<流れ>
①かっこを振っていない英文
②単語注(①でアスタリスクを振ったところ)
③設問
④かっこを振った英文
⑤設問の答え
⑥訳
Ⅵ. THE HEAT-RAY IN THE CHOBHAM ROAD.
第6章「チョブハム通りのレーザー光線です!」
第6章 第1段落 前半 (第75話)
振り返り・時代常識

へぇい
第5章までを振り返っていくぜ

いまは1900年ごろ、大英帝国のウォーキング(ロンドンのベッドタウン)だ。
付近に火星人を乗せた宇宙船が着陸して、わたしたち人間は交渉を試みたけど、火星人はレーザー兵器を使って一方的に付近の人を虐殺したってところ。

つづいて登場人物紹介。
わたしはGuP西住まほ、この小説の主人公&語り手の役だぞ。しごとは社会学者。
この会話編ではドイツ帝国担当なのだ。ライヒに栄光あれ!

わたしは語り手の奥さん役のGuPダージリン。
担当は悠久の大英帝国よ。

えっと、ロンドンでジャーナリストをしてたヘンダーソン(GuPケイ)だよ!
わたし・オギルヴィ・ステントとかが一緒に「代表団」となって火星人と交渉しようとしたんだけど、火星人のレーザー兵器をもろに食らっちゃった。
で語り手はわたしたちが死んだって思ってるから、もう小説本編では出てこないよ(泣)。
ともあれ、ここ会話編ではアメリカ合衆国担当!よろしくね!

うぃ、天文学者のオギルヴィ(GuPアンチョビ)だ。
わたしも小説ではもう出てこないけど、実は生き延びてたってことにしておこう。
ちなみに会話編ではイタリア王国担当だけど、最近は全然その要素もなくなっててつらたん。

グリニッジ天文台所長・王立天文官のステント(GuPマリー)ですよ。
たぶん第5章までに出てきている登場人物の中で一番偉いです(ふふん♪)。
もう本文中では出てきませんよ。会話編ではフランス共和国担当です。

…デニング(GuPアリス)です。
英国天文学会で一番偉いステントさんが出てきたので、英国隕石学の家元的なわたしはなんとも微妙な立場になってしまいました。まあ、小説中ではもう出てこないので大丈夫。
あとさ、わたしだけ会話編で担当国ないんですよね。その分自由にやってるけど。

ということで、以上登場人物(小説本編で今後も出てくるのはわたしとダー様だけ)。
さて、ここは1900年のイギリスだったけど、このころの世界情勢を振り返ってみましょ。

ええ。まずこの小説本編の根本的なテーマにもなってるけど、この時代は「帝国主義」がキーワードね。欧米列強がアジア・アフリカの植民地をひたすらに拡大していった時代。


…イギリスはもう少ししたら世界の4分の1を支配する大帝国ね(↓画像は1920年のイギリス版図)。でもその分、暴力的な支配もあったの。
イギリスが植民地にやってきた理不尽な支配を、逆にイギリスが受けたらどうなるのかな?っていうのがこの小説のひとつ大きなテーマとしてあるんだよね。


イギリスはこのころ、本国ではアイルランド全域も支配してたりしたのよ。
エジプトやローデシア(現ジンバブエ)を占領したり、アフリカ方面に特に勢力を伸ばしていってたの。


あら。この間のボーア戦争(1880-81,99-02)で南アフリカの現地人に惨敗してたのはどこかしら?

うるさいわね
そっちだってちょっと前に普仏戦争負けてたくせに

ふふん、戦争だけが華じゃなくてよ。
フランスは第三共和政で文化の黄金時代(Belle Époque)。エッフェル塔がこのころ立ったり、89年と00年にはパリ万博が開かれたりしたのよ。

…そうそうけんかしないでよ。
もうすぐ英仏協商を結ぶ仲じゃない(1904)。

べ、別に好きってわけじゃないんだからね
たまたま利害が一致しただけなんだから。

…さてところで、ドイツはその普仏戦争の勝利を経て、最近(1870年ごろ)統一されたばっかりだ。ポーランドを分割したりしてるからドイツ本国の版図は今より広いんだけど、植民地はほとんどないな。


イタリアも40年前くらいに国内を統一したばっかりで、植民地が全然ないんだよな。

エチオピアに戦争しかけて負けてるもんねw

だまってろ

なんか話が逸れてきたのでまとめると、いまは帝国主義の時代。各国が植民地のために弱きものを犠牲にしていった負の時代でもあるってわけだ。

つづいてイギリス本国のおはなし。

このころのイギリス(ヴィクトリア朝後期)は産業革命が成熟して、時代の最先端を行く「日の沈まぬ国」。鉄道網が整備されたり、工業人口が増えたりして、都市人口が急速に増えていったのよ。イギリスの上品で高貴なイメージ通りの時代でもあるわ。
ただ、1902年の日英同盟締結に象徴されるように、徐々に「戦争」に近づいている時代でもあるの。
ということでこのころのイギリスは、21世紀に近づいている一方で、誇り高き古の「英国紳士」要素も残してる時代なのよ。

ボーア戦争とかはあったけど、基本的にイギリスは小国や植民地を国力に任せて蹂躙していったの。大国との戦争はなくて、特に植民地から離れたイギリス本国では戦争の危機感はなかったわ(だからこそ、社会や文化が発展したし、貴族的「英国紳士」要素が残ってたわけ)。
そんなのんきな折に、火星人が攻めてきたら、そりゃあ大混乱よ。

イギリス本国の人は植民地の惨状を知らないのも同然で、口だけは高尚なことを言ってた。
だから、先住民を人と思わず交渉もしないくせに、自分たちは火星人と対等に交渉できるなんて思ってみすみす殺され、軍隊の配置も遅れたんだろうな。

ぴったりのイギリスのことわざがあるわ。
「Put yourself in someone else’s shoes.」(他人の靴を履いてみなさい)ってね。
問題編

内容が理系的にも文法的にも深いし長いから、1段落を前後半分けてるぞ。
後半は次の話で。
It is still a matter of wonder how the Martians are able to slay* men so swiftly* and so silently. Many think that in some way they are able to generate an intense* heat in a chamber* of practically* absolute non-conductivity*. This intense heat they project* in a parallel* beam against any object they choose, by means of* a polished* parabolic* mirror of unknown composition*, much as* the parabolic mirror of a lighthouse* projects a beam of light.
slay殺す swiftly素早く intense激しい chamber部屋・弾倉 practicallyほとんど conductivity伝導性(熱・電気) project発射する parallel平行な by means of~を使って polish磨く parabolic放物線状の composition組成 much as≒in the similar way lighthouse灯台
1. オレンジのitが指すものは?
2. 赤アンダーラインの部分の意味は?
3. 青のManyの後に省略されてる言葉は?
4. 赤のtheyが指しているものは?
5. 青アンダーラインの部分の主語と動詞は?

「chamber」は「部屋」という意味もあるけど、「銃の弾倉」(弾を装填するところ)という意味もあって、ここは比喩的に使われてるのかもね。


さて理系のエブリバディならわかると思うんだけど、「parabolic mirror」(放物線鏡)を使って「parallel beam」を出すことの関係について。


平行光線がパラボラアンテナ・放物線状の鏡に入ってきたときには、反射してかならず特定の点(焦点)Fを通ります。


上のようなパラボラアンテナは、広い面積に降ってくる電波を反射させて焦点に集め、焦点に受信機を置くので、信号が大きくなるってわけです。



そして逆に、焦点のところに光源を置けば、光は平行に進んでいきます。
平行光線の何がいいかというと、普通の拡散光線が距離の二乗に反比例して弱まっていくのに対して、平行光線はそのままの明るさで進んでいきます。だから、遠くまで同じ明るさで届くんです。
ということで火星人も、焦点のところに兵器を置いて、放物線状の鏡で平行光線にすることで、遠くまで威力が減衰しない熱線を飛ばしてるってわけですね。

なるほど。今のレーザー兵器(光を鏡とかで絞って高エネルギーにして一点に集中)と仕組みは似てるわけね。

あと補足として、普通にパラボラを使うだけだと、反射しなかった光(そのまま出ていった光)はそのまま拡散されるから、エネルギーが無駄になりやすい。
(ここではおそらく簡略化されてるんだろうけど)本文中で「much as the parabolic mirror of a lighthouse」とあって、灯台でも同じシステムで平行光線を飛ばしてるって書いてるけど、実際の灯台では複数のレンズ・パラボラ・球面鏡を組み合わせてたらしいな。
参考:https://www.enschrage.nl/tech/1reflectors.html
ということで、火星人だってひょっとしたら減衰をなるべく防ぐように作ってたのかもな。

そういえば、「chamber of non-conductivity」(電気伝導性がない発射装置)ってあるけど、これはいったい何なのかしら。レーザー砲で電気を使うのはあるけど、逆に使っちゃダメなのは知らないわ。

あ、この伝導性は電気伝導性じゃなくて、熱伝導性だと思うよ。
エネルギーの損失を抑えるための断熱容器ってことね。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
It is still a matter of wonder [how the Martians are able to slay* men so swiftly* and so silently]. Many think [that (in some way) they are able to generate an intense* heat (in a chamber* of practically* absolute non-conductivity*)]. This intense heat they project* (in a parallel* beam) (against any object 〔they choose〕), 《by means of* a polished* parabolic* mirror of unknown composition*》, (much as* the parabolic mirror of a lighthouse* projects a beam of light).
1. オレンジのitはhow以下ですね。itー関係詞の形式主語です。
2. 赤アンダーラインの部分について、「of 抽象名詞」で形容詞みたいな役割ですよね。matterは多義語ですが、a matter of~の形ではたいてい「問題」「事柄」と訳します。a matter of great concernで「たいへん重要な問題」「大きな心配事」ですね。
ここでは of wonder=wonderfulなので、a matter of wonderで「不思議なこと」です。
3. 青のManyの後に省略されてる言葉はpeopleです。
4. 赤のtheyが指しているものは「the Martians」です。
5. 青アンダーラインの部分は、カッコにくくっていくといつの間にか主語も動詞も消えていると思います。そんなときは、OSVの第三文型倒置をちょっと疑ってみましょう。This intense heat they projectが名詞+名詞+動詞の形なので、This intense heat 〔they project〕のように、they project節がつい関係詞節だと思ってしまいがちです。というかふつうはそうです。でもどうしようもない場合は、OSVの形なのかなぁと思うしかありません。
全訳
どうやって火星人が人々をとても素早く静かに殺せたのかということは、いまだに不思議なことだ。多くの人々は、ほぼ完全に熱伝導性がない区画の中で、何らかの方法で火星人は強力な熱を生み出せるのだと思っている。灯台の放物面鏡が光線を放つのと同じように、火星人は謎の構成物質でできている磨かれた放物面鏡を使って、選んだどんな物体に対しても平行光線としてこの強力な熱を放つのだ。

思うんだけど、放物線と平行光線の話って、相当理系レベル高くない?
21世紀の日本なら高校(数Ⅲ)でちょっと出てくるかなってとこだよね。
それを平然と書いてるのすごいとおもうんだ。
まあ、9割の人はしれっと読み飛ばすんだろうけど…。
第6章 第1段落 後半 (第76話)

長い第1段落の後半部だよ。
ここの第1文目の「these」は、火星人が放つ平行なレーザー光線のことだね。そのあとの「However it is done」のitは「火星人がわたしたちを一瞬で殲滅した出来事」ってしとこうかな。くわしくは前段落をCheck it out! はい!

真ん中あたりの「Heat, and invisible, instead of visible, light.」は、主語と動詞がないものとして考えてOKかな。a beam of heatの説明だからね。
問題編
But no one has absolutely proved* these details. However it is done, it is certain that a beam of heat is the essence* of the matter. Heat, and invisible, instead of visible, light. Whatever is combustible* flashes into flame at its touch, lead runs like water, it softens iron*, cracks* and melts* glass, and when it falls upon water, incontinently* that explodes into steam*.
prove証明する essence本質 combustible可燃性の・燃えやすい(≒flammable≒inflammable(inがつくのに逆の意味じゃないことに注意)) iron鉄 crack(ガラスなどに)ヒビを入れる melt溶かす incontinentlyただちに(≒immediately) steam蒸気
1. オレンジのitが指しているものは?
2. 紫のwhateverの節が終わるところは?
3. 茶色のits, itが指しているものは(すべて同じ)?
4. 赤のleadの意味は?
5. ピンクのandが繋いでるものは?

この小説は基本的にわたしの回想だから時制は過去形なんだけど、ここらへんをすべて現在形で書いてるのは、科学的な(=普遍的な)事実だからだな。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
But no one has (absolutely) proved* these details. 〔However it is done〕, it is certain [that a beam of heat is the essence* of the matter]. Heat, and invisible, 《instead of visible》, light. [Whatever is combustible*] flashes (into flame) (at its touch), lead runs (like water), it softens iron*, cracks* and melts* glass, and 【when it falls upon water】, (incontinently*) that explodes (into steam*).
1. オレンジのitはthat以下。というか普通のit is certain that構文ですね。it is certain thatのcertainはsureに書き換えられないということもわすれずに。
2. 紫のwhateverの節が終わるところは、combustibleです。たしかにcombustible flashes…という風に(combustibleが限定用法となって)続きそうに思えます。しばらく動詞がなくて、 赤のleadのあとにやっとrunsという動詞が出てきます。でも、このrunsはleadだけしか主語にはしなさそうです(意味的に、whateverもleadも主語なんてことはなさそう)。そうするとwhateverの主語がありません。
となると、whatever節はcombustibleで切って(叙述用法)、flashesが名詞ではなく動詞なんだなぁと思うしかありません。問題5.にもなっていますが、そうすると、4組のSVがピンクのandで繋がれてることになって文法上も問題なさそうです。
3. 茶色のits, itが指しているものは、火星人のレーザービーム(a beam of heat)ですね。
4. 赤のleadの意味は「鉛」。普通leadといえば動詞ですが、こちらは後ろにrunsという動詞があるので名詞。そうなると、意味的にも考えて名詞の「鉛」という訳がよさそうです。ちなみに鉛の方のleadの発音はカタカナで書くと「レッド」です。「リード」じゃないので。
5. ピンクのandが繋いでるものは、「Whatever…flashes…touch」、「lead runs like water」「it softens…glass」「when it falls…that explodes into steam」の4つのSVです。3文目だけはちょっとイレギュラーですが(it softens iron, and it cracks glass, and it melts glassという3文がまとまってる)。

…leadの問題は、鉛の融点が他の金属より低め(鉄が1500℃くらい、アルミが660℃くらいなのに対して鉛は320℃くらい)ってことを既に化学で習ってたら、「lead runs like water」(=融けている)ってことと繋がってわかりやすかったんじゃないかしら。

スズはさらに融点が低い(230℃くらい)し便利だから、青銅などに使われたんだったな。
大学受験で銅の合金は白銅(Cu+Ni)・黄銅(Cu+Zn)・青銅(Cu+Sn)をおぼえておこう。

ともあれ、鉛はそんな風に加工が容易だったり、耐久性もあったり(100年以上持つ)、質感がエレガントだったりするから、古代ローマから21世紀まで、ヨーロッパでは家の屋根に使われてるのよ。
ということで、この小説の場面では、ビームが遠くの家にも命中してるってことを表してるってわけね。鉄(iron)もガラス(glass)も、家に使われてるし。


「when it falls upon water」ってあるけど、ここHorsell Commonには下写真のような小さな池・水路も何個かあったことに注意してね。
ここに高出力レーザーが当たったらそりゃあ水蒸気爆発(explodes into steam)が起こるわなってかんじ。

全訳
でも、こんなふうに平行なビームを撃つ方法について、詳細を完全に証明できる人は誰もいない。火星人がどうやって瞬時に人々を殲滅できたにせよ、熱を持つレーザービームが本質だということは確かだ。熱があるのに、見えやしない光線なのだ。レーザーが当たると可燃性のものはなんでも閃光を放って炎を上げる。鉛は水のように流れる。レーザーは鉄を柔らかくし、ガラスにヒビを入れて溶かす。レーザーが水に照射されると、ただちに爆発して蒸気となるのだ。

2か所ある「into」はどちらも「変化のinto」だな。
第6章 第2段落 (第77話)

グロ注意(ってほどでもないけど)。
問題編
That night nearly forty people lay under the starlight* about the pit, charred* and distorted* ( ) recognition, and all night long the common from Horsell to Maybury was deserted* and brightly ablaze*.
starlight星明かり char黒焦げにする distort変形させる deserted誰もいない(empty of people) ablaze燃え立って
1. 赤アンダーラインの部分が「認識できない」という意味になるようにカッコ内に前置詞一語を入れてね。

ということでだいたい犠牲者の数がわかったわね。約40人。その死体がゴロゴロ転がってて、charred and distorted(黒焦げ&手足が変な方に曲がってる)ってなかなかグロいわよ。

ま、気を取り直して、この段落の後半の共有地の炎上被害範囲(the common from Horsell to Maybury)がこちらの黒の部分。


わりとざっくりだけど、それでも、相当延焼してるってことがわかるね!
基本的に下の写真みたいに、Horsell Commonの大部分は森だからね。
そのうち市街地に入ったら家にも飛び火するし。

解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
(That night) nearly forty people lay (under the starlight*) (about the pit), (charred* and distorted* beyond recognition), and (all night long) the common (from Horsell to Maybury) was deserted* and brightly ablaze*.
1. 赤アンダーラインの部分が「認識できない」という意味になるようにするには、「beyond」を入れればいいですね。仲間としては、beyond description[words]=言葉にできない beyond help=助けられない beyond doubt=確信している beyond one’s reach=~には届かない などなど。
要するに、「beyond~」で「~できない」という意味になることがありますね。
全訳
その夜、星明りのもと穴のまわりで40 人くらいが横たわっていた。黒焦げになって、人間だとわからないくらい体がゆがめられていた。そして一晩中、ホーセルからメイベリー方面の共有地は人気もなく、あかあかと燃え立っていた。
第6章 第3段落 (第78話)

もういっかいマップを確認するよ!
火星人のいるsand-pitから、Woking(中心部), Chobham, Ottershawまでの位置関係はこんなかんじ(所要時間は徒歩で計算)。
Chobhamだけちょっと遠いけど、だいたい1時間弱で、火星人による大虐殺のニュースがそれぞれの街に伝わったってところかな。


ちなみに、虐殺が起こった時間は夜に入りかけたところね。
だからこの段落中で「the shops had closed when the tragedy* happened」って書いてるわけ。
問題編
The news of the massacre* probably reached Chobham, Woking, and Ottershaw about the same time. In Woking the shops had closed when the tragedy* happened, and a number of* people, shop people* and so forth*, attracted by the stories they had heard, were walking over the Horsell Bridge and along the road between the hedges* that runs out at last upon the common. You may imagine the young people brushed up* after the labours of the day, and making this novelty*, as they would make any novelty, the excuse* for walking together and enjoying a trivial* flirtation*. You may figure to yourself the hum of voices* along the road in the gloaming*. . . .
massacre大虐殺 tragedy悲劇 a number ofたくさんの(これについては第63話参照) shop people店員 and so forthなど hedge生垣 brush up(ここでは比喩的表現で)心の汚れを落とす=解放する novelty目新しいもの excuse口実 trivial取るに足らない flirtationいちゃつき hum of voicesがやがや声 gloaming薄闇(≒dusk≒twilight)
1. 青のand(赤アンダーライン上)が繋いでるものは?
2. 赤アンダーラインの主語と動詞は?
3. 緑のthatの先行詞は?
4. ピンクのand(青アンダーライン上)が繋いでるものは?
5. 青アンダーラインの文型表示と訳は?
6. 茶色のandが繋いでるものは?
7. 赤のfigure to yourselfとほぼ同義の動詞一語を本段落中から抜き出すと?

「Horsell Bridge」について。
新聞まで現実のものを出してくるH・G・Wellsさんにしては珍しく、これだけは架空の橋っぽいわね。

まあ、架空と言っても名前が違うだけで、場所は特定できたわ(参照)。
Woking Stationから出たところにある「Chobham Road」(21世紀とは場所が違うから注意)と、ここら辺を走ってる川(水路・運河)が交わるところにある橋ね。


「Horsell Bridge」は21世紀では10mもないような小さな橋だけど、1900年ごろではもうちょっと水路幅も大きかったんだと推測されるぜ。


あと、「the road between the hedges that runs out at last upon the common」ってのは、Chobham Roadの両側に生垣(hedges)が生えてるってことを思い浮かべてくれ。
21世紀になっても、グーグルストリートビューで見ると、Chobham Roadの両側には生垣が多く残っているぞ。100年経っても風景が残ってるなんて、さすがはイギリスといったところかな。

解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
The news of the massacre* probably reached Chobham, Woking, and Ottershaw (about the same time). (In Woking) the shops had closed 【when the tragedy* happened】, and a number of* people, shop people* and so forth*, 《attracted by the stories 〔they had heard〕》, were walking (over the Horsell Bridge) and (along the road (between the hedges*) 〔that runs out at last upon the common〕). You may imagine the young people brushed up* (after the labours of the day), and making this novelty*, 《as they would make any novelty》, the excuse* (for walking together and enjoying a trivial* flirtation*). You may figure to yourself the hum of voices* (along the road (in the gloaming))*. . . .
1. 青のand(赤アンダーライン上)が繋いでるものは前のSVと後ろのSVですね。前も述べた通り、カンマ+andだったらSVどうし(文どうし)を繋いでることが多いです。このカンマは一呼吸つくというサインなので、訳の際には、ここで文を切ってしまってもOKです(文を切らずに続けると一文が長くなりすぎるかも)。
2. 赤アンダーラインの主語と動詞は、青のandの前はthe shopsが主語、had closedが動詞。andの後ろは、a number of…が主語、were walkingが動詞です。attractedの部分は、カンマで挟まれてるので挿入ですね。
3. 緑のthatの先行詞は「the road」ですね。the hedgesじゃないです。非常に細かいことですけども。runsが三単現の形になってるので、先行詞は単数じゃないといけませんし、「run」とコロケーションを結べるのはhedgeじゃなくてroadです。
4. ピンクのand(青アンダーライン上)が繋いでるものは、brushedとmakingです。ここでは「imagine O (to be) C」と「imagine Ving」の語法をおさえておきましょう。「imagine the young people brushed up and making this novelty…」とありますけども、「imagine the young people (to be) brushed up」(若者が解放されてるのを想像する)と「imagine the young people making this novelty the excuse…」(若者がこの新しい話を口実にするのを想像する)をandでつないでるわけですね。
5. 青アンダーラインの文型表示はちょっとめんどいというかなんというか。You imagineがSVなのは大丈夫。the young peopleがO1、brushed upがC1なのはいいとして、imagine Vingの方は、the young peopleが動名詞の意味上の主語なので、O2は(一単語で抜き出すなら)makingってことになります。
そして、ピンクのand以後の部分がちょっと厄介です。andの後のmakingの目的語はthis novelty、補語はthe excuseですね。そうすると、as節内も似たような構造になっているので、making this noveltyの後に補語が欲しいところ。だからasは関係代名詞のasだなって推測できます(先行詞がthe excuse)(asは先行詞が後ろに来てもOK)。なお、wouldは過去の習慣というところでいいでしょう。
6. 茶色のandが繋いでるものはwalkingとenjoyingです。
7. 赤のfigure to yourselfとほぼ同義の動詞一語は、青アンダーライン先頭のimagineですね。青アンダーライン先頭も「You may…」と始まってることから推測できたと思います。figureは思う・考えるという意味がありますし。
全訳
大虐殺の知らせは、チョブハム、ウォーキング、オターショウに同じ時間に届いただろう。ウォーキングではその悲劇が起きたときに店は閉まっていた。たくさんの人々・店員とかは、聞いた話にひき付けられ、ホーセル・ブリッジを渡り、突きあたりで共有地に出る生垣の間の道を歩いていった。若い人たちが一日の仕事のあと解放され、この新しい話をするのを、一緒に歩いてちょっとイチャイチャする口実にしているのを想像するかもしれない。彼女たちはいつもどんなニュースだってその口実にしてたんだ。夕暮れ時にその道に響くガヤガヤ声が思い浮かぶかも。
第6章 第4段落 (第79話)
問題編
As yet, of course, few people in Woking even knew that the cylinder had opened, though poor Henderson had sent a messenger on a bicycle to the ( ) with a special wire* to an evening paper.
wire電報・電信
1. オレンジの as yet の意味は?
2. 赤アンダーラインの訳は?
3. 赤の中に入りそうな施設名は次のうちどれ?【 police station / post office / City Hall / library 】

さーて、wire=telegraph=電報・電信 について。

基本的に、電線を使って電気でメッセージを送るシステムだ。
(下は1907年の電報)


…そういう電報システム(Electrical Telegraphy)はイギリスでは19世紀に本格的にはじまったの。

そそ。そしてわたしたちイギリスは強大な海軍力・広大な植民地を背景に、19世紀後半、電信を伝える海底ケーブルを世界各地に敷設していったのよ。下図をみると、このころの世界の海底電信ケーブルの半分以上はイギリスのものってわかるわね。世界の覇権を握ってる証拠よ。


1840年ごろにイギリスで世界初の商業電信サービスが始まってから、民間の電報会社がいくつか出てきたけど、1870年に電信会社はすべて国有化されて、電信が国営郵便局の管轄になったわ。

その国営郵便局は「General Post Office」(GPO)って言うわ。このころ、イギリスの郵便局は国営企業ってことに注意ね(21世紀になって民営化)。
電信も手紙と同じく通信業務ということで、郵便局の業務になったのよ。

そうそう、そして基本的に、駅に郵便局が置かれて電信サービスを提供していたんだ。鉄道線路沿いに電線が建てられたし。
だから、この段落みたいに「Hensley had sent … to the post office with a special wire」って直接書かれてることもあるけど、第30話みたいに「Hensley went into the railway station at once, in order to telegraph」って書かれることもあるってわけだ。



上の2枚は、電信を送信する機械だね。
左が、「Cooke and Wheatstone telegraph」という電信機械。電気によって針が動いて、直接文字を指し示すっていうなんかすごいやつだよ!
右がモールス信号(アメリカ発)を使った電信機。トン/ツーで送るやつだね。これはわかるかな。


こんな風に、オフィスで電信機械に向かって大量に電報の送受信を行ってたのだ。

ともあれ、こういう電報の発達によって、わたしたちジャーナリストは瞬時に本局に情報を伝えられるようになったんだよ!
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
As yet, 《of course》, few people 〈in Woking〉 even knew [that the cylinder had opened], 【though poor Henderson had sent a messenger 〈on a bicycle〉 〈to the post office〉 〈with a special wire* to an evening paper〉.
1. オレンジの as yet の意味は「まだ」。as yetはだいたい否定文で使われます。文頭・文中・文尾など、比較的自由に配置できる気がします。
2. 赤アンダーラインの部分は、fewが準否定語「ほとんど~ない」というのに注意しましょう。訳すときは否定語を後ろに。
3. 赤の中に入りそうな施設名はpost officeです。電報を打つのは郵便局というのは上の解説に述べた通り。
全訳
かわいそうなヘンダーソンが、夕刊のための特別な電報を持たせて、郵便局へ自転車に乗った連絡員を派遣したのに、もちろんまだ、円筒が開いたことすら知らないウォーキングの住民がほとんどだった。

cylinder(円筒)が火星人の宇宙船だってことは今更言わなくてもいいよな?
第6章 第5段落 (第80話)

最初の「these folks」っていうのは、前段落の、火星人が宇宙船から出てきたことすら知らない人々を指してるぞ。
問題編
As these folks* came out by twos and threes* upon the open*, they found little knots* of people talking excitedly and peering* at the spinning* mirror over the sand-pits, and the newcomers* were, no doubt*, soon infected* by the excitement of the occasion*.
folk人々 by twos and threes三々五々 the open開けたところ(=Horsell Common) knot集団 peer見つめる spin回転する newcomer新しく来た人 no doubt確実に infect感染させる occasion折・時
1. オレンジのasの意味は?
2. 緑のandが繋いでるものは?
3. 赤アンダーラインの文型表示は?
4. 青のandが繋いでるものは?

「the spinning mirror over the sand-pits」って、火星人がレーザービームを平行光線にするために使った放物面鏡・球面鏡のことね(第75話参照)。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
【As these folks* came out (by twos and threes*) (upon the open*)】, they found little knots* of people talking excitedly and peering* (at the spinning* mirror over the sand-pits), and the newcomers* were, 《no doubt*》, soon infected* (by the excitement of the occasion*).
1. オレンジのasの意味は「とき」。Whenより同時性が強いです。
2. 緑のandが繋いでるものはtalkingとpeering。
3. 赤アンダーラインの文型表示は上の通り。find O C(ここではVing)の第五文型ですね。andがあるのでCが2つになります。
4. 青のandが繋いでるものは前後の2つのSV(文)です。カンマ+andはもう大丈夫ですよね。まあ必ずしも絶対SVを繋いでるわけじゃないんですが。
全訳
こういった人々はちらほらホーセル共有地に出てくると、小規模の群衆が興奮して話し、砂地の上で回転する鏡を見つめているのに気づいた。そうして新しく来た人たちに、間違いなく、すぐにこの場の興奮がうつった。
第6章 第6段落 (第81話)

日本では見ないけど、海外では mounted police って言って、馬に乗った警官がいるんだぞ(21世紀でも存在してる)。


デモとか群衆が集まっているところに治安維持のため派遣されるわ。馬に乗るのは視界がいいからっていうのもあるけど、騎馬突撃で群衆を散らせるからってのもあるのよね。

なるほど
ある意味では戦車だな(適当)

…そうね。白バイと違って、町中の段差も乗り越えられるし、人が歩く速度で進めるし。
あと、あの巨体が進撃してくるのはそこそこ恐怖じゃん。
問題編
By half past eight, when the Deputation* was destroyed, there may have been a crowd of three hundred people or more at this place, besides those who had left the road to approach the Martians nearer. There were three policemen too, ( of, who, was, whom, one, mounted ), doing their best, under instructions* from Stent, to keep the people back and deter* them ( ) approaching the cylinder. There was some booing* from those more thoughtless* and excitable* souls ( ) whom a crowd is always an occasion* for noise and horse-play*.
Deputation代表団(オギルヴィーナ・ヘンスリー・ステファニーも含まれてた、火星人と交渉するための代表団) instruction指示 deterやめさせる(ここでは≒keep, stop, prevent) booingブーイング thoughtless(<thought+less)思慮のない excitable興奮しやすい occasion場 horse-playバカ騒ぎ
1. ピンクの by half past eightの訳は?
2. 青アンダーラインの訳は?
3. 赤アンダーラインの語を並び替えて。一語不要だよ。
4. 緑のto不定詞の用法は?
5. 青のandが繋いでるものは?
6. 紫のカッコの中に入る前置詞一語は?
7. 赤のsoulの意味は?
8. 茶色のカッコの中に入る前置詞一語を次のうちから選んでね 【 from, to, at, with 】

このパラグラフ最後の「horse-play」は、辞書通りの「バカ騒ぎ」って意味と、人が集まると馬に乗った警官が来るっていう意味が掛けられてるのかもしれないね!
この単語の語源自体も、horse(馬のように荒々しい)+play(遊び)だしさ。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
(By half past eight, 〔when the Deputation* was destroyed〕), there may have been a crowd of three hundred people or more (at this place), (besides those 〔who had left the road (to approach the Martians nearer)〕). There were three policemen too, 《one of whom was mounted》, doing their best, 《under instructions from Stent》, to keep the people back and deter* them from approaching the cylinder. There was some booing* (from those more thoughtless* and excitable* souls 〔to whom a crowd is always an occasion* for noise and horse-play*〕).
1. ピンクの by half past eightの訳は「8時半までに」。「~ past…」で「…過ぎて~」。逆は「~ to…」(…まで~)。quarter to eleven=10時45分。half=30分、quarter=15分。
2. 青アンダーラインについて、besides=そのうえ(≠beside)、those≒the people、to不定詞は目的用法ってことがわかってればOK。
3. 赤アンダーラインの語を並び替えると上の通り。大丈夫だよね。be mounted で「馬に乗る」。
4. 緑のto不定詞の用法は目的用法。doing their bestにかかってるとみていいのかな。これを含む一文全体は、There were three policemen…doing their best…で、「there is S Ving」の構造だね。S is Vingと思って訳してもいいやつ。
5. 青のandが繋いでるものはkeepとdeter。
6. 紫のカッコの中に入る前置詞一語はfrom。語注にkeep, stop, preventの類語って書いたからわかりやすかったかな。keep[prevent] O from Ving =OがVするのを妨げる だね。
7. 赤のsoulの意味は「人」。ちょっと古めかしい言い方だけど、「魂」だけじゃないよ。
8. 茶色のカッコの中に入る前置詞一語はto。「~にとって」という意味のtoだね。
全訳
午後8時半、代表団が壊滅したけど、それまでに300人以上の群衆がこの場所にいたかもしれない。さらに、火星人にもっと近づくために道を離れた人もいた。また、警官も3人いた。そのうちの 1 人は馬に乗っていた。彼らはステントの指示に従って、人々を下がらせ、円筒に群衆が近づくのを防ごうと、最善を尽くしていた。人が集まるところは常に叫んでバカ騒ぎをする場だと思っている、さらに思慮がなく興奮しやすい人々からブーイングが上がった。

ちょっとここ数段落は時間が巻き戻ってるわ。

…というかあなたたちも結構頑張ってたのね。一方的に攻撃されたのは同情するわ。

あと、ちょっと前の段落で死者は約40名って書いてて、ここに「300人以上の群衆」って書いてあるから、意外とみんな生き延びてるんだな。わたしたちだって生きてる可能性大だ。
第6章 第7段落 (第82話)
前提知識

いよいよ軍事系の話に入るぜやっほーい。

英国陸軍はずっと「英国紳士」的な古めかしい軍隊だったんだけど、インドやクリミアでの苦戦の経験や、普仏戦争の様子をもとに、19世紀後半にカードウェルやチルダースによって近代化改革が行われたってところよ。

…いままで散々この当時のイギリスを英国紳士的でのんきだって言ってきたけど、軍隊においてはちょっとずつ変化は始まってたってところね。

さて、そうした改革の中で兵士の数とともに増えてきたのが「barracks」(兵営)(普通、複数形で使う)。兵士の集団寮みたいなところだ。以下は王立砲兵(Royal Artillery)の兵営の写真。かつては4000名が収容されてたらしい。結構大きい方の兵営だな。


本段落中に出てくるbarracksは、明示はされてないけど、おそらく「Inkerman Barracks」(インカーマン兵営)ね。Queen’s Royal Surrey Regiment(サリー王立歩兵連隊)の本拠地となったとこ。Horsell Commonからだいたい1時間ちょっとのところにあるわ。



つづいて英国陸軍(British Army)の編成よ。
海軍・空軍はRoyal Navy, Royal Air Forceって言うけど、英国陸軍はRoyal Armyとは言わないことに注意ね。Royalは陸軍各部隊の名称につけられるのよ。「Royal Tank Regiment」とか。
下の表の赤文字の単語はこの小説で出てくるから、この機会に覚えておくといいわ。
この段落ではcompany(歩兵中隊)が出てくるわね。


…戦車のとこだけは知ってる。だいたい4両で小隊を作って、2両ずつお互い援護しながら交互に前進していくのが定石だし。

だな。ちなみに伝統的に機甲部隊は騎兵部隊に由来するから、この表では一緒に書いてるってことだ。

やっぱりわたしの馬車→戦車改造計画は正しいじゃないか

だから無理だって。

ともあれ、あくまでこの表は目安よ。時代や部隊などによって細かく変わってくるわ。
たとえば、砲兵の「troop」は普通は「battery」の半分の規模だけど、この小説の第12章で出てくるRoyal Horse Artillery(王立騎馬砲兵)での「troop」はこの表の「battery」に相当する規模なの。

「regiment」って一番クレイジーだよね。国によって全然規模が違ったり、イギリスの中でも連隊の中にある大隊の数が各連隊によって違ったりするし。しかも、歩兵連隊が1個歩兵大隊しかもってない場合は、歩兵連隊=歩兵大隊ってなっちゃうんだよね。

さらに、イギリスで砲兵中隊が数個集まった部隊は、21世紀では「連隊」だけど、1900年ごろは「旅団」。さらに昔は「大隊」っていう名前だったわ。もうわけわかんない。

…こういうのをもっと詳しく知りたい人は1898年のイギリス陸軍人事記録を見ることね。びっしりと300ページくらいあるからわたしは読んでないけど。結構重いよ↓
https://deriv.nls.uk/dcn23/1007/6315/100763158.23.pdf

誰が読むんだよ。

それじゃあ復習クイズ。
以下の画像の部隊規模は何かな?


歩兵部隊でだいたい500~600人いそうなので、答えは「battalion」だね。
後ろに見えるのが「barracks」だよ~。
問題編
Stent and Ogilvy, anticipating* some possibilities of a collision*, had telegraphed* from Horsell to the barracks as soon as the Martians emerged, for the help of a company of soldiers to protect these strange creatures from violence*. After that they returned to lead that ill-fated* advance. The description of their death, as it was seen by the crowd, tallies* very closely with my own impressions: the three puffs* of green smoke, the deep* humming* note*, and the flashes of flame.
anticipate予想する collision衝突 telegraph電報を打つ barracks兵営 violence暴力 ill-fated不運な tally一致する puffひと吹き deep低い hum機械がブーンと鳴る note音
1. ピンクのcollision(衝突)はどういうこと?
2. オレンジのtheyが指すものは?
3. 緑のthe descriptionは、いったい誰がしてる「叙述」なんだろうか?
4. 青のasの意味(用法)は?

「Stephanie and Ogilvina」ってあるけど、Hensleyさんは?

わたしはこのとき、自分の新聞社の方に電報を送るために駅に行ってるとこだったよ!
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
Stent and Ogilvy, 《anticipating* some possibilities of a collision*》, had telegraphed* (from Horsell to the barracks) 【as soon as the Martians emerged】, (for the help of a company of soldiers (to protect these strange creatures from violence*)). (After that) they returned (to lead that ill-fated* advance). The description of their death, 《as it was seen (by the crowd)》, tallies* (very closely) (with my own impressions): the three puffs* of green smoke, the deep humming* note*, and the flashes of flame.
1. ピンクのcollision(衝突)は、集まった群衆と火星人が衝突することですね。ステファニーさんたちは、火星人が群衆に襲われるかもしれないって思ってたんです。
2. オレンジのtheyが指すものはStephanie and Ogilvinaです。
3. 緑のthe descriptionをしてる主語は、明示されてるわけではないんですが、the crowd(=まわりの群衆)だと考えていいでしょう。「The description tallies with my impressions」とありますから、「わたし」じゃなさそうですね(「わたしの印象がわたしの話に一致した」っていうのはおかしい)
4. 青のasの意味(用法)は、「~の限り」もしくは「~のような」でもいいかも。「as I see it」みたいに、asが状況のitとともに使われ、as far asと同じような意味を持つことがあります。または、「the world as we know it」みたいに、直前の名詞を修飾して「~ような」と訳すものでも意味が取れなくはないです。
分詞構文の強調で 「分詞+as it was」で強調を表すことがありますが、今回は順序がぎゃくですし…。
全訳
火星人が現れるとすぐに、ステファニーさんとオギルヴィーナちゃんは、地球人と火星人の衝突の可能性を予想して、ホーセルから兵営に電報を送った。この奇妙な生物を暴力から守るため、一個中隊の援軍を求めたのだ。その後、2人は不運な行進を率いるために戻った。
群衆が見たところの2人の死の様子は、わたし自身の印象ととてもよく一致している。3本の緑煙が上がり、機械のブーンという低い音がして、炎の閃光がはしったってことだ。

火星人を守るって目的だったにせよ、あなたたち、すぐに軍に連絡してたのね。

わたし、一応とはいえグリニッジ天文台の所長だからね?

そうね。今までいろいろとこの群衆と体制を批判してた節があったけど、みんなそれぞれそのときの最善の行動をとってたってことは疑わないわ。

…ちょっと今日は疲れたね。
最後はこういう英国軍歌(The British Grenadiers:英国擲弾兵)アレンジ(帝国音楽堂 さん)でもどうかしら?
※曲名のGrenadiersは「グロリアーナ」じゃなくて「グレナディアーズ」(<Grenade+ier)だからね。
https://youtu.be/jwMO0j6RHcA

ドイツにも似たタイトル(Lied der Panzergrenadiere:装甲擲弾兵の歌)の歌があったり。

そういえば British Grenadiersの神社アレンジもあったよな。

ほんとになんでもあるわね。
第6章 第8段落 (第83話)

「beech」はブナの木。ただ、日本に生えているブナ(Fagus crenata)やイヌブナ(Fagus japonica)とはちょっとだけ違って、イギリスに生えてるのはヨーロッパブナ(Fagus sylvatica)だぞ。まあ、あんまかわんないけど。


そうね。
あと、ブナは落葉広葉樹(温帯メイン)だから、イギリスだと南イングランドまでしか自生してないわ。以下が分布図よ。


つづいて、「gable」(破風・切妻)です。屋根の端っこの、三角形のちょっと突き出てるところですね。



問題編
But that crowd of people had a ( ) narrower escape than mine. Only the fact that a hummock* of heathery* sand intercepted* the lower part of the Heat-Ray saved them. Had the elevation* of the parabolic mirror* been a few yards higher, none could have lived to tell the tale*. They saw the flashes and the men falling and an invisible hand, as it were, lit* the bushes* as it hurried towards them through the twilight. Then, with a whistling* note* that rose above the droning* of the pit, the beam swung* close over their heads, lighting the tops of the beech* trees that line* the road, and splitting* the bricks*, smashing* the windows, firing* the window frames, and bringing down* in crumbling* ruin* a portion* of the gable* of the house nearest the corner.
hummock小さな丘 heatheryヘザーが生えている(第22話参照) intercept防ぐ elevation高さ parabolic mirror放物面鏡(第75話参照) tale話 light(過去形/過去分詞lit)火をつける bush低木 whistleシューシューという note音 droning持続する低音 swing(<過去形/過去分詞swung)弧を描いて進む beechブナ line~に沿って並ぶ split割る brickレンガ smash粉々に砕く fire火をつける bring down破壊する crumbleくずれる ruin廃墟 portion部分 gable破風
1. オレンジのカッコ内に、比較級強調になるように一語を入れてね。
2. 紫のmineを2語で言うと?
3. 赤のthemが指してるものは?
4. ピンクのyardについて、1ヤードは約何メートル? 【復習】
5. 青アンダーラインの訳は?
6. 赤アンダーラインのandが繋いでるものは?
7. 緑のandが繋いでるものは?
8. 青のas it wereの意味は?また同義イディオムは?
9. 茶色のasの意味は?
10. 灰色のandが繋いでるものは?

青アンダーラインの手前「Only the fact that a hummock* of heathery* sand intercepted* the lower part of the Heat-Ray saved them」はこんな感じだな。


…火星人のレーザービームの下半分がヘザーの生えたhummock(小丘)にさえぎられて助かったってことだね。
実際は斜めに照射してるだろうから、もうちょっと反射鏡の位置が高かったら、小丘を超えて人々に命中してたってことがそのあとの文章に書いてるわね。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
But that crowd of people had a far narrower escape than mine. Only the fact [that a hummock* of heathery* sand intercepted* the lower part of the Heat-Ray] saved them. 【Had the elevation* of the parabolic mirror* been a few yards higher】, none could have lived (to tell the tale*). They saw the flashes and the men falling and an invisible hand, 《as it were》, lit* the bushes* 【as it hurried (towards them) (through the twilight)】. Then, (with a whistling* note* 〔that rose (above the droning* of the pit)〕), the beam swung* (close over their heads), (lighting the tops of the beech* trees 〔that line* the road〕), and (splitting* the bricks*), (smashing* the windows), (firing* the window frames), and (bringing down* (in crumbling* ruin*) a portion* of the gable* of the house nearest the corner).
1. オレンジのカッコ内に、比較級強調になるように一語を入れると、far, much, still, evenなどですね。far & muchは「はるかに」(単に強めるだけ)、still & evenは「いっそう」(比較対象は既にすごいけど、それに加えてってこと)ということで若干意味が違いますけど、まあここではどちらでもいいかもですね。
なおa lotはダメです。後ろに名詞があるときは使えません。
2. 紫のmineを2語で言うと「my escape」ですかね。escapeを「逃走」と訳すと、have an escapeというつながりが気持ち悪いように感じますが、「逃げ道」という訳だとぴったり当てはまりそうです。
3. 赤のthemが指してるものは、1文目の「that crowd of people」ですね。
4. ピンクのyardについて、1ヤードは約0.91mでした。第23話でやりましたね。
5. 青アンダーラインについて、if省略の仮定法過去完了っていうことは見えやすいかな。livedのあとのto不定詞は結果用法(lived to tell the taleで「生き延びてその話をする」)がいいかもしれません。She lived to be 90 years old.(彼女は90歳まで生きた)を思い出しましょう。
6. 赤アンダーラインのandが繋いでるものはthe flashesとthe men fallingです。sawの目的語(+補語)どうしですね。
7. 緑のandが繋いでるものは前後の2つのSV(文)です。litの後ろに名詞があるので、litは過去分詞じゃなくて過去形です。だからSVになってます。
8. 青のas it wereの意味は「いわば」。また同義イディオムは「so to speak」です。第63話でやりましたね。She is, as it were[so to speak], a walking dictionary.(彼女はいわば歩く辞書だ) を覚えておくといいかもしれません。比喩を持ち出すときに使う表現ですね。
9. 茶色のasの意味は「~のとき」「~の間」です。
10. 灰色のandが繋いでるものは、lighting, splitting, smashing, firing, bringingだと思います。splittingの前のandの役割が若干気になりますが、lighting句が長かったからつけてるだけなのかなって思います。皆さんはどう思いますかコメントくださいね定期
全訳
でもその群衆にはわたしよりはるかに限られた逃げ道しかなかった。ヘザーが生えている小山がレーザービームの下半分を遮ったってことだけで彼らは救われたのだ。もし放物面鏡の高さが数メートル高かったら、生きのびてこの話を語ることができた人は誰もいなかっただろう。彼らは閃光が走るとともに人々が倒れていくのを見た。昏どきの空をレーザービームが標的に向かって走るときに、いわば目に見えない手が低木に火をつけたようだった。そして、穴からの持続低音に重なって大きくなってきたシューシューという蒸気の音がすると、ビームが人々の頭のすぐ上を弧を描くように飛んでいった。道沿いのブナの木の上部に火をつけ、レンガにひびを入れ、窓を粉々にし、窓枠を燃やし、崩れている廃墟の中で最寄りの角の家の破風の一部分を破壊していった。

この段階でも(というか第6章全部が)、第5章の最後より時系列的には少し前なんだよな。
第6章 第9段落 (第84話)
前提知識

ずっと前から出てきてるけど、「puff」という謎の単語について。単語の辞書的意味では「ひと吹き」とかというよくわかんない訳になってるが、画像で見ると一目瞭然だ。

だいたい、タバコの煙のようなものだと思ってくれればOKよ。


「puffs of smoke」のイメージで一番近いのは下の写真かな。
煙が立ち上ってる様子。この各々の立ち上ってる煙も「puff」ね。


普通は使われないけど、この段落では「puff of flame」っていう表現が出てくるよ!
煙が炎に変わっただけだから、以下の写真をイメージしてくれるといいかな。
われらがM1エイブラムスの砲撃シーンだよ!


他にも「puff of wind」で「一陣の風」とかっこよく訳したり…。基本は「一条」「一筋」みたいに、単位的に訳してあげるのがいいかもしれん。とにかく、イメージがつかめればOKだ。

さて、続いて「gallop」(ギャロップ)について。馬の走法だ。

日本語では「襲歩」と訳され、最も速度が出る走法ですよ。
最高時速40~50㎞になります。馬の足が4本すべて空中に浮いてるときがあるんですね。



「mounted policeman」については第81話を参照してね。
問題編
In the sudden thud*, hiss*, and glare* of the igniting* trees, the panic-stricken* crowd seems to have swayed* hesitatingly* for some moments. Sparks* and burning twigs* began to fall into the road, and single leaves like puffs* of flame. Hats and dresses ( ) fire. Then came a crying from the common. There were shrieks* and shouts, and suddenly a mounted policeman came galloping through the confusion ( ) his hands clasped* over his head, screaming.
thud(重い物が落下する)ドシンという音 hiss(蒸気の)シューという音 glareまばゆい光 ignite火が付く panic-strickenおびえた sway揺れる hesitatinglyためらいながら spark火花 twig小枝 puffひと吹き・ひと筋 shriek悲鳴 clasp握りしめる
1. 青のandが繋いでるものは?
2. オレンジのandが繋いでるものは?
3. 青アンダーラインの訳は(必要な部分は補って訳してね)?
4. 赤カッコの中に入る動詞一語は(※過去形)?
5. 緑のcryingの意味は?
6. 紫カッコの中に入る前置詞一語は?

「sway hesitatingly」(ためらいがちに揺れる)ってなんだろ

どうなんだろー。
人々がわけのわかんない状況に戸惑って右往左往してる状況なのかな。

ワンチャン爆風もあるんじゃないかな?
ノズルブラストとか。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
(In the sudden thud*, hiss*, and glare* of the igniting* trees), the panic-stricken* crowd seems to have swayed* hesitatingly* (for some moments). Sparks* and burning twigs* began to fall into the road, and single leaves (like puffs* of flame). Hats and dresses caught fire. Then came a crying (from the common). There were shrieks* and shouts, and (suddenly) a mounted policeman came galloping (through the confusion) (with his hands clasped* over his head), screaming.
1. 青のandが繋いでるものは、thud, hiss, glareですね。
2. オレンジのandが繋いでるものは前後の文章です。せやかてここでいったん文を区切って読みましょうね。
3. 青アンダーラインについて、まず「single leaves」とsingleの被修飾語が複数形になってますので、singleは「一つの」じゃなくて、「単一の・一様な・同じ種類の」という訳がいいでしょう。あと、andの手前と構造が同じだから省略されてると推測すると、single leaves (also) began to fall like into the road puffs like puffs of flame というふうに復元できますかね。 「葉が落下する」では随分と重そうな葉っぱだなぁという印象がありますので、「葉が舞う」としてあげるといいかもしれません。
4. 赤カッコの中に入る動詞一語はcaughtです。「catch fire」で「火が付く」(≒ignite≒light)ですね。
5. 緑のcryingの意味は「悲鳴」「叫び声」あたり。びっくりしてる状況で上がるのは、鳴き声ではなく驚愕の声でしょう(泣くのは感情の整理ができてからですからね)。
6. 紫カッコの中に入る前置詞一語は「with」です。分詞構文の一種の、「with O C」付帯状況です。後ろにあるscreamingが分詞構文なので、こちらから推測することもできましたかね。
全訳
突然ドーン・シューという音が聞こえ、林に火がついて閃光が放たれるのを見て、びっくりした人々は少しの間ためらいがちに右往左往しているようだった。火花と燃える小枝が道に落下しはじめた。そして一様な葉っぱも、一筋の炎のように吹かれて舞っていた。帽子と洋服には火がついた。そのとき、共有地から悲鳴が上がった。金切声と叫び声がした。突然、手を頭の上で握りしめ、叫びながら、騎馬警官がギャロップで混乱の中を駆け抜けてきた。

「came a crying from the common」っていうのは要するに、人々に対してレーザー砲の攻撃が始まったってことよね。

だなっ。
ちょっと第三者的な視点で語ってる(この章は人から聞いた話だからね)とこだ。

それにしてもこの警官も頑張ってるわね。

というかこの時代は「policeman」だよな。21世紀では「police officer」らしい。
もちろん物語にポリコレを持ち込んで批判するつもりはさらさらないけどな。
単に時代情勢の変化を興味深く思ってるだけだ。
第6章 第10段落 (第85話)
前提知識

「群れ」について。

flock→ヒツジ・ヤギ・鳥など。
herd→ウシ・ウマ・ヒツジ・ヤギなど。大きな動物。
pack→オオカミ。
swarm→昆虫。「蠢く(うごめく)」もの。
shoal/school→魚。めだかの学校。
pod→クジラ・イルカなど。海生動物。

まあ、区別はわりと曖昧だったりするが。
問題編
“They’re coming!” a woman shrieked*, and incontinently* everyone was turning and pushing at those behind, in order to clear their way* to Woking again. They must have bolted* as blindly* as a flock* of sheep. Where the road grows narrow and black between the high banks* the crowd jammed*, and a desperate* struggle occurred. All that crowd did not escape; three persons at least, two women and a little boy, were crushed* and trampled* there, and left to die amid* the terror and the darkness.
shriek甲高い声で叫ぶ incontinentlyただちに clear one’s way道を開ける bolt急に駆け出す blindlyやみくもに flock群れ bank斜面 jam詰めかける desperate必死の struggle闘争 crush押しつぶす trample踏みつける(参考:be crushed (to death) ≒be trampled (to death) 圧死する) amid≒amidst中で
1. 緑のtheyが指すものは?
2. 青のthose behindの訳は?
3. 茶色のwhereの品詞は?
4. オレンジのgrowsの意味は?
5. 赤のandが繋いでるものは?
6. 青アンダーラインの訳は?
7. 赤アンダーラインの主語と動詞は?
8. ピンクのandが繋いでるものは?
9. 紫のto不定詞の用法は?

「Where the road grows narrow and black between the high banks* the crowd jammed*」はこんな様子。細い道に殺到して、圧死する人もいたってわけだ。

解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
“They’re coming!” a woman shrieked*, and (incontinently*) everyone was turning and pushing (at those behind), (in order to clear their way* to Woking again). They must have bolted* (as blindly* as a flock* of sheep). 【Where the road grows narrow and black (between the high banks*)】 the crowd jammed*, and a desperate* struggle occurred. All that crowd did not escape; three persons at least, 《two women and a little boy》, were crushed* and trampled* there, and left (to die (amid* the terror and the darkness)).
1. 緑のtheyが指すものは、火星人(Martians)ですね。文脈から判断しましょう。
2. 青のthoseが形容詞のthoseだとするならば、behindは名詞になります。でも名詞のbehindは「おしり」の婉曲表現です。この切羽詰まった状況でセクハラする人はいません。 ですから、ここのthoseは代名詞。言い換えると「the people」になるthoseでしょう。そしてbehindが後置修飾してると考えましょう。behindはabove, aheadなどと同じく1語でも後置修飾することがありますよね。
ちなみに、「後ろの人を押す」って変だなぁ(普通は「前の人を押す」)って思うかもしれませんが、「turning」で反転してますからね。turnする前に後ろにいた人を押したって考えるのがいいでしょう。
4. オレンジのgrowsの意味は「~になる」。21世紀では文語的ですが、grow Cで「(ゆっくりと)Cの状態になる」という意味ですね。ついgrow(育つ)のイメージで「大きくなる」って訳しがち。
5. 赤のandが繋いでるものは前後の2文です。
6. 青アンダーラインは、All…notっていう形があるのか戸惑いますが、文脈的に部分否定(全員が逃げられたわけではない)でとらえましょう。21世紀では、all…notは全部否定か部分否定か混乱するのでやめた方がいいとされています。
7. 赤アンダーラインの主語はthree persons、動詞はwere crushed, were trampled, were leftの3つですね。two women~little girlまでは挿入部(three personsを説明)です。ちなみにpersonの複数形をpersonsとするのは(21世紀では)大変かたい表現なので使ってはいけません。all~not, persons…ここら辺は19世紀の英語を感じます。
8. ピンクのandが繋いでるものは先述の通り、crushed and trampled と leftです。crushedとtrampledは意味上ひとかたまりで見てあげていいとおもいます。
9. 紫のto不定詞の用法は結果用法です。left見捨てられて→そのあと→die死んだ という時系列が感じられますからね。ここでは明らかに目的用法ではないですが、目的用法なのか結果用法なのかは、意外とどちらでもとれるものもあったりします。
全訳
「やつらが来てるわ!」ある女性が叫んだ。すぐにみんなは反転し、ウォーキングの方に進む道を再び開けるため、後ろにいた人を押していた。彼らは羊の群れと同じように盲目的に走り出したに違いない。高い斜面にはさまれて道が細く暗くなっているところに群衆は詰めかけた。そして必死な争いがおこった。その全員が逃げ延びたわけではなかった。少なくとも3人(2人の女性と1人の小さな男の子)はそこで押しつぶされ、踏みつけられ、見捨てられて恐怖と暗闇の中で死んでいった。

この段落もずいぶんえげつないなぁ

小さな子まで巻き込まれて…。たぶん合計5人くらいはここで圧死したのね。
レーザーによる犠牲者は40名程度(第77話)だから、この日の犠牲者の10%が人間によるものって考えると切ないわ…

…まだこれ、火星人の示威攻撃に過ぎないのよね。
悲劇はこれからよ。

これ、「The War of the Worlds」っていうタイトルだけど、宇宙戦争ドンパチやる物語じゃなくて、一方的な絶望が覆う救いのない物語だね…。タイトル詐欺じゃん。

まあな。ということで、悲しい終わり方をした第6章は終わり。次回から第7章だ。
再びわたしの時系列に戻り、ふらふらしながらターちゃん(わたしの奥さん)が待ってるお家に帰るお話。

この絶望の物語で「最後の」休息ね。

第1章の最後(第19話)といい、タージルムさんが出てくる回はどことなく現実離れした安心感があるよね。


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