【宇宙戦争 テーマ】Girls & Martians 第75話 「放物面鏡で平行光線を撃ちます!」  【宇宙戦争 全訳】【入試 英文法 問題】

GuP_宇宙戦争_段落ごと

本シリーズは『宇宙戦争』を詳細に読解し、当時の時代情勢を読み解くことを目的としています。
実験的な試みとして、一部の登場人物の名前と代名詞を書き換えていますが、その他の単語や文章は変更しておりません。

Ⅵ. THE HEAT-RAY IN THE CHOBHAM ROAD.
第6章「チョブハム通りのレーザー光線です!」

『宇宙戦争』の全訳・英文法解説です。


第6章 第1段落 前半

振り返り・時代常識

オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

へぇい
第5章までを振り返っていくぜ

ウェストリッジ
ウェストリッジ

いまは1900年ごろ、大英帝国のウォーキング(ロンドンのベッドタウン)だ。
付近に火星人を乗せた宇宙船が着陸して、わたしたち人間は交渉を試みたけど、火星人はレーザー兵器を使って一方的に付近の人を虐殺したってところ。

ウェストリッジ
ウェストリッジ

つづいて登場人物紹介。
わたしウェストリッジはこの小説の主人公&語り手だぞ。しごとは社会学者。
この会話編ではドイツ帝国担当なのだ。ライヒに栄光あれ!

タージルム
タージルム

わたしはリッちゃんの奥さんのタージルム。
担当は悠久の大英帝国よ。

ヘンスリー
ヘンスリー

えっと、ロンドンでジャーナリストをしてたヘンスリーだよ!
わたし・オギルヴィーナちゃん・ステファニーさんとかが一緒に「代表団」となって火星人と交渉しようとしたんだけど、火星人のレーザー兵器をもろに食らっちゃった。
ということで語り手のリッちゃんはわたしたちが死んだって思ってるから、もう小説本編では出てこないよ(泣)。
ともあれ、ここ会話編ではアメリカ合衆国担当!よろしくね!

オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

うぃ、天文学者のオギルヴィーナだ。
わたしも小説ではもう出てこないけど、実は生き延びてたってことにしておこう。
ちなみに会話編ではイタリア王国担当だけど、最近は全然その要素もなくなっててつらたん。

ステファニー
ステファニー

グリニッジ天文台所長・王立天文官のステファニーですよ。
たぶん第5章までに出てきている登場人物の中で一番偉いです(ふふん♪)。
もう本文中では出てきませんよ。会話編ではフランス共和国担当です。

デナリス
デナリス

…デナリスです。
英国天文学会で一番偉いステファニーさんが出てきたので、英国隕石学の家元的なわたしはなんとも微妙な立場になってしまいました。まあ、小説中ではもう出てこないので大丈夫。
あとさ、わたしだけ会話編で担当国ないんですよね。その分自由にやってるけど。

ウェストリッジ
ウェストリッジ

ということで、以上登場人物(小説本編で今後も出てくるのはわたしとターちゃんだけ)。

さて、ここは1900年のイギリスだったけど、このころの世界情勢を振り返ってみましょ。

タージルム
タージルム

ええ。まずこの小説本編の根本的なテーマにもなってるけど、この時代は「帝国主義」がキーワードね。欧米列強がアジア・アフリカの植民地をひたすらに拡大していった時代。

「地図で読む世界史」,実務教育出版,2015, P71
デナリス
デナリス

…イギリスはもう少ししたら世界の4分の1を支配する大帝国ね(↓画像は1920年のイギリス版図)。でもその分、暴力的な支配もあったの。
イギリスが植民地にやってきた理不尽な支配を、逆にイギリスが受けたらどうなるのかな?っていうのがこの小説のひとつ大きなテーマとしてあるんだよね。

「地図で読む世界史」,実務教育出版,2015, P190
タージルム
タージルム

イギリスはこのころ、本国ではアイルランド全域も支配してたりしたのよ。
エジプトやローデシア(現ジンバブエ)を占領したり、アフリカ方面に特に勢力を伸ばしていってたの。

ステファニー
ステファニー

あら。この間のボーア戦争(1880-81,99-02)で南アフリカの現地人に惨敗してたのはどこかしら?

タージルム
タージルム

うるさいわね
そっちだってちょっと前に普仏戦争負けてたくせに

ステファニー
ステファニー

ふふん、戦争だけが華じゃなくてよ。
フランスは第三共和政で文化の黄金時代(Belle Époque)。エッフェル塔がこのころ立ったり、89年と00年にはパリ万博が開かれたりしたのよ。

デナリス
デナリス

…そうそうけんかしないでよ。
もうすぐ英仏協商を結ぶ仲じゃない(1904)。

タージルム
タージルム

べ、別に好きってわけじゃないんだからね
たまたま利害が一致しただけなんだから。

ウェストリッジ
ウェストリッジ

…さてところで、ドイツはその普仏戦争の勝利を経て、最近(1870年ごろ)統一されたばっかりだ。ポーランドを分割したりしてるからドイツ本国の版図は今より広いんだけど、植民地はほとんどないな。

Alvin Lee, CC BY-SA 4.0
オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

イタリアも40年前くらいに国内を統一したばっかりで、植民地が全然ないんだよな。

ステファニー
ステファニー

エチオピアに戦争しかけて負けてるもんねw

オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

だまってろ

ウェストリッジ
ウェストリッジ

なんか話が逸れてきたのでまとめると、いまは帝国主義の時代。各国が植民地のために弱きものを犠牲にしていった負の時代でもあるってわけだ。

タージルム
タージルム

つづいてイギリス本国のおはなし。

タージルム
タージルム

このころのイギリス(ヴィクトリア朝後期)は産業革命が成熟して、時代の最先端を行く「日の沈まぬ国」。鉄道網が整備されたり、工業人口が増えたりして、都市人口が急速に増えていったのよ。イギリスの上品で高貴なイメージ通りの時代でもあるわ。
ただ、1902年の日英同盟締結に象徴されるように、徐々に「戦争」に近づいている時代でもあるの。
ということでこのころのイギリスは、21世紀に近づいている一方で、誇り高き古の「英国紳士」要素も残してる時代なのよ。

デナリス
デナリス

ボーア戦争とかはあったけど、基本的にイギリスは小国や植民地を国力に任せて蹂躙していったの。大国との戦争はなくて、特に植民地から離れたイギリス本国では戦争の危機感はなかったわ(だからこそ、社会や文化が発展したし、貴族的「英国紳士」要素が残ってたわけ)。

そんなのんきな折に、火星人が攻めてきたら、そりゃあ大混乱よ。

ウェストリッジ
ウェストリッジ

イギリス本国の人は植民地の惨状を知らないのも同然で、口だけは高尚なことを言ってた。
だから、先住民を人と思わず交渉もしないくせに、自分たちは火星人と対等に交渉できるなんて思ってみすみす殺され、軍隊の配置も遅れたんだろうな。

タージルム
タージルム

ぴったりのイギリスのことわざがあるわ。
「Put yourself in someone else’s shoes.」(他人の靴を履いてみなさい)ってね。

問題編

ウェストリッジ
ウェストリッジ

内容が理系的にも文法的にも深いし長いから、1段落を前後半分けてるぞ。
後半は次の話で。

It is still a matter of wonder how the Martians are able to slay* men so swiftly* and so silently. Many think that in some way they are able to generate an intense* heat in a chamber* of practically* absolute non-conductivity*. This intense heat they project* in a parallel* beam against any object they choose, by means of* a polished* parabolic* mirror of unknown composition*, much as* the parabolic mirror of a lighthouse* projects a beam of light.

slay殺す swiftly素早く intense激しい chamber部屋・弾倉 practicallyほとんど conductivity伝導性(熱・電気) project発射する parallel平行な by means of~を使って  polish磨く parabolic放物線状の composition組成 much as≒in the similar way  lighthouse灯台 

1. オレンジのitが指すものは?
2. 赤アンダーラインの部分の意味は?
3. 青のManyの後に省略されてる言葉は?
4. 赤のtheyが指しているものは?
5. 青アンダーラインの部分の主語と動詞は?

タージルム
タージルム

「chamber」は「部屋」という意味もあるけど、「銃の弾倉」(弾を装填するところ)という意味もあって、ここは比喩的に使われてるのかもね。

ヘンスリー
ヘンスリー

さて理系のエブリバディならわかると思うんだけど、「parabolic mirror」(放物線鏡)を使って「parallel beam」を出すことの関係について。

ヘンスリー
ヘンスリー

平行光線がパラボラアンテナ・放物線状の鏡に入ってきたときには、反射してかならず特定の点(焦点)Fを通ります。

ヘンスリー
ヘンスリー

上のようなパラボラアンテナは、広い面積に降ってくる電波を反射させて焦点に集め、焦点に受信機を置くので、信号が大きくなるってわけです。

https://www.enschrage.nl/tech/1reflectors.html
ヘンスリー
ヘンスリー

そして逆に、焦点のところに光源を置けば、光は平行に進んでいきます。
平行光線の何がいいかというと、普通の拡散光線が距離の二乗に反比例して弱まっていくのに対して、平行光線はそのままの明るさで進んでいきます。だから、遠くまで同じ明るさで届くんです。
ということで火星人も、焦点のところに兵器を置いて、放物線状の鏡で平行光線にすることで、遠くまで威力が減衰しない熱線を飛ばしてるってわけですね。

デナリス
デナリス

なるほど。今のレーザー兵器(光を鏡とかで絞って高エネルギーにして一点に集中)と仕組みは似てるわけね。

オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

あと補足として、普通にパラボラを使うだけだと、反射しなかった光(そのまま出ていった光)はそのまま拡散されるから、エネルギーが無駄になりやすい。
(ここではおそらく簡略化されてるんだろうけど)本文中で「much as the parabolic mirror of a lighthouse」とあって、灯台でも同じシステムで平行光線を飛ばしてるって書いてるけど、実際の灯台では複数のレンズ・パラボラ・球面鏡を組み合わせてたらしいな。
参考:https://www.enschrage.nl/tech/1reflectors.html
ということで、火星人だってひょっとしたら減衰をなるべく防ぐように作ってたのかもな。

ステファニー
ステファニー

そういえば、「chamber of non-conductivity」(電気伝導性がない発射装置)ってあるけど、これはいったい何なのかしら。レーザー砲で電気を使うのはあるけど、逆に使っちゃダメなのは知らないわ。

タージルム
タージルム

あ、この伝導性は電気伝導性じゃなくて、熱伝導性だと思うよ。
エネルギーの損失を抑えるための断熱容器ってことね。

解答編

It is still a matter of wonder [how the Martians are able to slay* men so swiftly* and so silently]. Many think [that (in some way) they are able to generate an intense* heat (in a chamber* of practically* absolute non-conductivity*)]. This intense heatO theyS projectV* (in a parallel* beam) (against any object 〔they choose〕), 《by means of* a polished* parabolic* mirror of unknown composition*》, (much as* the parabolic mirror of a lighthouse* projects a beam of light).

1. オレンジのitはhow以下ですね。itー関係詞の形式主語です。
2. 赤アンダーラインの部分について、「of 抽象名詞」で形容詞みたいな役割ですよね。matterは多義語ですが、a matter of~の形ではたいてい「問題」「事柄」と訳します。a matter of great concernで「たいへん重要な問題」「大きな心配事」ですね。
ここでは of wonder=wonderfulなので、a matter of wonderで「不思議なこと」です。
3. 青のManyの後に省略されてる言葉はpeopleです。
4. 赤のtheyが指しているものは「the Martians」です。
5. 青アンダーラインの部分は、カッコにくくっていくといつの間にか主語も動詞も消えていると思います。そんなときは、OSVの第三文型倒置をちょっと疑ってみましょう。This intense heat they projectが名詞+名詞+動詞の形なので、This intense heat 〔they project〕のように、they project節がつい関係詞節だと思ってしまいがちです。というかふつうはそうです。でもどうしようもない場合は、OSVの形なのかなぁと思うしかありません。

全訳

どうやって火星人が人々をとても素早く静かに殺せたのかということは、いまだに不思議なことだ。多くの人々は、ほぼ完全に熱伝導性がない区画の中で、何らかの方法で火星人は強力な熱を生み出せるのだと思っている。灯台の放物面鏡が光線を放つのと同じように、火星人は謎の構成物質でできている磨かれた放物面鏡を使って、選んだどんな物体に対しても平行光線としてこの強力な熱を放つのだ。

デナリス
デナリス

思うんだけど、放物線と平行光線の話って、相当理系レベル高くない?
21世紀の日本なら高校(数Ⅲ)でちょっと出てくるかなってとこだよね。
それを平然と書いてるのすごいとおもうんだ。
まあ、9割の人はしれっと読み飛ばすんだろうけど…。

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