Girls & Martians 第116話 「王立工兵さんたちの作戦会議です!」  【宇宙戦争 全訳】【入試 英文法 問題】

GuP_宇宙戦争_段落ごと

本シリーズは『宇宙戦争』を詳細に読解し、当時の時代情勢を読み解くことを目的としています。
実験的な試みとして、一部の登場人物の名前と代名詞を書き換えていますが、その他の単語や文章は変更しておりません。

『宇宙戦争』の全訳・英文法解説です。


第9章 第7段落

問題編

ウェストリッジ
ウェストリッジ

鉄道橋の下で、数名の王立工兵(sappers)さんたちが会話してる場面だ。会話文だから難しいが、何が省略されているかを考えながら読み進めていこう。
実際に声に出してみると、何が省略されてるのかわかりやすいな。「ha’ been」なら「はびーん」って感じだから「have been」だなってわかったり、「rush ‘em」や「calls ‘em」とか「s系の音+’em」は「them」だってわかったり。

ヘンスリー
ヘンスリー

それと、ain’tはhaven’t, isn’tとか万能だったね!

“Crawl* up under cover* and rush* ’em, say I,” said one.
“Get aht!” said another. “What’s cover against this ’ere ’eat? Sticks* to cook yer! What we got to do is to go as near as the ground’ll let us, and then drive* a trench*.”
“Blow yer trenches! You always want trenches; you ought to ha’ been born a rabbit Snippy*.”
“Ain’t they got any necks, then?” said a third, abruptly*—a little, contemplative*, dark* girl, smoking a pipe.
I repeated my description.
“Octopuses*,” said she, “that’s what I calls ’em. Talk about fishers of men—fighters of fish it is this time!
It ain’t no murder killing beasts like that,” said the first speaker.
“Why not shell* the darned* things strite* off and finish ’em?” said the little dark girl.“You carn tell what they might do.”
“Where’s your shells?” said the first speaker. “There ain’t no time. Do it in a rush, that’s my tip*, and do it at once.”
So they discussed it. After a while I left them, and went on to the railway station to get as many morning papers as I could.

crawlはう under cover隠れて rush突撃・急襲する stickくっつく drive掘る trench塹壕 Snippyスニッピー(この兵士の人名か?) abruptly不意に contemplative瞑想にふける dark黒っぽい髪の octopusタコ shell砲弾を撃ち込む darnedここではdamned(いまいましい) strite:ここではstrikeだと思いましょう。 tip助言 

1. オレンジのahtを文語体に直すと? ※ドイツ語のアハト(acht)(8)ではない
2. 赤アンダーラインの部分の訳は?
3. 緑のyerを文語体に直すと?
4. 紫のlet usの後に省略されてる語句は?
5. 灰色のandが繋いでるものは?
6. 青マーカーの訳は
7. 青アンダーラインの訳は? 【ヒント①:fishers of menって何?】【ヒント②:「ー」以降の文型表示は?】
8. 赤のitが指しているものは?
9. ピンクのthatが指しているものは?
10. 茶色のandが繋いでいるものは?
11. 黄色のcarnを文語体に直すと?

タージルム
タージルム

最初の方、「heat」って書いてるけど、火星人のまわりの林は衝突の爆風で炎上して、地面からまだ煙がくすぶっているという状況。そりゃあ地面は熱いはずね。森だから地面にも燃えるものがたくさんあるだろうし…

ヘンスリー
ヘンスリー

そうだね!「Sticks to cook yer.」(The ground sticks and cook youあたりの省略)のとこかな。はいつくばって前進したら、熱い地面とずっと体がくっついているから、あたかもフライパンの上みたいに調理されちゃうってこと!
「Blow yer trenches」は、その前の「drive a trench」とほぼ同じ内容を反復してると見ていいかな?

ウェストリッジ
ウェストリッジ

いいんじゃないか。

さて次に、設問にもなってるけど、「Talk about fishers of men—fighters of fish it is this time!」の部分について。
ダッシュ以降の文型が、fighters of fish=C、it=S、is=Vの、CSV第2文型前置ってことを把握するのがファーストステップ。

オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

それがわかったら、「fishers of men」と「fighters of fish」の対比が見えるから、あとは普通に「人間の釣り人の話じゃなくて、今回は魚の戦士だな!」っていう訳じゃないのか?

ウェストリッジ
ウェストリッジ

そうそうそこが対比。でもその訳だけでは意味わかんなくないか?

オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

たしかに、釣り人の話はいままでにどこにも出てきてないな。

ウェストリッジ
ウェストリッジ

英文学には、聖書が常にバックグラウンドにあるんだ。

聖書の知識が何の前触れもなくポーンと出てくるから、非キリスト教民にとってはわけのわからない文章が書かれる。ちょっと微妙だけど、第6話にも「apostles of mercy」(慈悲の使徒→主唱者)というフレーズが登場してきたな。

それじゃ、fishers of menについてはターちゃんにバトンタッチ。

タージルム
タージルム

かしこまっ☆
まずは、「fishers of men」が出てくる聖書の一節を見てみましょ。
いくつかの福音書に載ってるけど、今回は一番要約されてる「マタイによる福音書」で。

18 While walking by the Sea of Galilee, he saw two brothers, Simon (who is called Peter) and Andrew his brother, casting a net into the sea, for they were fishermen. 19 And he said to them, “Follow me, and I will make you fishers of men.” 20 Immediately they left their nets and followed him. 21 And going on from there he saw two other brothers, James the son of Zebedee and John his brother, in the boat with Zebedee their father, mending their nets, and he called them. 22 Immediately they left the boat and their father and followed him.

「マタイによる福音書(Matthew)」第4章 English Standard Version
引用元:https://www.christianity.com/bible/esv/matthew/4

18 さて、イエスがガリラヤのうみべをあるいておられると、ふたりの兄弟きょうだい、すなわち、ペテロとばれたシモンとその兄弟きょうだいアンデレとが、うみあみっているのをごらんになった。かれらは漁師りょうしであった。19 イエスはかれらにわれた、「わたしについてきなさい。あなたがたを、人間にんげんをとる漁師りょうしにしてあげよう」。20 すると、かれらはすぐにあみてて、イエスにしたがった。21 そこからすすんでかれると、ほかのふたりの兄弟きょうだい、すなわち、ゼベダイのヤコブとその兄弟きょうだいヨハネとが、ちちゼベダイと一緒いっしょに、ふねなかあみつくろっているのをごらんになった。そこでかれらをおまねきになると、22 すぐふねちちとをおいて、イエスにしたがってった。

「マタイによる福音書(Matthew)」第4章 日本語訳
タージルム
タージルム

ここでの「fishers of men」ってのは日本語では「人間を捕る漁師」と訳されて、簡単にいえば、人々にキリスト教を布教する「宣教師」「伝道師」のことね。
ちなみに、「fishers of men」の「of」を「捕る」と訳していいのかという問題だけど、他の福音書で同じことを言っているところを探すと、「you will be catching men」(ルカによる福音書5章,ESV)とあるから、「fishers of men」は「人間の漁師」じゃなくて「人間を捕る漁師」で間違いないわ。

タージルム
タージルム

ともあれ、「Talk about fishers of men—fighters of fish it is this time!」のところは、こういう聖書の一節を踏まえて、fishersとfightersで韻を踏んだパロディを作ってるわけね。
以上のことを考えると、「fishers of men」が「人間を捕る漁師」だから、対比されている「fighters of fish」は「魚戦士」ではなくて「魚を捕る戦士」とすべきね。

そうすれば、タコ=魚を捕る戦士 ということで意味が通るんじゃないかしら。

ウェストリッジ
ウェストリッジ

ありがと。

ということで、英文は聖書を参考にしないと誤読しうるよっていう話だ。

ひょっとすると今までのわたしたちの解説でも見落としてたところがあったかもだが…。

解答編

“Crawl* up (under cover*) and rush* ’em, 《say I》,” said one.
“Get aht!” said another. “What’s cover (against this ’ere ’eat)? Sticks* to cook yer! [What we got to do] is [to go (as near as the ground’ll let us), and then drive* a trench*].”
“Blow yer trenches! You always want trenches; you ought to ha’ been born a rabbit Snippy*.”
“Ain’t they got any necks, then?” said a third, abruptly*—a little, contemplative*, dark* girl, (smoking a pipe).
I repeated my description.
“Octopuses*,” said she, “that’s [what I calls ’em]. Talk about fishers of men—fighters of fish it is (this time)!
It ain’t no murder [killing beasts like that],” said the first speaker.
“Why not shell* the darned* things strite* off and finish ’em?” said the little dark girl.“You carn tell [what they might do].”
“Where’s your shells?” said the first speaker. “There ain’t no time. Do it (in a rush), that’s my tip*, and do it (at once).”
So they discussed it. (After a while) I left them, and went on to the railway station (to get as many morning papers as I could).

1. オレンジのahtを文語体に直すと、「out」ですかね。「get out」で「ばかな」という俗語表現があるようです。
2. 赤アンダーラインの部分について、this ‘ere ‘eatは以下のフォーラムによれば「this here heat」とのこと。https://forum.wordreference.com/threads/whats-cover-against-this-ere-eat.175293/
this here≒thisだから、ここは「What’s cover against this heat?」として意味をとりなさい、といっています。たしかに発音してみると「h」は消えそうな気がしますね。
ほかにも「this severe heat」くらいでもよいのではないかと思ったり。
3. 緑のyerを文語体に直すと、youまたはyourです。
4. 紫のlet usの後に省略されてる語句は、go (near)ですね。ground will let us…は無生物主語で、「地形上わたしたちが…」という風に訳してあげるといいところ。
5. 灰色のandが繋いでるものは、goとdrive。
6. 青アンダーラインの訳については、上の会話編で述べた通り。
7. 赤のitが指しているものは、killing。itーVingの形式主語です。
8. ピンクのthatが指しているものは、抜き出すならoctpuses, fighters of fishあたり。タコ。
9. 茶色のandが繋いでるものは、shell, strite(strike),finishですかね。「Why not 原形…」なので、 shellは動詞ですよ。
10. 黄色のcarnを文語体に直すと、can’t です。canではなくnotまで入ります。You can tell what they might do. なら文脈上不自然ですし、なによりわざわざ「can」を「carn」と伸ばす必要性がありません(言葉の経済学的に不自然)。
ということで、本来はcan’tで、後ろのtellに引っ張られてtが消えて、言葉が連続してるから「carn」と少し伸びたのだと思います。

全訳

「隠れて這っていって急襲しようよ」と一人が言った。
「んなばかな!」ともう一人が言った。「この高温のなか隠れていくって? 地面にはりついて自分を料理するようなもんじゃない! やらなきゃいけないのは、地形的に可能な限り近づいて、そして塹壕を掘ることだ。」
「塹壕なんて! いっつも塹壕ばっかり。ウサギの子なんだね。スニッピー。」
「ところで、首はあるのかい?」と不意に3人目の子が言った。小さく、瞑想にふけってそうな黒髪の女の子で、パイプをぷかぷかしていた。
わたしは説明を繰り返した。
「タコじゃん」と彼女は言った。「わたしはそう呼ぶことにするよ。人を捕る漁師って言うけど、これは魚を捕る戦士だな!」
「そんな獣を殺しても殺人にはならないわよね」と最初の人が言った。
「あの忌々しいやつに砲弾を撃ち込んで、打ちのめして滅ぼしてやろうぜ。火星人何するかわかんないし。」と小さな黒髪の子が言った。
「砲弾はどこ?」と最初の子。「時間がないの。急いでやらないと。今すぐにしないと。そのこと忘れないでよ」。
そして彼女らは話し合った。しばらくしてわたしは彼女らのもとを去り、ウォーキング駅に向かって、集められる限りの新聞を手に入れた。

ステファニー
ステファニー

新聞はWHスミス社が鉄道を利用して効果的に配送したんだったにゃ。

オギルヴィーナ
オギルヴィーナ

何回も言ってるけど、この文章は基本的に回想で書かれてるから、目的にも結果にもとれるto Vは、目的用法で訳すより結果用法で訳した方がいいときが多いな。目的というのは未来のことだからさ。

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