Girls & Martians 第101話 「ロンドン市民は無関心です!」  【宇宙戦争 全訳】【入試 英文法 問題】

GuP_宇宙戦争_段落ごと

本シリーズは『宇宙戦争』を詳細に読解し、当時の時代情勢を読み解くことを目的としています。
実験的な試みとして、一部の登場人物の名前と代名詞を書き換えていますが、その他の単語や文章は変更しておりません。

『宇宙戦争』の全訳・英文法解説です。


VIII. FRIDAY NIGHT.
第8章 金曜夜のお話です!

第8章 第1段落

振り返り

ウェストリッジ
ウェストリッジ

さて、このころの世界情勢を整理しておこう。

タージルム
タージルム

ここは1900年ごろのイギリス。「英国紳士」の上品さがあるヴィクトリア朝末期で、産業革命が成熟し近代化がほぼ完了していたわ(鉄道網の拡張など)。
このころは世界の覇者となり、「光栄ある孤立」を掲げていた時代よ。

ウェストリッジ
ウェストリッジ

そうした光り輝く時代であるいっぽうで、急速な近代化による都市環境の悪化や、植民地拡大にともなう先住民の虐殺・強制収容、大義なき戦争といった暗い部分もあったのだ。

タージルム
タージルム

こうした負の部分は自国だけでは治せないけど、イギリスは世界の最先端&最強の国だから他の国がイギリスを助けたり倒したりすることはできないの。
だから『宇宙戦争』では未来技術を持った「火星人」を登場させイギリスを滅ぼしてもらうことで、平和と優越を享受してきたイギリス国民に変革を促しているという見方もできるわね。

デナリス
デナリス

だから、この物語は「絶望の物語」でなければいけないの。イギリスが掲げる「正義」の傲慢と欺瞞を暴くために。「絶対正義」のイギリスが火星人をコテンパンにする物語なんて、そんなの陳腐なスーパーヒーローのアニメよ。
「正義の味方」がボコボコにされるからこそ、逆転の痛快さがあるのよ。
そして、絶望の先に、新たなステージでの「希望」の未来があるの。絶望と敗戦を経ないと、人も国も成長しないのよ…。

オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

さすがボコミュージアム常連!

ステファニー
ステファニー

さて、第7章までのあらすじを簡単に説明しとくと、火星人がホーセル共有地で周囲の人々を大虐殺して、リッちゃんは命からがら家に逃げ帰ってきたってところでしたね。

問題編

The most extraordinary* thing to my mind, ( ) all the strange and wonderful things that happened upon that Friday, was the dovetailing* of the commonplace* habits of our social order with the first beginnings of the series of events that was to topple* that social order headlong*. If ( ) Friday night you had taken (compass) and drawn a circle with a radius of five miles round the Woking sand-pits, I doubt if you would have had one human being outside it, unless it were some relation* of Stephanie or of the three or four cyclists or London people lying dead on the common, whose emotions or habits were at all affected by the new-comers. Many people had heard of the cylinder, of course, and talked about it in their leisure*, but it certainly did not make the sensation* that an ultimatum* to Germany would have done.

extraordinary異常な dovetai…with~と適合する・つながる commonplace普通の topple転覆する headlongまっさかさまに・根底から relation関係 leisure暇な時間 sensationセンセーション・大騒ぎ ultimatum最後通牒

1. 灰色のカッコ内に入る前置詞一語は?(ヒント:「~のうち」)
2. オレンジのカッコ内に入る前置詞一語は?
3. 赤の「compass」とあるけど、「コンパス1本」となるように語を補って正しく書き換えると? 
4. 紫のandが繋いでるものは?
5. 赤のアンダーラインはどういうこと?
6. 青のorが繋いでるものは?
7. 茶色のnew-comersとは?
8. 緑のandが繋いでるものは?
9. ピンクのitが指しているものは?

タージルム
タージルム

火星人がいるsand-pitから実際に5マイル(≒8㎞)の円を書いてみたところよ。
というかそろそろ1マイル≒1.6㎞は覚えなさいよね。
ともあれ、この円は火星人を見に来た人たちの出身地の、Chobham・Ottershaw・Chertsey・Wokingがちょうどぴったり入るサイズ。円周は16㎞×3.14≒50.24㎞だから、一周35㎞の山手線よりも広い範囲ということになるわ。

デナリス
デナリス

参考までに、皇居を中心に半径8㎞の円を書くと以下のようになるの。
有明もちゃんと含まれてたり。
詳しくは以下の便利なサイトで自作してみてね。
https://www.nanchatte.com/l/circleService.html

解答編

The most extraordinary* thing 〈to my mind〉, 《of all the strange and wonderful things 〔that happened (upon that Friday)〕》, was the dovetailing* of the commonplace* habits 〈of our social order〉 with the first beginnings of the series of events 〔that was to topple* that social order (headlong*). 【If (on Friday night) you had taken a pair of compasses and drawn a circle 〈with a radius of five miles (round the Woking sand-pits)〉】, I doubt [if you would have had one human being outside it], 【unless it were some relation of Stephanie or of the three or four cyclists or London people lying dead on the common, 〔whose emotions or habits were (at all) affected (by the new-comers)〕】. Many people had heard of the cylinder, 《of course》, and talked about it (in their leisure*), but it certainly did not make the sensation* 〔that an ultimatum* to Germany would have done〕.

1. 灰色の前置詞一語はofですね。「最上級…of all~」のパターンです。
2. オレンジのカッコ内に入る前置詞一語は、「on」です。特定の日の朝昼夜はonをつけるんでしたね。
3. 赤が「コンパス1本」となるように語を補って正しく書き換えると、a pair of compassesですね。コンパスもハサミと同じで手が2本あるので、ハサミ1つを「a pair of scissors」と言うのと同じように使います。compassesは常に複数形で、a pair of, two pairs of…という風に数えます。他にshoes, trousersとかとも一緒ですね。
4. 紫のandが繋いでるものは、takenとdrawnです。過去分詞。
5. 赤のアンダーラインは、半径8㎞の円の領域の外から来た人は誰もいないだろうということ。遠くからわざわざ火星人を見に来る人なんて誰もいないよってことです。
6. 青のorが繋いでるものは、of Stephanieとof the three or four cyclists or London peopleですね。
7. 茶色のnew-comersは、火星人(the Martians)のことです。
8. 緑のandが繋いでるものは、heardとtalkedです。
9. ピンクのitが指しているものは、抜き出すとしたら「the cylinder」。火星人が来たということです。that以下じゃないですよ(thatはただの関係代名詞)。

全訳

金曜日に起こった奇妙でびっくりするようなことのうち、わたしの中で最も異常なことは、社会秩序の中でのいつも通りの習慣と、社会秩序を根底からひっくり返すことになる一連の出来事の始まりが、切れ目なく繋がっていたということだった。金曜の夜にコンパスを取り出してあのウォーキングの砂地を中心に半径5マイルの円を描いたとして、その円の外の地域からホーセル共有地に来た人がいたかどうかは怪しいものだ。共有地で亡くなったステファニーさんや少数のサイクリスト・ロンドン市民にかかわりがある人を除けばの話だが。そうした人たちは感情と習慣が火星人に強く影響されていたのだ。もちろん、火星人の円筒のことは多くの人が聞いていたし、暇な時間に話のタネにしていた。でも、ドイツに最後通牒をたたきつけるほどの大騒ぎになることは絶対になかった。

タージルム
タージルム

最後は、逆に言えば「ドイツへの最後通牒は大騒ぎを巻き起こすはず」ってこと。この当時の大英帝国は世界最強の国で「光栄ある孤立」を保って、他の列強との同盟・直接戦争は避けてきたわ。そんな平和なイギリスが、ドイツに最後通牒をたたきつけるなら、きっと大騒ぎになるだろうってことよ。(※仮定法だから実際には出してないけど)

オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

皮肉なことに、H・G・Wellsさんのこの言葉はまもなく世界大戦で現実となるのでしたとさ。

デナリス
デナリス

ともあれこの段落では、周辺の人以外のイギリス国民は、火星人なんてどうでもいいって思ってた、ってことを言ってるのよ。植民地でのひと騒動と同じように考えてたんじゃないかしら。

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