『宇宙戦争』の全訳・英文法解説です。
第4章 第11段落
前提知識

「The barrow of ginger beer」(ジンジャービールを載せた手押し車)は第39話に出てたよね。

うん。「enterprising」(商才ある)と述べてるぞ。


さて今回も馬車の国イギリスの知識よ。上の写真で、馬の頭についてる給餌用の青い袋を「nosebag」(feedbagとも)というわ。この中にエサ(葉っぱ)が入ってるから日本語では「飼葉袋」と訳されたりするけど、21世紀の常識的に「餌袋」でいいかしらね。
nosebagには、周りがよごれなかったりエサの奪い合いを防げたりするメリットがあったのよ。


そしてこれからたまに登場する言葉として「ditch」(上写真)があるぞ。ネットの辞書では「溝」「水路」と書いてるのが多いけど、この小説中では都市の排水溝みたいな狭いものじゃなくて、ちょっと幅があるものだ。
日本なら田んぼの用水路が近いかな。一番近い訳語を当てはめるなら「明渠」「開渠」だ(難しい?)。水は入っていたり入っていなかったりする。
問題編
Everything was then quite invisible, hidden by the deep pit and the heap of sand that the fall of the cylinder had made. Anyone coming along the road from Chobham or Woking would have been amazed* at the sight*—a dwindling* multitude* of perhaps a hundred people or more standing in a great irregular* circle, in ditches*, behind bushes*, behind gates and hedges*, saying little to one another and that in short, excited shouts*, and staring, staring hard at a few heaps* of sand. The barrow* of ginger beer stood, a queer* derelict*, black against the burning sky, and in the sand-pits was a row* of deserted* vehicles* with their horses feeding* out of nosebags* or pawing* the ground.
amazed驚く sight光景 dwindle次第に減少する multitude群衆 irregularでこぼこな ditch溝 bush低木(前段落参照) hedge生垣 shout叫び heap山 barrow手押し車 queer不自然な derelict遺棄物 row列 desert見捨てる vehicle乗り物 feed食べる nosebag飼葉袋 paw地面を打つ
1. 紫のlittleの意味は?
2. 緑のone anotherの意味は?
3. 赤アンダーラインの訳は?
4. 茶色のandが繋いでるものは?
5. ピンクのandが繋いでるものは?
6. 青のアンダーラインの文型表示は?
7. 赤のwithの役割(用法)は?

Chobham、Wokingから宇宙船着陸地点(青色)までの地図をもっかい見せるよ!
かなり遠いから、多くがマイカー(馬車)で見に来てるってかんじ!

解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
Everything was (then) quite invisible, (hidden by the deep pit and the heap of sand 〔that the fall of the cylinder had made〕). Anyone 〈coming along the road from Chobham or Woking〉 would have been amazed* at the sight*—a dwindling* multitude* of perhaps a hundred people or more 〈standing (in a great irregular* circle), (in ditches*), (behind bushes*), (behind gates and hedges*)〉, 〈saying (little to one another) and that (in short, excited shouts*)〉, and 〈staring, staring hard at a few heaps* of sand〉. The barrow* of ginger beer stood, 《a queer* derelict*》, black against the burning sky, and (in the sand-pits) was a row* of deserted* vehicles* (with their horses feeding* out of nosebags* or pawing* the ground).
1. 紫のlittleの意味は「ほとんど~ない」。準否定語ですね。
2. 緑のone anotherの意味は「お互いに」。21世紀ではeach otherとほぼ置換可能です。
3. 赤アンダーラインの訳について、and that~は「しかも~」という意味です(熟語)。shortのあとのカンマはshortとexcitedを並列するカンマです。thatの用法とカンマの用法をしっかり判断していきましょう。特に一文が長いイギリス英語において、andの代用ではないカンマ(=パーツの区切り)のイメージ(ひと呼吸入れるイメージ)は大事です。
4. 茶色のandが繋いでるものは「standing」「saying」「staring」です。at the sightーのあとのsightの説明部分は、a dwindling multitude…standing, saying, and staringという構造になっています。訳すときには独立分詞構文(=stood, said, staredと、もとの動詞に戻して訳す)として解釈するといいと思います。「ー」の働きが微妙なので厳密には何とも言えませんが…。
5. ピンクのandは前後の2文を繋いでいます。まあ、まずSVが見えないといけませんね。
ただ、たいてい、カンマ+andは、大きなパーツを繋いでいます。先ほど言ったように一呼吸入れてるわけですから。
6. 青のアンダーラインの文型表示は上の通りです。andの前は、stand Cの第二文型で、andの後は、副詞+VSの第1文型倒置ですね。
7. 赤のwithの役割(用法)は付帯状況(独立分詞構文にwithがついた系のやつ)です。
全訳

…「standing in a great irregular circle」っていうのは、直訳だと「いびつな円の中に立っている」、つまり、宇宙船を囲んでる人の輪が後退して変な形になってるってこと。
あと「and that in short, excited shouts」は名詞構文で訳してあげるといいかも。
円筒が落ちたことで作られた深い穴と砂の山に隠されて、そのとき、あらゆるものがまったく見えなくなった。チョブハムやウォーキングからの道沿いに来た人は誰でも、目の前に広がる光景に驚いただろうーおそらく 100 人以上の集団はだんだん小さくなっていって、巨大でいびつな人の輪となり、明渠の内や低木のうしろ、門や生垣の背後に立っていた。お互いにほとんど言葉を交わさず、声を出したとしても短く興奮して叫ぶだけだった。そして熱心に見つめていたのは、数個の砂山だった。ジンジャービールを積んだ手押し車は、不自然に放っておかれてて、燃える空を背景に黒かった。そして砂地には捨てられた乗り物が並んでいて、その馬たちは餌袋から草を食べていたり、ひづめで地面を打っていたりした。

おや…車両がたくさん遺棄されている…
自走砲に改造できないかな?

…できるのは火砲の「運搬」だけ。
↓第一次世界大戦中のイギリス軍。18ポンド砲運搬の様子。


1ポンド≒0.45kgだから、18ポンド≒8.1kgの砲弾を撃てるってことね。

…ちなみに、イギリスの傑作現代戦車センチュリオン(1945)は17ポンド砲。

曲射(野砲)と平射(戦車砲)だし、その比較意味ない気もするのだが。


コメント