『宇宙戦争』の全訳・英文法解説です。
第5章 第19段落

…物語は面白くないけど、文法的には面白い回が続きます。

デナリスちゃん相変わらずたまにひどい…
問題編
The fear I felt was no rational* fear, but a panic* terror not only of the Martians, but of the dusk* and stillness all about me. Such an extraordinary* effect in unmanning* me it had that I ran weeping* silently as a child might do. Once I had turned, I did not dare to look back.
rational合理的な panicパニックの dusk薄暗闇(the darker part of twilight especially at night) extraordinary並外れた unmanning取り乱させる weep泣く
1. オレンジのbutが繋いでるものは?
2. 赤のところのonlyを別の単語で言い換えると?
3. 青アンダーラインの文型表示は?
4. ピンクのitが指しているものは?
5. 赤アンダーラインの部分の書き換えは? 【復習】
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
The fear 〔I felt〕 was no rational* fear, but a panic* terror not only 〈of the Martians〉, but 〈of the dusk* and stillness all about me〉. Such an extraordinary* effect 〈in unmanning* me〉 it had [that I ran weeping silently 【as a child might do】]. 【Once I had turned】, I did not dare to look back.
1. オレンジのbutが繋いでるものは「(no) rational fear」と「a panic terror」です。not A but Bの変形バージョンが使われてますね。rationalとpanicが対比されています。
2. 赤のところのonlyを別の単語で言い換えると、just, merely, simplyなどがあります。not only~but (also)…の構文はいくつか言い換えがありますよね。
3. 青アンダーラインの文型表示は上の通り。such an extraordinary effectがO、itがS、hadがVの、OSV 第三文型倒置です。OSV第三文型倒置は、Sが名詞でも代名詞でもOVSとはならないことを思い出しましょう。
あともちろん、suchとthatが呼応してsuch…that…(とても…なので…だ / …なほど…だ)構文です。元に戻すと It had such an extraordinary effect in unmanning me that I ran weeping silently ですね。It had so extraordinary an effect … that… と書き換えられます。
such that構文の倒置はSuch is S that…やSuch a 名詞 is S thatという風に、suchが文頭に出る第二文型倒置のことが多いですが、今回は第三文型だったのでちょっと戸惑った人も多いかもしれません。
4. ピンクのitは、第1文文頭の「the fear」ですね(もしくはそれに相当するa panic terrorもOK)。
5. 赤アンダーラインの部分のdareの書き換えは、did not dare to V≒did not dare V≒ dared not Vでしたね。第56話で出てきました。
全訳
わたしが感じた恐怖はまったくもって合理的な恐怖ではなく、火星人に加えて周囲の暗闇と静寂に対するパニックのような恐怖だった。その恐怖のせいで異常に取り乱してしまったので、わたしは子どものようにしくしく泣きながら走って逃げた。走り始めた後は、あえて振り返りはしなかった。

ちなみに「unmanning」には「男らしさを失わせる」という意味もあって、その結果「weeping silently as a child」(子供のようにめそめそ泣く)という風に繋がるのが原作本来の文脈だな(男ならそんな風に泣かないはずという常識が背後に隠れている)。
登場人物が全員女の子っていうこのサイトの設定では文脈が違ってきてしまうところだ。

こういう風に文脈が破綻するからこそ、逆に時代状況が浮かび上がってくるってわけね。
unmanningはあるけどunwomanningはめったにないし。

21世紀だったらunmanningなんて言葉はおいそれと使えないかもね。


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