigidlyしっかりと uphold支持する slay殺す intricate複雑な whirlぐるぐる回る guidance兵器の誘導 battering ram破城槌 swerve急にわきにそれる blunderぶつかる collapse崩れる
1. 紫のandが繋いでるものは?
2. オレンジのwith O CのCに当たる部分は?
3. ピンクのカッコ内に適切な数詞(one, two, three…)を入れると?
4. 赤のbutの意味は?
5. 茶色のasのカッコが終わるところは?
6. 緑のandが繋いでるものは?

マップにゃ。見事に撃沈にゃ。


今回は面白い単語がいくつかあるな。decapitate(斬首する)とslay(殺す)を取り上げてみようか。

それ、面白いっていうか、R18Gワードじゃないか。

R18はエロでもグロでも意外な事実が隠されてるもんだぜ。
まずdecapitateは語源的にはde+capit+ateだ。
「de」=「離す」なら知っている人も多いかもな。detach(引き離す)とかな。
「cap」=「頭」はシスタンにも載ってる有名語幹だ。cap(帽子), capital(首都), captain(キャプテン), cape(岬)あたりを挙げておけばイメージしやすいだろうか。
ということでdecapitateは「頭を切り離す」、つまり「斬首する」だ。ちなみに「クビを斬る(=解雇する)」という意味もあるぞ。

そしてslay(殺す)はslay-slew-slainというみょんな活用をする動詞だ。
lay-laid-laidとlie-lay-lainが混ざったみたいで気持ち悪いが、この機会にぜひ活用を覚えておこう。
slayは「スレイヤー」っていう言葉で見かけるな。デュエマではかつて闇文明でお世話になったものだ。

バディファイトは終わっちゃったけど、デュエマはまだ続いてるのよね。嬉しいかぎりだわ。
さて、本段落後半に登場するbattering ram(破城槌)は知っている人も多いかしらね。こんな兵器よ。


スピードをつけた丸太を城門に激突させて、城門を突破する兵器ね。

ラムアタックの「ラム」もこの「ram」だね!

ラムアタックについては第161話も参照してくださいな。
それでですよ。
「splashed to the ( ) winds of heaven」のカッコの中に入れる数は?
っていう問題、なんなんですか? 直訳だと 天の( )の風に分かれて飛び散った ってなりますよ。天にいたる風なんていくつあるっていうんですかぁ。

「heaven(天)」なんてあからさまなワードが出てるんだから、第116話よりはわかりやすいだろうけど。

あ、聖書ですね!

そのとーり。まずは概略から説明しよう。
聖書において「the four winds (of heaven)」は数か所に出てくる表現だ。「heaven」は聖書では「天国」というよりは「天」という意味で、「the four winds (of heaven)」で「天全体に吹く風」ということだ。東西南北の4方位すべてに吹くから「four」だな。
「four winds」の詳しい解説は右のリンクから。https://www.gotquestions.org/four-winds.html

ともあれ、聖書にある出典元を見ていくことにしよう。出典元のバージョンは「ESV(English Standard Version)」だ。
①ダニエル書7章2節 ②ダニエル書8章8節 ③ダニエル書11章4節 ④ゼカリヤ書6章5節
の計4箇所に「the four winds of heaven」という表現が見られ、「the four winds」だけなら、これらを含めて計10箇所記述がある。
すべて紹介すると大変だから、もっとも関係が深そうな①の紹介にとどめておくぞ。気になったら他は自分で調べてみてくれ。

あ、さぼってる。
①ダニエル書7章
ダニエル書(Daniel) 7章
[1] In the first year of Belshazzar king of Babylon, Daniel saw a dream and visions of his head as he lay in his bed. Then he wrote down the dream and told the sum of the matter. [2] Daniel declared, “I saw in my vision by night, and behold, the four winds of heaven were stirring up the great sea. [3] And four great beasts came up out of the sea, different from one another.
[1] バビロンの王ベルシャザルの元年に、ダニエルは床にあって夢を見、また脳中に幻を得たので、彼はその夢をしるして、その事の大意を述べた。[2] ダニエルは述べて言った、「わたしは夜の幻のうちに見た。見よ、天の四方からの風が大海をかきたてると、[3] 四つの大きな獣が海からあがってきた。その形は、おのおの異なり
英文引用元:https://www.esv.org/Daniel+7/

↑ダニエル書7章2節で「the four winds of heaven」は、四体の怪物を召喚する役割をもっているな(他のダニエル書の記述でも同じ役割)。『宇宙戦争』の現段落は残りのロボが4体になったところだから、数がぴったり合う。
そして、聖書中でこれらの怪物は、人々を誤った教えから解放し、「正義」「真理」「聖」を取り戻すために出現するぞ。

火星人ロボが「怪物」、イギリス帝国は「裁きを受ける側(特権階級)」に該当するわけですね!

そう考えていいだろう。
さらに、そうした怪物を出現させたこの「winds」は「風」というよりは、「魂」に近い存在だ。

この小説中でも「winds」を「魂」と見てあげると「天に召された」雰囲気も出てぴったりですね!
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
The decapitated* colossus* reeled* (like a drunken giant); but it did not fall over. It recovered its balance (by a miracle), and, (no longer heeding* its steps) and (with the camera 〔that fired the Heat-Ray〕 now rigidly* upheld*), it reeled swiftly upon Shepperton. The living intelligence, 《the Martian within the hood》, was slain* and splashed to the four winds of heaven, and the Thing was now but a mere intricate* device of metal whirling* to destruction. It drove along (in a straight line), (incapable of guidance). It struck the tower of Shepperton Church, 《smashing it down 【as the impact of a battering ram might have done】》, swerved aside, blundered on and collapsed with tremendous force into the river out of my sight.
1. 紫のandが繋いでるものは、(no longer) heeding…とwith…の2つの分詞構文。
2. オレンジのwith O CのCに当たる部分は「rigidly upheld」。
3. ピンクのカッコ内に入れるのはfour。上解説通り。
4. 赤のbutの意味は「~だけ」(≒only)
5. 茶色のasのカッコが終わるところはdone。
6. 緑のandが繋いでるものは、struck, swerved, blundered, collapsed。
全訳
頭部が落とされたロボの巨体は酔っぱらった大男みたいによろめいた。でも倒れはせず、奇跡的にバランスを取り戻した。ただ、足元に注意を向ける余裕もなく、レーザー光線を発射する「カメラ」だけをしっかりと支えて、勢いよくシェパートン方面にふらついていった。頭部に搭乗していた知的生命体の火星人は殺され、天の四方に召されていった。そしてあのロボットはもう、ぐるぐる回って壊れるだけの複雑な金属の装置でしかなくなっていた。操縦手もおらずまっすぐに進み、シェパートン教会の塔に激突し、破城槌のような衝撃を与えて塔を破壊した。そして、横に逸れ、つまずくようにすさまじい威力で倒れ、川に沈んで見えなくなった。

「the camera that fired the Heat-Ray」(レーザー光線を発射するカメラ)とあるのは面白い記述だ。第75話でも話してたが、このレーザー兵器は放物面鏡で焦点に光線を集めて発射する。だから「カメラ」なんだろうな。


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