『宇宙戦争』の全訳・英文法解説です。
第5章 第7段落

ここしばらく軍事関係の話がなくて退屈だったけど、そろそろ通常運転に戻っていくわ。

どっちが「通常」なのやら。


ま、まぁ、ともあれ久しぶりに馬車の紹介よ。上のような馬車が「cab」。馬車タクシーね。
21世紀になっても、タクシーのことをcabと言ったりするわ。

waggon, carriage, fly, basket-chaiseに続く5種目の馬車だな。そろそろこの小説に出てくるのだけで馬車大隊が作れそうだ。
…確かに馬車に大砲を乗っけるなんてアイデアは反動の点で無茶かもしれないけど、バリスタとか機関銃乗っけて爆弾撃ったりするのはどうだ?


また本編にはない変なことを考えて…。
ともあれ、本編始めるぞ。
問題編
Then I saw some cabmen* and others had walked boldly* into the sand-pits, and heard the clatter* of hoofs* and the gride* of wheels. I saw a lad* trundling* off the barrow* of apples. And then, within thirty yards of the pit, advancing from the direction of Horsell, I noted* a little black knot* of men, (whose, whom, waving, the foremost*, was, of, a white flag ).
cabman馬車タクシー(cab)の運転手 boldly勇敢に clatter騒がしい音 hoofひづめ grideきしむ音 lad若者 trundleゆっくり転がす barrow手押し車(参照) note気づく knot一団 the foremost先頭(の人)
1. 青のsawと紫のsawのそれぞれの意味は?
2. オレンジのandが繋いでるものは?
3. 赤アンダーラインの部分を「その先頭は白旗を振ってた」という意味になるように並び替えて。ただし一語不要です。

改めてマップですよ。
Horsellは久しぶりに出てきたね!


…そーいえばさ、「white flag」で白旗を上げてるってことは、この人たちもう降伏しようとしてるの? 戦ってもないのに?

べつに白旗は「降伏」の意味だけじゃないぞ。
本来的には、国際慣習法上、「戦闘の意思がなく、交渉を望む」っていう意味だ。

ちなみにハーグ陸戦条約(1899)でその慣習法が明文化されたのよ。
「An individual is considered a parlementaire who is authorized by one of the belligerents to enter into communication with the other, and who carries a white flag. He has a right to inviolability, as well as the trumpeter, bugler, or drummer, the flag-bearer, and the interpreter who may accompany him.」
ーHague Ⅱ, Chapter III, Article 32
和訳:「交戦者の一方が他方との交渉を行うため、白旗を掲げて来た者を軍使と規定する。軍使、及び、それに随従する喇叭手、鼓手、旗手、通訳は不可侵権を有す。」

とゆーことで、この白旗を振ってる人たちは火星人と交渉したがってる人たちだな。
でも、そんな地球内だけでの国際法、火星人に通じるわけないんだ…
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
Then I saw some cabmen* and others had walked boldly* into the sand-pits, and heard the clatter* of hoofs* and the gride* of wheels. I saw a lad* trundling* off the barrow* of apples. And then, (within thirty yards of the pit), (advancing from the direction of Horsell), I noted* a little black knot* of men, 〔the foremost* of whom was waving a white flag 〕.
1. 青のsawは後ろにSVが来てるので「わかる」「気づく」という意味です(※that節をとるseeには他にもsee (to it) that…「とりはからう」がありますが)。紫のsawはO Vingの形なので「見る」ですね(普通のやつ)。
seeやhearの目的語にthat節が来ると、understandやnoticeと似た意味になります。
2. オレンジのandが繋いでるものは「saw」と「heard」です。
3. 赤アンダーラインの部分の並び替えは上の通り(whose不要)。もとが「and the foremost of them was waving a white flag」で、関係詞として接続するときに、of の後ろだから whom という形になったのです。
非制限用法だからちゃんと文を切って訳しましょう。
全訳
その後、タクシー運転手などの人々が勇敢にも砂地へ歩いていってたのに気づいた。ひづめの騒音と車輪の軋みが聞こえた。若者がリンゴの手押し車をゆっくり転がしてるのが見えた。
そして、穴から 30 ヤード(≒27m)以内のところで、ホーセルの方向から進んでいると、黒い小さな集団に気づいた。そしてその先頭の人は白旗を振っていた。

ちなみにフランスでは白といえば王家の象徴なの。
写真のように軍艦にも掲げられていたのよ。


それにフランス国旗の三色旗だって、白い部分は王家の白から来てるのよ。



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