<流れ>
①かっこを振っていない英文
②単語注(①でアスタリスクを振ったところ)
③設問
④かっこを振った英文
⑤設問の答え
⑥訳
VII. HOW I REACHED HOME.
第7章「お家に帰ります!」
第7章 第1段落 (第86話)
振り返り

第7章に入るぞ。

このSF小説「The War of the Worlds」(邦訳:宇宙戦争)は、1900年ごろのイギリスを舞台に、火星人に一方的に蹂躙される人類の様子を描く物語だったわね。

本小説の特徴は、とても現実的なところ。科学的なところも、地理的なところも。
火星人は21世紀で実用化されてきたレーザー兵器や、20世紀後半にならないとアニメでも出てこない搭乗型ロボ兵器を使ったりするの。
そして、原作者のH・G・Wellsさんが実際に住んでいた街Wokingを物語の中心にして、1900年当時のイギリスの現実の都市・鉄道・軍隊・新聞などをそのまま使ってるわ。

ということで、この小説は架空の話ではなく、1900年当時に起きた現実の物語として読める話になってるんだ。この当時の時代背景は第75話参照。帝国主義・植民地時代ってことがポイントだぞ。それに対するアンチテーゼ・風刺になってるからな。

それで第6章までは、火星人が「Horsell Common」に着陸して、周りに集まった群衆に対してレーザー兵器を発射。数十名の犠牲者が出たところね。

語り手のわたしは命からがらHorsell Commonから自宅に戻っているところ。
ここ会話編ではドイツ担当だっ。ジーク・ハイル!

わたしは語り手の奥さん。今はおうちにいて、語り手の帰宅を待ってるよ。イギリス万歳!

えー。火星人の攻撃で既に死亡認定された人その1。天文学者のオギルヴィだ。
でもまだ死んでない可能性も微レ存。
会話編ではイタリア担当、のはず。

あ、死亡認定その2。
ジャーナリストのヘンダーソンだよ。
ここではアメリカたんとう。

はい、死亡認定その3。
王室天文官のステントですよ。会話編ではフランス担当。

…いつも自己紹介で最後に回されるデニングだよ。
わたしの担当国はないけど、しいて言うならイギリスってとこかな。
問題編
For my own part*, I remember nothing of my flight* except the stress of blundering* against trees and stumbling* through the heather*. All about me gathered the invisible terrors of the Martians; that pitiless* sword of heat seemed whirling* to and fro*, flourishing* overhead before it descended* and smote* me out of life. I came into the road between the crossroads* and Horsell, and ran along this to the crossroads.
for one’s part~に関しては flight逃走 blunderぶつかる stumbleつまずく heatherヘザー(そろそろ注つけなくていいよね?) pitiless残酷な whirlぐるぐる回る to and froいったりきたり flourish(比喩的に)派手に燃える descend襲う smite(過去形smote)殺す crossroads(通常複数形で)交差道路
1. オレンジのandが繋いでるものは?
2. 赤アンダーラインの文型表示は?
3. 赤のitが指しているものは?
4. 青のandが繋いでるものは?
5. 緑のthisが指しているものは?

ということでわたしの逃走経路の概略(赤紫色)だ。
火星人がいるsand-pitから逃げて道路(Shore’s Road)に出て、6本の道路が集まってる交差点(Six Crossroads)(オレンジ色)を目指したってとこだな。

解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
(For my own part*), I remember nothing of my flight* (except the stress of blundering* against trees and stumbling* through the heather*). (All about me) gathered the invisible terrors of the Martians; that pitiless* sword of heat seemed whirling* (to and fro*), (flourishing* overhead 【before it descended* and smote* me out of life】). I came into the road (between the crossroads* and Horsell), and ran (along this) (to the crossroads).
1. オレンジのandが繋いでるものは「blundering」と「stumbling」。2つのingですね。
2. 赤アンダーラインの文型表示は上の通り。All about meのAllは、about meを強調する副詞だから主語じゃないですね。
3. 赤のitが指しているものは、that pitiless sword。レーザー兵器のことです。
4. 青のandが繋いでるものは、came と ranですね。
5. 緑のthisが指しているものは、the roadです。上記地図を参照。Shore’s Roadといいます。
全訳
わたし自身としては、逃げている途中、木にぶつかったり、ヘザーでつまずいたりしたストレスしか覚えていない。わたしの周りには、絶えず火星人に対する目に見えない恐怖がつきまとっていた。あの容赦のないレーザーの剣は行ったり来たりぐるぐる回っていて、わたしに襲いかかって殺してくる前に頭上で散って消えた。わたしは交叉路とホーセルの間にある道に出て、道沿いに交叉路の方に逃げていった。

最初に「for my own part」って書いてるのは、第6章がわたし以外の群衆の様子を書いてたから、第7章で自分の話に戻ることを示してるわけ。

さて訳し方のポイントだけど、「nothing…except~」を「~だけ」と訳せば、日本語としてはすっきりするな(入試問題ではやらない方がいいかも)。
あと、「Heat-Ray」(熱線)は、より現実感を出すために「レーザー」と訳してるぜ。
第7章 第2・3段落 (第87話)
問題編
At last I could go no further; I was exhausted with the violence* of my emotion and of my flight*, and I staggered* and fell by the wayside*. That was near the bridge that crosses the canal* by the gasworks*. I fell and lay still.
I must have remained there some time.
violence激しさ flight逃走 staggerよろよろ歩く wayside道端 canal運河 gasworksガス工場
1. オレンジのandが繋いでるものは?
2. 青のthatが指すものは?
3. 青アンダーラインの文で省略されてる1語は?

これは1912年の古地図。ちょっと小さくて見えづらいけど、たしかに運河(水色)のちょっと先にgasworks(ガス工場)(赤色)が見えるぞ。


こちらのガス工場はつい最近(1892年)にオープンしたばかりの新しい工場ね。工場で使う物資を運河で運んでたらしいわ。
https://www.wokingnewsandmail.co.uk/news/tramway-carried-coal-from-canal-to-woking-gasworks-579443

…このころのガス工場は、石炭から石炭ガスを作ってたのよ。石炭ガスはそれ自身が燃料になったり(ガス灯の燃料)、副生成物でアンモニア(→肥料へ)がでてきたり、染料とかのいろんな工業原料になったりするから便利だったの。
20世紀後半に天然ガスが出てくると廃れるけどね。

ともあれ、六叉路の「crossroads」(濃いオレンジ色)から自宅(紫色)までは約20分・1.2㎞(上の地図でピンクの道)。でもあまりに疲労困憊しちゃって、途中の橋(青色)の手前で倒れちゃったんだ。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
(At last) I could go no further; I was exhausted (with the violence* of my emotion and of my flight*), and I staggered* and fell (by the wayside*). That was (near the bridge 〔that crosses the canal* (by the gasworks*)〕). I fell and lay still.
I must have remained there some time.
1. オレンジのandが繋いでるものは、of my emotionとof my flightの2つのof句。
2. 青のthatが指すものは、前文(が起こった場所)。
3. 青アンダーラインの文で省略されてる1語は、some timeの前に「for」が省略されてますね。「~time」の前にあるforは、ときどき省略されます。「Wait a minute.」を思い出しましょう。
全訳
とうとう、これ以上まったく進めなくなった。わたしは感情があふれて、全力で逃げてきたので、疲れ果ててしまった。そしてよろめき、道端に倒れこんだ。そこはガス工場のそばで運河にかかる橋の近くだった。倒れて、じっと横になった。
しばらくの間そこにいたに違いない。

「by the gasworks」がかかってるのはどれだろうなーって思ったとき、いくつか取り方があって、①bridgeにかかる ②crossesにかかる ③canalにかかる の3つ。
「ガス工場のそばの運河」っていう言い方はちょっと違和感があるし、いきなり飛んでbridgeにかかるのはちょっと不親切なので、crossesにかかる(ガス工場のそばで運河にかかる橋)という風にしておきたいかな。
第7章 第4段落 (第88話)

この段落最終文、「I asked myself had these latter things indeed happened?」は直接話法と間接話法が混ざってる感じだ。「I said to myself, “Did these latter things indeed happen?”」という風に解釈していいかな。

「I asked myself if these latter things had indeed happened?」を、if省略の仮定法過去完了みたいに、ifを消して倒置させたっていう見方もできるわね。

たしかに。そっちの方が合理的か。
問題編
I sat up*, strangely perplexed. For a moment, perhaps, I could not clearly understand how I came there. My terror had fallen from me like a garment*. My hat had gone, and my collar* had burst away from its fastener*. A few minutes ago, there had only been three real things before me—the immensity* of the night and space and nature, my own feebleness* and anguish*, and the near approach of death. Now it was as if something ( turn ) over, and the point of view altered* abruptly*. There was no sensible* transition* from one state* of mind to the other. I was immediately the self* of every day again—a decent*, ordinary citizen. The silent common, the impulse* of my flight*, the starting flames*, were as if they ( be ) in a dream. I asked myself had these latter* things indeed happened? I could not credit* it.
sit up起き上がる perplex当惑する garment衣類 collar襟 fastener留め具 immensity広大な空間 feebleness衰弱 anguish苦悩 alter変わる abruptly不意に sensible近くできる transition移行 state状態 self自己 decent常識的な impulse衝動 flight逃走 flame炎 latter深更の/夜遅くの credit信じる
1. 青アンダーラインの文で1語文法上誤っている箇所がある。その箇所は?
2. 赤のthree real thingsとは?
3. オレンジのturnを適切に活用させると?
4. 紫のandが繋いでるものは?
5. 青のthe otherのあとに省略されてるのは?
6. ピンクのtheyが指してるものは?
7. 緑のbeを適切に活用させると?
8. 茶色のitが指してるものは?
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
I sat up*, (strangely perplexed). (For a moment), 《perhaps》, I could not clearly understand [how I came there]. My terror had fallen (from me) (like a garment*). My hat had gone, and my collar* had burst away from its fastener*. (A few minutes before), there had only been three real things (before me)—[the immensity* of the night and space and nature], [my own feebleness* and anguish*], and [the near approach of death]. (Now) it was [as if something turned over], and the point of view altered* abruptly*]. There was no sensible* transition* (from one state* of mind) (to the other). I was immediately the self* of every day again—a decent*, ordinary citizen. The silent common, the impulse* of my flight*, the starting flames*, were as if they had been in a dream. I asked myself [had these latter* things indeed happened?] I could not credit* it.
1. 青アンダーラインの文で1語文法上誤っている箇所は、A few minutes ago ですね。今から見た数分前じゃなくて、過去から見た数分前なので、正しくはagoじゃなくてbeforeです。
2. 赤のthree real thingsとは、直後のダッシュのあとの3つのもの([the immensity* of the night and space and nature], [my own feebleness* and anguish*], [the near approach of death])ですね。
3. オレンジのturnを適切に活用させると、「turned」です。as ifの中は、主節の動詞と時制が一緒なら過去形、主節の動詞より過去なら過去分詞でしたね。主節の動詞が現在形でも過去形でもこのルールは同じです。ぼくは中2のころ「主節の動詞の時制より一つ前に戻す」って誤って覚えてたので、よくミスしてました。
ここでは、主節の主語の「it」が状況の「it」で、turn over(ひっくり返った)もそのときのことですから、あんまり考えなくても、普通にturnedと過去形にすればいいですね。
4. 紫のandが繋いでるものは、まあ前後の2文なんですが、andの後方は「the point~abruptly」でいいとして、前方が問題です。it was~turned overなのか、それともsomething~overなのか。(要するに、後方のthe point~abruptlyがas if節内に入るか)
ここでは、紫のandの前にカンマ(≒ピリオド)が打ってありますし、「何かがひっくり返る」は比喩として成立しますが「視点が変わった」は比喩とは言えない気がするので、前方はit was~turned overとしておきましょう。
5. 青のthe otherのあとに省略されてるのは 「state of mind」ですね。one~ the other~ という構文なのがちょっと見えづらいかもですね。
6. ピンクのtheyが指してるものは、主節の主語の部分(The silent~starting flames)ですね。
7. 緑のbeを適切に活用させると、had beenです。いまはもう共有地から離れてて、「The silent~starting flames」の風景は過去に見たもののわけです。だからhad beenと過去完了になるわけです。ちょっと(かなり)曖昧な部分はありますが…。
8. 茶色のitが指してるものは、前文の「had~happened」。自問自答した質問内容ですね。
全訳
わたしは妙に途方に暮れつつ起き上がった。しばらくの間きっと、どうやってここまで来たのかはっきりとは理解できなかったのだろう。恐怖は衣服のようにわたしから消えていた。帽子はどこかに行き、襟は留め具から吹き飛ばされていた。数分前には、目の前にたった3つしか現実的なものはなかったー夜・空間・自然が果てしなくひろがっているということ、自分が衰弱して苦しんでいるということ、死が近づいているということ。まるで何かがひっくり返ったようで、不意に視点が変わった。精神状態が変化したとは感じなかった。再び、ただちに日々の自分になった。ちゃんとした、普通の市民だ。静かな共有地、逃走の衝撃、燃え始めた炎は、まるで夢の中のことのようだった。夜遅くのこんなことは本当に起こったことなんだろうか?と自問自答しても、わたしには起こったとは信じられなかった。

[the immensity* of the night and space and nature], [my own feebleness* and anguish*], and [the near approach of death] の部分は、それぞれ名詞構文。動詞化・形容詞化して訳してあげるといいかな。the night and space and nature are immense, I was feeble and anguished, death approaches near といった感じ。
あとは「There was no sensible* transition」もそうか。
第7章 第5段落 (第89話)

わたしが逃げてる道は以下の図のピンクの道(Monument Road)(再掲)。
いまは水色の運河の上の橋(Monument Bridge。下の地図で青色)を渡ってるところだ。


橋に向かう道はちょっと斜面になってるのよ。
21世紀ではこんなかんじ。1900年ごろはもっと急だったらしいわ。


…橋幅自体はそんなに広くはないよ。
所詮、小運河だからね。


そういえばさ、帰りにこの道(Monument RoadとMonument Bridge)を通ってるってことは、行きもこの橋を通ってたんだよね。

そうそう。

なるほど。第31話(行きの話)で、「Ottershaw Bridge」を通ったって書いてるけど、このMonument Bridgeの別称だったのね。たしかに、Ottershawに向かうところにあるわね。

なんで橋の名前だけいつも適当なの?

さぁ…?
問題編
I rose and walked unsteadily* up the steep* incline of the bridge. My mind was blank* wonder. My muscles* and nerves* seemed drained* of their strength. I dare say* I staggered* drunkenly*. A head rose over the arch*, and the figure of a workman* carrying a basket appeared. Beside him ran a little boy. He passed me, wishing me good night. I was minded* to speak to him, but did not. I answered his greeting with a meaningless mumble* and went on over the bridge.
unsteadily(<un+steady+ly)ふらふらと steep険しい incline傾斜 blank空っぽの・ぼーっとした・うつろな muscle筋肉 nerve神経 drain枯れさせる I dare sayたぶん staggerよろめきながら歩く drunkenly酔ったように arch(橋の)アーチ workman作業員 be minded to≒be inclined to≒want to mumbleはっきりしない言葉
1. 紫のandが繋いでるものは?
2. オレンジのfigureの意味は?
3. 青アンダーラインの文型表示は?
4. ピンクのandが繋いでるものは?
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
I rose and walked (unsteadily*) (up the steep* incline of the bridge). My mind was blank* wonder. My muscles* and nerves* seemed drained* of their strength. (I dare say*) I staggered* drunkenly*. A head rose (over the arch*), and the figure of a workman* 〈carrying a basket〉 appeared. (Beside her) ran a little boy. He passed me, (wishing me good night). I was minded* to speak to him, but did not. I answered his greeting (with a meaningless mumble*) and went on (over the bridge).
1. 紫のandは前後の2文(2つのSV)を繋いでます。カンマ+andだからわかりやすかったかもしれませんが、後半の文の動詞appearedが動詞って認識しづらかったかも。
2. オレンジのfigureの意味は「人影」「姿」。ほかに「数字」とかの意味もあるのを覚えておきましょう。
3. 青アンダーラインの文型表示は上の通り。runで倒置があるのは珍しい気もしますが、かんたんな第一文型倒置ですね。
4. ピンクのandが繋いでるものは、answeredとwentです。
全訳
わたしは起き上がり、ふらふらと橋の急な傾斜を歩いていった。わたしの思考はうつろな驚きで満ちていた。筋肉と神経は力を使い果たしたみたいだった。たぶん、酔ったようにふらついていたのだろう。橋の向こうに誰かの顔が現れ、そしてカゴを持った作業員の姿が見えた。そのそばを男の子が走っていった。彼はわたしとすれ違うときに「おやすみなさい」と言った。その子に話しかけたい気もしたが、やめておいた。意味のない曖昧な言葉で挨拶を返し、橋を越えて進み続けた。

…だいぶ疲れてるっぽい?

わりと精神的な疲労が大きかったのだ。
第7章 第6段落 (第90話)

やや、「caterpillar」(キャタピラ)って言葉があるぞ。
間違いない。この言葉は戦車でしか見ないぞ。無限軌道だな。

えっと、ごめん、「イモムシ」って意味もあるんだよ

…一気にランク下がったなぁ

無限軌道のつなぎ目みたいなとこがイモムシの体節に見えるから、戦車のキャタピラーもそういう名前になったってことらしいぞ。


ともあれ気を取り直して地名コーナーだ。
わたしはいまピンクの道を自宅(紫色)まで逃げてて、Monument Bridge(青色)を渡ったところ。今回出てくるのは「Maybury arch」(オレンジ色)と「Oriental Terrace」(茶色)だ。


「Maybury arch」(メイベリー橋)は固有名詞じゃないんだけど特定はできるわ。
本段落を見ると「Maybury arch」の上を鉄道(ロンドンから来てる)が走ってるってことだから、「Maybury arch」は上図で逃走ルート(ピンク)と線路(黄色)の交点のはず。
そう思って21世紀のストリートビューを見ると、たしかに立体交差して「arch」(橋)がかかってるわ。イギリスだし、100年くらい前もきっとこんな風だったはずよね。


つづいて「Oriental Terrace」は上の地図では茶色で表されてる建物。21世紀でも現存してる建物ね。ちょっと横に長い建物よ。「Oriental Palace」とか「Oriental Parade」とも言われたらしいわ。いったい何の建物なのかは謎だけど、きっと集合住宅みたいなものなのかしら?
https://www.geograph.org.uk/photo/6558009


本文に書いてる通り、小さな数個のgable(切妻・破風)(下写真赤色)が特徴だ。


…そうそう、いままで書き忘れてたけど、『宇宙戦争』に出てるWokingの地理については、以下のようなサイト(パンフレット)が参考になるよ。
全部英語だけど、このサイトには書いてない情報が書いてるかも。
https://wokinghistory.org/onewebmedia/Book%20WOTW%20Guide%201.pdf
https://wokinghistory.org/onewebmedia/Book%20WOTW%20Guide%202.pdf

サイトのドメインすごくニッチね(「Wokingの歴史」「WokingのH・G・Wells」…これ限定のサイトって…)
問題編
Over the Maybury arch* a train, a billowing* tumult* of white, firelit* smoke, and a long caterpillar* of lighted* windows, went flying* south—clatter*, clatter, clap*, rap*, and it had gone. A dim* group of people talked in the gate of one of the houses in the pretty little row* of gables* that was called Oriental Terrace. It was all so real and so familiar*. And that behind me! It was frantic*, fantastic*! Such things, I told myself, could not be.
arch橋 billow巻きあがる tumult騒動・激しく巻き起こること firelit火で照らされた caterpillarイモムシのようなもの lighted明るい fly飛ぶように走る clatterガタンガタン鳴る音(a rattling sound) clap突然のうるさい音(主に雷の音)(a loud percussive noise) rapコツコツ叩く音(a sharp knock) dim輪郭がぼんやりしない row列 gable切妻・破風(上の写真参照) familiar見慣れた frantic狂った fantastic現実離れした
1. 赤アンダーラインの文型表示は?
2. 青のandが繋いでるものは?
3. 紫のitが指してるものは?
4. 青アンダーラインで省略されていると考えられる語句は?
5. オレンジのthat / it / Such thingsが指しているものは?(この3つほぼ同じ)

なあ。
第1文、「train」を「tank」に変えて、「of lighted* windows」を消したら、戦車がかっこよく走ってるシーンになるって思わないか?

…そーだけど。
…というか、そもそも、陸輸において戦車は鉄道が主な運送手段じゃない。
(だから鉄道のままでもそこに戦車が乗ってるって思えば十分)

そうね。鉄道なら一気に何十両か運べるわね。何より、走行するだけで戦車は道路を破壊するわ。戦車はどんな悪路でも走破できるけど、どんな道も悪路にしちゃうの。だから鉄道以外に運びようがないのよ。以下の写真は、WWⅠでイギリスのマークⅣ戦車(女の子)が貨車に乗って運ばれようとしてるとこね。


…21世紀の陸上自衛隊でも相変わらず問題になってるけど、「戦車が幅広すぎて鉄道で運ぶには幅が足りない」って問題は当初からずっと絶えなかったみたい。
事実、上のマーク戦車(戦闘時は側面に武装が突き出てる)だって、武装が収納されてるし。

はいはい。わかったわかった。
もう列車砲でいいぜ。
というかこっちの方がロマン兵器だ。



戦車がないんだから列車砲もないよって言いたいけど、もうとっくに1900年には列車砲はあったんだよね。アメリカ南北戦争でも使われてたんだよ!

ドイツは列車砲など、巨砲先進国だったのだっ。
第1次大戦では100km以上遠くからパリを超遠距離砲撃したし。

残念でした
パリは神風で護られて砲弾は命中しませんでしたとさ

コリオリの力だろ

…ともあれ、話が(鉄道だけに)脱線したけど、鉄道は軍事的にも価値が高いものなんだよってことを覚えてもらったらOKだ。

『宇宙戦争』のIF戦史を書くんだったら、鉄道をしっかり使っていかないとね。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
(Over the Maybury arch*) a train, a billowing* tumult* 〈of white, firelit* smoke〉, and a long caterpillar* 〈of lighted* windows〉, went flying* south《—clatter*, clatter, clap*, rap*》, and it had gone. A dim* group of people talked (in the gate of one of the houses) (in the pretty little row* of gables*) 〔that was called Oriental Terrace〕. It was all so real and so familiar*. And that behind me! It was frantic*, fantastic*! Such things, 《I told myself》, could not be.
1. 赤アンダーラインの文型表示は上の通り。Overをarchで閉じるってとこと、wentが動詞ってのがちょっと見づらいですね。
2. 青のandが繋いでるものは、一応文法上は、a train, a tumult, a caterpillarでしょうけど、訳すときは、a train went flying southをメインにして、a billowing tumult~ of lighted windowsが挿入されてるみたいにしてあげるといいかもしれません。
3. 紫のitが指してるものは、「a train」ですね。
4. 青アンダーラインでは、beのあとに「real」とかが省略されてると考えましょう。前文で「狂ってる、現実離れした」って書いてるわけですから、青アンダーラインも「ありえない」ってなるはずです。
5. オレンジのthat / it / Such thingsが指しているものは、「behind me」をヒントにして、ホーセル共有地で見た大惨事ですね。その大虐殺(→frantic, fantastic)と、オリエンタル・テラスの前で話してる人々が「so real and so familiar」である様子が対比されてるわけです。
全訳
炎で照らされた白煙を激しく噴き上げ、明るい窓を芋虫のように長く連ねながら、メイベリー橋の上を蒸気機関車が南へ爆走していった。ガタン、ゴトン、ドンドン、ガンガン、と。そして去っていった。かわいい小さな切妻の下、オリエンタル・テラスと呼ばれていた集合住宅のひとつの門のところで、不明瞭な集団が言葉を交わしていた。すべてがとても現実的で見慣れたものだった。わたしが見てきた背後のものはいったい!狂って現実離れしたものだ!そんなものはありえない、そう自分に言い聞かせた。

間違っても「train」を「電車」って訳すなよ。この時代は蒸気機関車だ。だから「white, firelit smoke」(白く、炎に照らされた煙)を上げてるわけだな。
それと、「clatter, clatter, clap, rap」の英語はリズムよく韻を踏む感じだから、日本語もそうなるようにオノマトペ的に訳してあげるといいかもしれん。
第7章 第7段落 (第91話)

第7章第7段落。
縁起がいいな。

…イギリスでも7/7、七夕のらっきー☆すたーが見えるわ。
無論、イギリスに七夕なんて文化はないし、むしろ21世紀のロンドンで7/7っていったら、2005年のロンドン爆破テロを思い出す人が多そうだけど…。
問題編
Perhaps I am a man of exceptional* moods*. (know, far, not, common, experience, my, how, do, I, is). At times* I suffer ( ) the strangest sense of detachment from myself and the world about me; I seem to watch it all from the outside, from somewhere inconceivably* remote, out of* time, out of space, out of the stress and tragedy* of it all. This feeling was very strong upon me that night. (my, here, dream, another, side*, to, was).
exceptional例外的な・特別な mood気分 at times≒sometimes inconceivably(=in+conceive+able+ly)想像できないほど out of超越して・離れて tragedy悲劇 side一面
1. 赤アンダーラインの単語を並び替えてね。
2. ピンクのカッコの中に入る前置詞1語は?
3. 緑の「the strangest sense of detachment」のところを訳すと?
4. 紫のit(2か所)が指すものは?
5. 青アンダーラインの単語を、「これも夢の中のことの一つだった」という意味になるように並び替えてね。文頭に来る単語も全部小文字になってるぞ。

この段落の前半は現在形で書かれてることに注意ね。

この物語は、わたしの回想だからな。
現在形のとこは、執筆してるときに過去のことについてコメントしてるところだ。

それにしても「自分は特別だ」とか「世界と自分自身から引き離された」とか「この現実は夢の一部」だなんて、ずいぶん中二病っぽい内容だこと。さすがドイツ。

わたしは小説本編だと「語り手」だから、冷静かつ第三者的に物事を叙述するまなざしが必要なのだ。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
Perhaps I am a man 〈of exceptional* moods*〉. I do not know [how far my experience is common]. (At times*) I suffer from the strangest sense of detachment 〈from myself and the world about me〉; I seem to watch it all (from the outside), (from somewhere inconceivably* remote), (out of* time), (out of space), (out of the stress and tragedy* of it all). This feeling was very strong (upon me) (that night). (Here) was another side* to my dream.
1. 赤アンダーラインの単語を並び替えると上のような感じ。動詞が2個(know, is)あって接続詞がなく、howがあるから、「I do not know how…」ってことはわかるかも。のこりのmy experienceが主語、isが動詞なのはわかるにしても、farとcommonの位置が難しい。
ここは、「far」が程度の副詞となって、「my experience is common」の度合いがどれだけあるのか(how far)が、わからない(I do not know)ということですから、赤アンダーラインのようになります。
2. ピンクのカッコの中に入る前置詞1語は「from」ですね。調べたらwithもいちおうOKみたいです(ほぼ同じ意味)。
3. 緑の訳ですが、まずdetachment以下はdetach from…という風になるので名詞構文。
つづいて、sense ofのofは、「切り離されたことの感覚」でもいいですけど、同格のofと解釈して「切り離されているという感覚」とするとぴったり当てはまります。
最後にthe strangest「もっとも奇妙な」ですが、「切り離されているという最も奇妙な感覚」という言い回しだと気持ち悪いので、「最も」ではなく「たいへん」とかと訳してもいいかもしれません(絶対最上級っぽく)。
4. 紫のit(2か所)が指すものは(ちょっと判断が難しいですが)、見ているものを表す漠然としたitか、あるいは「the world about me」かです(この2つはほぼ同じ意味)。現在形で書かれてるので、少なくとも特定の状況ではないです。
…こんなの問題が悪いですね。さーせん。
5. 青アンダーラインの単語を、「これもまた夢の中の出来事の一つに過ぎなかった」という意味になるように並び替えると上のような感じです。「Here is~」の形が作れるかがポイントだと思います。あ、「side to」は「~の一面」で、toをofに変えてもあんまり意味の差はないと思います。
全訳
きっと、わたしは特殊な感情を持っているのだろう。自分の体験がどれほど世間の人と共通しているかはわからないが、ときどきわたしは、自分自身と世界から乖離しているという、たいへん奇妙にも思われる感覚に苦しむことがある。どうもわたしは、想像もできないほどどこか遠くの外界から、時間と空間を超越して、苦痛と悲劇のないところから、対象を見ているような気がするのだ。この感情がその夜とても強かった。これもわたしの夢の一幕なのだと。

1文目の「of exptional moods」は、「of importance」(≒important)
みたいに、「of+抽象名詞」の仲間(性質を表してる修飾語)と見ていいかな。
第7章 第8段落 (第92話)

毎度毎度の地名チェック。いまは「Oriental Terrace」(下図茶色)のあたり。gasworks(赤色)が付近にあるのがわかるぞ。
そして、ここからcrossroads(オレンジ色)までは1㎞くらいだから、火星人がいるところまでは2㎞くらいってところだ。


第1文目の「this serenity」は、現実離れした穏やかな感覚のことかな(前段落)
問題編
But the trouble was the blank* incongruity* of this serenity* and the swift death flying yonder*, not two miles away. There was a noise of business from the gasworks*, and the electric lamps were all alight*. I stopped at the group of people.
blankまったくの incongruity不一致 serenity平和・穏やかさ yonder向こうで gasworkガス工場 alightともって
1. 茶色のtroubleの意味は?
2. 赤のandが繋いでるものは?

「electric lamp」(電灯)って何かしら、っていう問題について。

えっ、普通の電球じゃないの。さすがにLEDとか蛍光灯はないでしょうけどさ。
白熱電球ならあるでしょ。



みんな知ってるエジソン(アメリカ)とかが1880年ごろから実用白熱電球を開発してるよね!
だから一応1900年現在では最新技術として存在するわ。

その可能性もなくはないけど、まずはこの場面の状況を考えて、「electric lamp」がどこに設置されてるかを考えることね。

いまはリッちゃんが帰宅してる途中だったから、屋外だよな。

そうそう。きっと、通りにたくさん並ぶ屋外の街灯のはず。
(下写真はイメージ)


ということで、これは「アーク灯」(アークライト)の可能性が高いわ。
白熱電球の一世代前(19世紀後半~20世紀初頭)、屋外照明に広く使われた電灯の一種ね。
白熱電球の実用化が始まったといっても、街灯が白熱電球に置き換わるのは1920年ごろだから、1900年ごろではおおむねアークライトだったはずよ。


それにしても「アークライト」って中二病ワードだよな

ドイツ語だと「ボルゲンリヒト」だぞ。
…英語の方がいいかな。

ともあれこのころのアークライトは、空気中で炭素棒間に高電圧をかけて、放電させて光を得るっていう仕組みね。「アーク放電」とか「アーク溶接」っていう言葉に使われてる「アーク」と一緒よ。

アークライトも電気をつかうから、「electric lamp」に分類されますよ。
そのほか詳しくアークライトについて知りたい人は、以下のリンクが良かったです。
https://edisontechcenter.org/ArcLamps.html


ともあれ、「電灯」は結構最近のもので珍しいってことね。
基本的にまだこの時代はガス灯も広く使われてたんだしさ!
(ガス工場はこのために作られたんだよね)
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
But the trouble was the blank* incongruity* of this serenity* and the swift death 〈flying yonder*〉, 〈not two miles away〉. There was a noise of business from the gasworks*, and the electric lamps were all alight*. I stopped (at the group of people).
1. 茶色のtroubleの意味は「困ったこと」「問題」とかという意味。「心配」「骨折り」はちょっと合わないかも。
2. 赤のandが繋いでるものは、2つのSV(文)ですね。
全訳
でも、こういう穏やかな感情と、2マイルも離れていない向こうで素早く死が飛び交っている情景がまったく一致していないのが気持ち悪かった。ガス工場から仕事の騒音が聞こえてきて、すべてのアークライトが灯っていた。人が集まってるところでわたしは立ち止まった。

「至極普通のアークライト」っていう森羅万象さんの素敵な音楽があってね。
聴いたらアーク灯のイメージがつかめるかも。
入ってたCDは「エイセイパレード」とかだったかな。名盤でだいすき。

毎度毎度、他ジャンルに踏み入るのに遠慮のないことで。

ただでさえ『宇宙戦争』とGuPを混ぜてるんだから、もうここまで来たら開き直るしかないじゃない。2つ混ぜるのも3つ混ぜるのも一緒よ。清一色は成立しないんだから。
第7章 第9段落 (第93話)

今回は久しぶりに会話文が出てくるわ。
くだけた文体になってるから注意ね。
問題編
“What news from the common?” said I.
There were two men and a woman at the gate.
“Eh?” said one of the men, turning.
“What news from the common?” I said.
“Ain’t yer just been there?” asked the men.
“People seem fair* silly* about the common,” said the woman over the gate. “What’s it all abart?”
“Haven’t you heard of the men from Mars?” said I; “the creatures from Mars?”
“Quite enough,” said the woman over the gate. “Thenks”; laughed all three of them.
I felt foolish and angry. I (could,what,and,not,tried,them,I,found,I,tell) had seen. They laughed again at my broken sentences.
“You’ll hear more yet*,” I said, and went on to my home.
fairかなり silly馬鹿者 yetやがて
1. 4箇所の茶色の部分のうち、明確に文法的に誤っているものをすべて選ぶと?
2. 青アンダーラインの部分を書き言葉に直すと?
3. 赤アンダーラインの部分を書き言葉に直すと?
4. 赤マーカーの部分を並び替えると?

イギリス国民の余裕が感じられる一幕ね。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
“What news from the common?” said I.
There were two men and a woman (at the gate).
“Eh?” said one of the men, (turning).
“What news from the common?” I said.
“Ain’t yer just been there?” asked the men. → Haven’t you just been there?
“People seem fair silly about the common,” said the woman over the gate. “What’s it all abart?” → What’s it all about?
“Haven’t you heard of the men from Mars?” said I; “the creatures from Mars?”
“Quite enough,” said the woman over the gate. “Thenks”; laughed all three of them laughed.
I felt foolish and angry. I tried and found [I could not tell them [what I had seen]]. They laughed again (at my broken sentences).
“You’ll hear more yet*,” I said, and went on to my home.
1. 4箇所の茶色の部分のうち、明確に文法的に誤っているものは、最後のlaughed all three of themだけです。第1文型倒置は修飾語が頭に出るMVSじゃないと倒置できない(単にVSというのは無理)ですね。
ちなみに、「”引用文” S V」でも「”引用文” V S」でも文法上は正しいです。第3文型倒置は通常OSVですが、直接話法にかぎって、上のような倒置が成立します。ただ、たいてい、「”引用文” S V」は主語が代名詞のとき、「”引用文” V S」は主語が名詞のときです。
「said I」というように、「動詞+代名詞」の語順は21世紀ではあまり見られません。
なお、直接話法にaskが使われてても、文法上は大丈夫です。基本はsayですが。
2. 青アンダーラインの部分を書き言葉に直すと、Haven’t you just been there?ですね。ain’tは万能な口語英語で、am not, are not, is not, have not, has notのすべてを代用できます。もちろん、口語でしか使ってはいけません。ここでは、後ろに「been」があるので、haven’tだと解釈しましょう。
yerはyouの口語体かなって簡単にわかりますね。
3. 赤アンダーラインの部分を書き言葉に直すと、abartがaboutになるのはわかると思います。「what’s that (all) about?」はCambridge Dictionaryでは「Used when you do not understand why something or someone is so popular or fashionable」と書いてありますから、「何事なの?」「何が面白いの?」あたりでいいと思います。
4. 赤マーカーの部分を並び替えると上のような感じ。ちょっと難しいかな。
全訳
「ホーセル共有地から新しい知らせはありました?」とわたしは尋ねた。その門のところには男が2人、女性が1人いた。
「えっ?」と、振り向きながら男の一人が聞き返してきた。
「共有地から新しい知らせはありました?」とわたしは繰り返した。
「行ってきたわけじゃないでしょ?」とその男は逆に質問してきた。
「共有地にいる人たちなんてよほどの愚者でしょうね。いったい何が面白いのかしら?」と門の向こうの女性が言った。
「火星人のことを聞いていないのですか? 火星から来た生物ですよ?」とわたしは聞いた。
「もう十分よ。ありがとう」と門の向こうの女性が言った。そして3人はみんな笑った。
馬鹿らしくて怒りがこみあげてきた。自分が目撃したものを伝えようとしたが、徒労に終わった。わたしの切れ切れの言葉に、また彼女たちは笑った。
「やがてもっと聞きますよ」と言って、わたしは再び家へ歩きはじめた。

「”(質問文)” said I」みたいな文章があったときは、「~?と言った」じゃなくて、「~と聞いた」「~と尋ねた」などという風に伝達動詞を状況に応じて訳すと自然だな。間接話法だと「asked」に変わるわけだし。

あと、「said I」は、howeverのように、文中に挿入されることがある。上の文にも「common,” said the woman over the gate. “What…」などの例があるけど、このときの赤色の句読点・大文字/小文字に注意だ。
こういう文章を訳すときには、文末か文尾にsaid Iを持ってきた形で訳してあげるとわかりやすいことがあるぞ。
第7章 第10段落 (第94話)

おうちに到着!

本編ではひさしぶりにわたしが出てくるわ。
語り手の奥さんね。
問題編
I startled* my wife at the doorway*, so haggard* was I. I went into the dining room, sat down, drank some wine, and so soon as I could collect myself* sufficiently* I told her the things I had seen. The dinner, which was a cold one, had already been served, and remained neglected* on the table while I told my story.
startleびっくりさせる doorway玄関 haggardやつれて collect oneself心を落ち着ける sufficiently十分に neglect放置する
1. 青のsoの品詞と意味は?
2. オレンジのandが繋いでるものは?
3. 緑のandが繋いでるものは?
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
I startled* my wife (at the doorway*), so haggard* was I. I went (into the dining room), sat down, drank some wine, and 【so soon as I could collect myself* sufficiently*】 I told her the things 〔I had seen〕. The dinner, 《which was a cold one》, had already been served, and remained neglected* (on the table) 【while I told my story】.
1. 青のsoを含む「so haggard was I」について、少なくとも倒置が起こってることは確かですね。21世紀のルールでは、SVCが倒置されるとき、主語が代名詞ならCSVになりますが、ここは19世紀末。まだまだ細かい文法ルールは曖昧な時代です。be accustomed to Vが許されるくらいです(第34話参照)。前段落でも「said I」というのがあったように、まだまだ主語が代名詞でもCVS倒置が許されています。ここら辺、ほんとに19世紀の文章なんだってかんじですね。
ともあれ、それがわからなくたって、soは接続詞の「だから」っていう意味じゃないとわかりますし、まして「So was I」の倒置にhaggardが割り込むなんてことは意味上も文法上もありえないので、haggardにかかってる副詞だなってわかります。意味は「それほど」ですね。soは「そう」と訳すといいときがよくあります。
※そうそう、この文の接続詞はカンマが代用してます。
2. オレンジのandが繋いでるものは、前後の2文ですね。前半はI went, sat, drankがカンマ(andの代用)が繋いでて1文です。
3. 緑のandが繋いでるものは、been servedとremained neglectedですね。
全訳
わたしは玄関で妻をビックリさせちゃった。それほどわたしはやつれてたんだ。わたしはダイニングルームに入り、席につき、ワインを飲んだ。そして十分に落ち着くとすぐに、見たものをターちゃんに話しはじめた。夕食は冷たいものだったが、既に出されていた。でも、わたしが話してる間、テーブルの上に放置されたままだった。

イギリスのめしはまずいらしいな。
イタリアに来いよ。こっちはうまいぞ(地中海性気候)

※なおイギリスの食べ物がこちら

食べられればなんでもいいのよ。

だからこんな料理(↓)になるわけだ。


さすがにこんなのはないわよ…。
第7章 第11段落 (第95話)

奥さん(GuPダー様)との会話シーンだ。
問題編
“There is one thing,” I said, to allay* the fears I had aroused*; “they are the most sluggish* things I ever saw crawl. They may keep the pit and kill people who come near them, but they cannot get out of it. . . . But the horror of them!”
“Don’t, dear!” said my wife, knitting her brows* and putting her hand on mine.
“Poor Ogilvy!” I said. “To think* she may be lying dead there!”
My wife at least did not find my experience incredible*. When I (deadly* white, her, was, face, saw, how), I ceased* abruptly*.
“They may come here,” she said again and again.
I pressed* her to take wine, and tried to reassure her.
“They can scarcely move,” I said.
allay鎮める arouse起こさせる・かきたてる sluggishのろのろした crawl這う knit one’s brows眉をひそめる(≒frown)(to frown because you are thinking carefully, or because you are angry or worried(←今回はこれ)) To think~とは!(感嘆文に近い) incredible(<in+cred+ible)信じられない deadly死人のような(deadly whiteで「蒼白」くらい) ceaseやめる abruptly唐突に press O to V:OにVするよう強いる reassure(<re+assure)安心させる
1. 緑のtheyが指しているものは?
2. 赤アンダーラインの部分(だけ)の文型表示は?
3. 紫のandが繋いでるものは?
4. 赤のandが繋いでるものは?
5. 灰色のfindの意味は?
6. 青アンダーラインの単語を並び替えると?
7. ピンクのandが繋いでるものは?

久しぶりだから忘れてるかもしれませんが、「pit」というのは火星人の宇宙船が着陸してできたクレーター・穴のことですよ。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
“There is one thing,” I said, (to allay* the fears 〔I had aroused*〕); “they are the most sluggish* things 〔I ever saw crawl〕. They may keep the pit and kill people 〔who come near them〕, but they cannot get out of it. . . . But the horror of them!”
“Don’t, dear!” said my wife, (knitting her brows*) and (putting her hand on mine).
“Poor Ogilvy!” I said. “To think* [she may be lying dead there]!”
My wife (at least) did not find my experience incredible*. 【When I saw [how deadly white her face was]】, I ceased* (abruptly*).
“They may come here,” she said (again and again).
I pressed* her to take wine, and tried to reassure her.
“They can scarcely move,” I said.
1. 緑のtheyが指しているものは、もちろん火星人(the Martians)。
2. 赤アンダーラインの部分(だけ)の文型表示は上の通りの第五文型。もともとは「I ever saw the most sluggish things crawl.」の 「see O 原形」で、Oが先行詞となって前に来たからこうなってる感じ。「最上級+(that) S have ever done」(いままでSがVする中で一番~」の変形ですね。
3. 紫のandが繋いでるものは、keep と kill。
4. 赤のandが繋いでるものは、knittingとputting。
5. 灰色のfindの意味は「わかる」「思う」。find O Cの第五文型ですからそういう訳になります。
6. 青アンダーラインの単語を並び替えると上の通り。seeの目的語なので「how 形容詞 S V」の形ですね。「how her face was deadly white」はよくやりがちなミス。
7. ピンクのandが繋いでるものは、pressedとtried。
全訳
「一つ言っときたいんだけど、火星人は今まで見た這うものの中で一番のろいよ。穴を守るために近づく人を殺すけど、自分たちはその穴の外に出られないんだ・・・・ま、でも、火星人怖いよね!」って言って、わたしは妻に与えちゃった恐怖を鎮めようとした。
「やめて、あなた!」と彼女は悲鳴を上げ、恐怖で眉を寄せ、手を重ねてきた。
「かわいそうなオギルヴィ。あそこで死んで横たわってるんだろうね…。」とわたしはつぶやいた。
妻は少なくともわたしの体験を信じてないわけじゃなかった。彼女の顔がすっかり蒼白になっているのを見て、唐突に話をやめた。
何度も何度も「ここに来るかもしれないわ」と彼女が言った。
わたしはワインを取ってくるように無理に頼み、そして妻を安心させようとした。「ほとんど動けないんだってば」と言って。

ダー様ずいぶん慌ててるね!

ダー様は大英帝国の「パクス・ブリタニカ」を疑わないごく普通のイギリス国民だもん。
まったく予期してないことに動揺するのは当然。
…チャーチル歩兵戦車の中で優雅に持ってた紅茶カップがパリーンってなるシーンをイメージしてね。
あと、むしろ冷静な西住さんの方がおかしいわ。イギリス国民じゃないみたい。
第7章 第12段落 (第96話)
予備知識

…「cope」(コープ)は聖職者が着る大きなマントのこと。



魔法使いが使うマントみたいね。
さて、次に新聞は1900年現在、主要なメディアよ。都市人口の急速な増加と交通網の発展に伴って、新聞によって情報が素早く伝達されるようになって、発行部数も伸びてきたの。同時に世論形成にも大きく影響するようになったわ。
まず「The Times」は1785年創刊の、歴史ある保守系新聞よ。21世紀でも発行を続けているわ。


アメリカの雑誌「TIME」とは関係ないから注意してね!
(↓写真はイメージ)


つづいて「The Daily Telegraph」は第10話にも出て来たけど、1855年創刊の保守系新聞。こちらも21世紀でも発行を続けているわ。


それじゃ、次にちょっと簡単な理系の話ね。
火星は小さかったりするから、地球で体にかかる重力は、火星の3倍くらい(重力加速度が3倍)。
国際宇宙ステーション(無重力)では重力がないから、何もしないと筋肉がなくなっちゃう(それを防ぐために宇宙飛行士は筋トレを毎日してるんだけどね)。
逆に言えば、火星人が地球に来たら、普段の3倍の重力がかかって、筋肉が弱すぎて動けないはずなのよ。そんなことが以下に書いてるわ。
問題編
I began to comfort* her and myself by repeating all that Ogilvy had told me of the impossibility of the Martians establishing themselves* on the earth. In particular I ( ) stress on the gravitational* difficulty. On the surface of the earth the force of gravity is three times what it is on the surface of Mars. A Martian, therefore, would weigh three times more than on Mars, albeit* his muscular* strength would be the same. His own body would be a cope* of lead* to him, therefore. That, indeed, was the general opinion. Both The Times and the Daily Telegraph, for instance, insisted on it the next morning, and both overlooked*, just as I did, two obvious modifying* influences.
comfort(<comfortable)励ます・安心させる establish oneself 体を立てる gravitational(<gravity+ation+al)重力の albeitたとえ~でも muscular(<muscle)筋肉の copeコープ lead鉛 overlook見落とす modify修正する
1. オレンジのofがかかってる語は?
2. 赤アンダーラインを名詞構文で訳すと?
3. 紫のカッコ内に入る動詞(過去形)1語は?
4. ピンクのitは何を指す?
5. 緑のthatは何を指す?
6. 赤のitは何を指す?
7. 茶色のbothは何を指す?
8. 灰色の代動詞didが指すものは?
9. 青の「modifying」とあるけど、何をmodify(修正)するの?

「albeit」は読み方「アルベイト」じゃないぞっ(それだとドイツ語みたいだな)。
成り立ちが「all+be+it」だから、「オールビーイット」だ。
意味は「~にもかかわらず」がメイン。even thoughなどと書き換えられるぞ。
ちょっと文法的には違うけど、「all the same」と雰囲気は似てるかな。

all the sameは副詞、albeitは接続詞ですし。
あと読み方注意なのは「lead」ですね。「鉛」という意味のときは「レッド」です。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
I began to comfort her and myself (by repeating all 〔that Ogilvy had told me (of the impossibility of the Martians establishing themselves* (on the earth))〕). (In particular) I laid stress on the gravitational* difficulty. (On the surface of the earth) the force of gravity is three times [what it is on the surface of Mars]. A Martian, 《therefore》, would weigh three times more than on Mars, 【albeit* his muscular* strength would be the same】. His own body would be a cope* of lead* to him, (therefore). That, 《indeed》, was the general opinion. Both The Times and the Daily Telegraph, 《for instance》, insisted on it (the next morning), and both overlooked*, 《just as I did》, two obvious modifying* influences.
1. オレンジのofがかかってる語は、toldですね。「tell A of B」で「BをAに話す」です。ここの of は、ほぼ about と同じです。ofだから名詞にかかっていると思いがちですが、動詞にかかるパターンは 「know of」や「make of」など意外と結構あります。
2. 赤アンダーラインを書き換えると、It is impossible for the Martians to establish themselves on the earth.となりますね。of the Martians establishingのthe Martiansがestablishingの意味上の主語ということに気をつけましょう。
3. 紫のカッコ内に入る動詞(過去形)1語は、laid/placed/putのどれかですね。lay[place][put] stress[emphasis] on で「~を強調する」(≒emphasize, stress)です。
4. ピンクのitは、the force of gravityです。whatが使われてますけど、three timesもありますし、比較の構文ですよね。
5. 緑のthatは、3文目(On the surface…)~5文目(…lead to him, therefore)の内容です。
6. 赤のitは、the general opinionです。
7. 茶色のbothは、The times and the Daily Telegraphです。
8. 灰色の代動詞didが指すものはoverlookedです。新聞も「わたし」も見落としてたってところです。
9. 青の「modifying」は、「the general opinion」(重力がでかすぎて動けない)を「修正する」ということですね。このtwo obvious modifying influencesの具体的説明は次段落です。
全訳
火星人が地球で体を直立させることは不可能だ、ということについてオギルヴィが言ったことをひたすら繰り返し、自分自身と妻を励まし始めた。特に、重力の大変さを強調した。地球上では、重力は火星の3倍だ。だから火星人は、筋力が変わらないとしても、火星より3倍体重があることになるだろう。ということで、火星人はきっと体が鉛のマントのように感じられるはずだ。実際、そういうことが一般的な見解だった。
たとえば、「タイムズ」紙と「デイリー・パラグラフ」紙はどちらも次の日の朝刊でそう主張した。でも、わたしとまったく同じく、両紙は2点の明らかな修正因子を見落としていたのだ。

therefore、for instanceとか、文全体を修飾する語句が文中や文末に挿入されてるときは、文頭に持ってきて訳すんだったよな。
第7章 第13段落 (第97話)

こちらが地球と火星の大気組成の比較ですよ。


たしかに、地球で生命に欠かせない酸素は火星にはほとんどなくて、ほとんど二酸化炭素の大気だ。あとアルゴンがちょっと多いのか。

さて本文だけど、第1文目のwhicheverのカッコは原文からついてたよ!
問題編
The atmosphere* of the earth, we now know, contains far more oxygen* or far less argon* (whichever way one likes to put it) than does Mars. The invigorating* influences of this excess* of oxygen upon the Martians indisputably* did much to counterbalance* the increased weight of their bodies. And, in the second place*, we all overlooked* the fact that such mechanical* intelligence* ( ) the Martian possessed* was quite able to dispense with muscular* exertion* at a pinch*.
atmosphere大気 oxygen酸素(O2) argonアルゴン(Ar) invigorate(in+vigor+ate)活性化する excess超過 indisputably(in+dispute+able+ly) 明白に counterbalance(<counter+balance)相殺する in the second place次に overlook見落とす mechanical機械に強い intelligence知性 possess持つ muscular筋肉の exertion努力 pinchピンチ・困難
1. 青アンダーラインの部分で文法的に誤っている箇所はどこ?
2. 紫のカッコ内に入る単語一語は?
3. 緑のdispense withの同義語句は?

なあ、思うんだけど、この段落の文おかしくねぇか?
「this excess* of oxygen upon the Martians indisputably* did much to counterbalance* the increased weight of their bodies」(「酸素が大量にあるから反応が活性化して、火星人が強化され、重力の影響も相殺された」)ってあるけど、そもそも酸素が0.1%くらいしかない火星で、火星人は酸素を必要としたんだろうか?

むしろ、「嫌気性細菌」ってのがあるし、何なら地球で酸素が誕生したときには大量絶滅が起こったそうじゃないか(参考https://inochinokagaku.life-is-long.com/breath-master01/)。酸素って酸化しちゃうしさ。
だから逆に、火星人が酸素を吸ったら死ぬんじゃね?

十分ありえるかも。
ただ、どうやらこの世界線で火星にはまだ海が存在してる(第4話)わけだし、ちょっと現実の火星と違うみたいなの。CO2の話でさえ、どこにもないわ。
まあ、物語だからおおめに見てあげましょう。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
The atmosphere* of the earth, 《we now know》, contains far more oxygen* or far less argon* (whichever way one likes to put it) than does Mars’. The invigorating* influences 〈of this excess* of oxygen〉 〈upon the Martians〉 (indisputably*) did much to counterbalance* the increased weight of their bodies. And, (in the second place*), we all overlooked* the fact [that such mechanical* intelligence* 〔as the Martian possessed*〕 was quite able to dispense with muscular* exertion* (at a pinch*)].
1. 青アンダーラインの部分で文法的に誤っている箇所は、最後の「Mars」ですね。「Mars’」と所有格にするのが正しいです。比較しているのは火星の大気と地上の大気。だから「The atmosphere of the earth」と「the atmosphere of Mars」を比べないといけませんね。後者は繰り返しなので、「that of Mars」または「Mars’」としてあげればOK。
「The climate of London is colder than that of Tokyo.」のような例文を思い出しましょう。
ちなみに、than や asの後のSVは本文のように倒置されることがあります。これは文法的にOKです。
「whichever way one likes to put it」ですが、「put it」はここでは「言う」「述べる」などという意味かな。直訳すると「どちらの方法で言いたいにせよ」。「酸素が多い」という言い方と「アルゴンが少ない」という言い方は、どちらも同じ意味をあらわしてるので、whichever way以下で「どっちの言い方でもいいですよ」ということを言っています。
2. 紫のカッコ内に入る単語一語はas(関係代名詞)。「such~as S V」(SVするような~)ですね。ここで関係代名詞のwhich/thatは使わないです。thatならsuch~that構文になっちゃいますし。
3. 緑のdispense with≒do without。よく出てきますね。despise(軽蔑する≒look down on)とdispenseは綴り間違いが多いので注意。
全訳
知っての通り、地球の大気は火星より酸素がはるかに多く、アルゴンがはるかに少ない(どちらの言い方をしてもかまわない)。酸素が過剰にある影響で火星人は活性化し、増加した体重の影響を十分相殺した。そして次に、火星人のように機械に明るい知的生命体は、困難な時に筋肉を使わなくてもまったく問題なく動けるということを、わたしたちはみんな見落としていた。

最後の「機械に明るい火星人は筋肉を使わなくていい」っていう文は、自力で歩けなくたって、ロボットに乗り込めばいいってことを言ってるわ。
火星人は、以下の表紙の絵のような「トライポッド」に搭乗して戦闘するんだったわね。
もうすぐ小説本編で登場するわ。

第7章 第14段落 (第98話)
予備知識

「shell」は「貝殻」だけじゃないよ!
戦車・迫撃砲とかの「砲弾」も指すからね!



「Easter Eggs for Hitler」(左写真下)かぁ(第二次世界大戦中の写真)。
これらの砲弾は「155mm shells」とのこと。155mm榴弾(HE)は21世紀でも主流の榴弾だな。

さて、そういう「shell」を発射する、1900年ごろのイギリスの兵器について見ていきましょ。
もちろん、戦車はないから、大砲とかのいわゆる「野戦砲」よ。

まず、そもそも大砲は最初は攻城兵器だよね。だんだん、人に当てても強いじゃんって思われてきて、野戦砲として対人兵器運用が行われるようになったの。

ナポレオンは野戦砲を効果的に用いたことで有名ですよね。ナポレオン戦争以来、陸軍の主火力は野戦砲でした。第1次世界大戦は戦車とか潜水艦とかの新兵器に目が向きがちですけど、半分以上の死傷者は野戦砲によるものですからね。
野戦砲にはいくつか種類があります。1900年当時は以下のような砲がありました。
①「cannon (gun) (field gun) 」:「大砲」や「カノン砲」「野砲」って呼ばれるものです。砲身が長く、仰角が小さくて、ほぼ水平に弾が飛んでいきます(平射砲)。敵を視認して、直接攻撃を行うのがメインです。機動性があります。
②「howitzer」(読みは「ハウザー」):「榴弾砲」です。砲身はそこまで長くなく、砲の仰角を上げて、曲げて撃ちます(曲射砲)。相手の姿が見えず、位置を計算して間接攻撃するのがメインです。機動性はあまりないです。
③「mortar」:「迫撃砲」です。射程が短く、大きく曲射する砲です。カノン砲や榴弾砲が攻撃するのが難しい、高地や塹壕内にいる敵を標的にします。第一次世界大戦(塹壕戦)になって積極的に使われるようになりました(1900年ごろは不人気です)。
なお、直接射撃の危険性が増したり、技術が進歩したりしたので、カノン砲と榴弾砲の区別は徐々に消えていきました(たいていの砲が直接射撃も間接射撃もできるようになったこともあります)。
以下の図が参考になると思います。


さて、砲の区分がわかったところで、英国陸軍の砲兵の区分を見ていこうかしら。
英国陸軍において砲系を担当するのは「Royal Artillery」(RA)(王立砲兵)。これは一応「regiment」(連隊)だけど、部隊単位というよりは、砲系を担当する各部隊の上位機関ね。
そして、Royal Artilleryには部隊が3つ所属しているわ。①RHA、②RFA、③RGAよ。これらも一応「regiment」だけど、各旅団の一つ上の機関ね。


こないだの図も再掲しておくぞ。


ここら辺の部隊単位はややこしくて頭が痛くなるけど、砲兵はRA > RHA/RFA/RGA > 旅団(≒大隊)> 中隊 という階層構造を理解してもらえればOK。だいたい戦場では「中隊」が行動単位となるわ。

さて、まずはこの小説(第12章)でも出てくる「RHA」ね。RHAは「Royal Horse Artillery」(王立騎馬砲兵)の略よ。
名前の通り、兵士は全員馬に乗っているわ(もちろん、野戦砲は馬で運搬するのが原則よ)。
さらに、軽めの野砲を使うから、Royal Artilleryの中で最も迅速に展開・砲撃・転進ができるのがRHAよ。


ちなみに、騎兵部隊が機甲部隊になったように、RHAも機械化されて、自走砲を管轄する部隊になるんだ。21世紀ではAS-90が有名だな。戦車と自走砲は運営部署が違うことに注意してくれ。


つづいて②「RFA」は、「Royal Field Artillery」(王立野戦砲兵)の略よ。RHA/RFA/RGAの中で最大の規模ね。
こちらはRHAほど展開が速くないかわりに、RHAの砲より大きい中型砲・榴弾砲を運んでいたようね。みんな馬に乗ってたわけじゃなくて、歩いたり、馬車の荷台に乗ったりした人もいたみたい。


なお、馬の時代が終わると、RFAは車両で牽引する榴弾砲を担当するようになったわ。


最後に③「RGA」は「Royal Garrison Artillery」(王立駐屯砲兵)ね。その名の通り、駐屯地に固定されているような陣地砲や海岸砲をメインに、重砲などのほとんど動かない巨大な大砲を担当したわ。だから機動性はほぼゼロよ。
WWⅠ(巨砲戦争)が終わるころには大型砲の役割が失われてきた上、仕事内容がRFAとあまり変わらないこともあって、1920年代にRGAはRFAに統合されたわ。


さて、そろそろ小説本編に寄せていこうかな。
この小説が書かれたのは1898年で、小説中の時代設定は1905~1910年くらいだけど、1899年~1902年の間、ちょうど第2次ボーア戦争(南アフリカで起きたイギリスとブール人との戦争)が起こってるの。
だから、第2次ボーア戦争で投入された兵力・兵器が、この物語でも使われていると考えていいわね。

第2次ボーア戦争で王立砲兵(RA)からは、総計約2万人の兵士が出撃したとのこと。
RHA – 10 Batteries(王立騎馬砲兵10個中隊)
RFA – 25 Batteries including 6 Howitzer Batteries(王立野戦砲兵25個中隊、うち6個中隊は榴弾砲)
RGA – 2 Mountain Batteries and 15 companies(王立駐屯砲兵15個中隊、2個山岳中隊)
が動員されたそうよ。
※以上の内容の出典はこちら
※南アフリカは高地のため、特殊訓練を受けた山岳中隊(Mountain Batteries)が動員されたわ。
※RGAでは山岳中隊を除いて、中隊は「company」と呼ばれるの。ここもややこしい…

中隊は全部で50個ほど。各中隊に5~10門の野戦砲が配備されてると考えると、300~500門くらいは投入しているということだな。

ちなみに、海軍砲も、まだこのころは陸上で使うこともあったのよ。
第2次ボーア戦争では、以下の写真のように、普通に車輪をつけて巨砲にしたり、列車に乗せて列車砲にしたり。



第2次ボーア戦争はひとつイギリスの常識を変えた戦争でもあったんだ。ゲリラ戦が行われたり、鉄道や電信が積極的に使われるようになったり。
もし第2次ボーア戦争がなかったら、第1次世界大戦の結果は変わっていたかも。

とはいっても、RHAに代表されるように、まだまだ動力として昔ながらの馬力に頼っていたのは事実。騎兵だってまだ存在してたし(そろそろいなくなるけど)。
実に35万頭もの馬が亡くなったようね。かわいそうに。

それではようやく本文ですよ。
1文目の「these points」は前段落参照。火星人が酸素と機械のおかげで強力に動けるってことですね。
問題編
But I did not consider these points at the time, and so my reasoning* was dead* against the chances of the invaders*. With wine and food, the confidence* of my own table*, and the necessity* of reassuring* my wife, I grew by insensible degrees* courageous* and secure*.
“They have done a foolish thing,” said I, fingering* my wineglass. “They are dangerous because, no doubt, they are mad with terror. Perhaps they expected to find no living things—certainly no intelligent living things.”
“A shell* in the pit,” said I, “if the worst comes to the worst*, will kill them all.”
reasoning推理 dead否定的な・先がない invader侵略者 confidence信用 table食事 necessity必要性 reassure安心させる by insensible degreesきわめて徐々に courageous勇敢な secure安心した finger触る shell砲弾 if the worst comes to the worst最悪の場合
1. オレンジのandが繋いでるものは?
2. 青アンダーラインの部分の文型表示は?

火星人は穴(pit)(≒塹壕)にいると考えると、榴弾砲で曲射すればいいかしら。
火星人が使うレーザー砲は当然、まっすぐにしか進まないから、間接射撃の榴弾砲だと反撃される危険性も低いわね。
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
But I did not consider these points (at the time), and so my reasoning* was dead* (against the chances of the invaders*). (With wine and food, the confidence* of my own table, and the necessity* of reassuring* my wife), I grew 《by insensible degrees*》 courageous* and secure*.
“They have done a foolish thing,” said I, (fingering* my wineglass). “They are dangerous because, 《no doubt》, they are mad with terror. (Perhaps) they expected to find no living things—certainly no intelligent living things.”
“A shell* 〈in the pit〉,” said I, “《if the worst comes to the worst*》, will kill them all.”
1. オレンジのandが繋いでるものは、wine and food, the confidence, the necessityでしょうか。
2. 青アンダーラインの部分の文型表示は上の通り。I grew courageous and secureの第2文型です。「grow C」(だんだん~になる)がまた出てきましたね。
全訳
でもそのときはこれらの点をよく考えなかった。だからわたしは、侵略者に可能性はないだろうと推測した。ワインと食べ物があり、自分の食事がしっかりしてるのを見たうえ、妻を安心させる必要を感じたので、ほんの少しずつだが勇気と安心感が出てきた。
ワイングラスを回しながらこう言った。「火星人もばかなことするよね。ぜったい恐怖で狂ってるから危険だよ。きっと、生き物なんていないはずだって思ってたんだろうね。まして知的生命体なんて絶対いないはずだって」。そして「最悪、あの穴に砲弾を叩きこめば全滅させられるよ。」と言った。

ボーア戦争はまさにこの宇宙戦争同様、平和ボケしていたイギリス国民を目覚めさせるひとつの大きなきっかけになったわ。
第7章 第15段落 (第99話)

そういえばまほちゃん、仕事は社会学者とかだったっけ。

まあ、そこらへん。中二病っぽく言えば哲学者だ。

なるほど、「even philosophical* writers had many little luxuries*」ってのは、最盛期の大英帝国の国民なら、哲学とかやってても贅沢品をそろえられるほど、大英帝国が栄えてたよ、っていうことを表してるのね。
問題編
The intense* excitement of the events had no doubt left my perceptive* powers in a state of erethism*. I remember that dinner table with extraordinary* vividness even now. My dear wife’s sweet anxious face peering* at me from under the pink lamp shade, the white cloth with its silver and glass table furniture—for in those days even philosophical* writers had many little luxuries*—the crimson-purple* wine in my glass, are photographically* distinct*. At the end of it I sat, tempering* nuts with a cigarette, regretting Ogilvy’s rushness, and denouncing* the short-sighted* timidity* of the Martians.
intense激しい perceptive知覚の・明敏な erethism異常興奮 extraordinary異常なほど peer見つめる philosophical哲学の luxury贅沢品 crimson-purple赤紫 photographically写真のように distinctはっきりしている temper和らげる・調節する denounce非難する short-sighted近視眼的な timidity臆病さ
1. オレンジのandが繋いでるものは?
2. 青のforの品詞と意味は?
3. 緑のareの主語は?
4. 青アンダーラインの部分でスペルが誤ってる単語は?
5. 赤のandが繋いでるものは?
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
The intense* excitement of the events had 《no doubt》 left my perceptive* powers (in a state of erethism*). I remember that dinner table (with extraordinary* vividness) (even now). My dear wife’s sweet anxious face 〈peering* at me (from under the pink lamp shade)〉, the white cloth 〈with its silver and glass table furniture〉《—for (in those days) even philosophical* writers had many little luxuries*—》the crimson-purple* wine 〈in my glass〉, are photographically* distinct*. (At the end of it) I sat, (tempering* nuts with a cigarette), (regretting Ogilvy’s rashness), and (denouncing* the short-sighted* timidity* of the Martians).
1. オレンジのandが繋いでるものは、silverとglassですね。材質を表しています。silver table furniture(=銀食器)、glass table furniture(=ガラス食器)。
2. 青のforの品詞は接続詞。「~というのは~だからだ」。何回もやりましたね。
3. 緑のareの主語は、My dear wife’s sweet anxious face, the white cloth, the crimson-purple wine の3つですね。主語がとてつもなく長いので、主語をそれぞれ文として訳して、areからは「~そのようなものは写真のようにはっきりしていた」と続ける訳し方でもいいかもしれません。
4. 青アンダーラインの部分でスペルミスしてる単語は、「rushness」ですね。正しくは「rashness」です。「急ぐ」=「rush」ですが「軽率な」=「rash」です。気をつけましょう。
5. 赤のandが繋いでるものは、tempering, regretting, denouncingの3つのingです。
全訳
一連の出来事に激しく刺激を受けていたおかげで、間違いなく、過剰興奮状態においても物事をはっきりと知覚する力が残っていた。いまでも異常なほど鮮やかにあの夕食のテーブルを覚えている。大好きな妻の不安げなかわいい顔はピンクのランプシェードの下からわたしを見つめていた。白いテーブルクロスの上には銀とガラスの食卓の調度品が乗っていて(というのも当時は哲学者でも多くの小さな贅沢品を持ってたのだ)、わたしのグラスに深い赤紫のワインがついであった。そういう様子を写真のようにはっきり覚えている。最後にわたしは席につき、たばこでナッツの味を和らげながら、オギルヴィの軽率さを悔やむとともに、火星人の短絡的な臆病さを非難した。

第1文「The intense* excitement of the events had no doubt left my perceptive* powers in a state of erethism*」は、書き換えれば「Since I had been excited intensely at the events, I perceived the things around me powerfully even in a state of erethism」みたいな感じかな。これまであまりに刺激を受けすぎてたせいで、かえってはっきり覚えてるってことだろうか。

最後の「the short-sighted* timidity* of the Martians」(火星人の短絡的な臆病さ)っていうのは、わたしたちが火星人と交渉しようとしたときに、火星人が勝手に人間を敵だと思い込んで攻撃したことを指してますね。

まあ、これは語り手のリッちゃんの見解だからね。
火星人から見たらまた別の論理があるのよ。
第7章 第16・17段落 (第100話)

とうとう第7章の最後で、同時に第100話到達!
これで全体の1~2割かな。まだまだ先は長いぞ。

さて、ドードーのことはみんな知ってるよね!
17世紀に絶滅しちゃった飛べない鳥。


生息地のモーリシャス島はマダガスカル沖。ドードーの絶滅当時はオランダ領ですね。

問題編
So some ( ) dodo* in the Mauritius* might have lorded* it in his nest*, and discussed the arrival of that shipful* of pitiless* sailors* in want of* animal food. “We will peck* them to death tomorrow, my dear.”
I did not know it, but that was the last civilised* dinner I was to eat for very many strange and terrible days.
dodoドードー Mauritiusモーリシャス島 lord威張る nest巣 shipful船いっぱいの pitiless無慈悲な sailor船員 in want of必要として peck(鳥が)くちばしでつついて攻撃する civilised(<civil+ise+ed)文明的な
1. オレンジのカッコ内に入る「社会的にはちゃんとした・まともな」という意味の「respect」の派生語は?
ヒント:respectable / respectful / respective のどれか。
2. 赤のandが繋いでるものは?
3. 青のitが指しているものは?
4. 茶色のbe toの用法は?
5. この段落で、「イギリス国民」と「火星人」が例えられているのはそれぞれ何?

似たような話が第6話であったけど、それより皮肉が強い段落だね!
解答編
<英文解釈記号ルール>
〔〕→関係詞句・節
【】→接続詞句・節
《》→挿入句・節
[ ] →名詞句・節
()→副詞句・節
〈〉→形容詞句・節
So some respectable dodo* 〈in the Mauritius*〉 might have lorded* it in his nest*, and discussed the arrival of that shipful* of pitiless* sailors* in want of* animal food. “We will peck* them to death tomorrow, my dear.”
I did not know it, but that was the last civilised* dinner I was to eat for very many strange and terrible days.
1. オレンジのカッコ内に入る「社会的にはちゃんとした・まともな」という意味の「respect」の派生語は「respectable」。-ableは受身を表すことを覚えておくと、「尊敬される」=「立派だ」となるので覚えやすいですね。respectfulは「尊敬している」、respectiveは「それぞれの」です。
2. 赤のandが繋いでるものは、lordedとdiscussedです。
3. 青のitが指しているものは、その後の文章(but that~terrible days)です。I didn’t know it, but…で、「そんなこととは知らなかったが…」みたいな感じでしょうか。
4. 茶色のbe toの用法は、可能か運命でしょう。「食べられる」か「食べることになる」です。個人的には可能な気がします。
5. この段落で、「イギリス国民」は「ドードー」(dodo)、「火星人」は「船員」(pitless sailors)ですね。
全訳
それで、外面は立派なモーリシャスドードーは家では威張ってて、動物の食料を求めてる船いっぱいの無慈悲な船員の到着について話したのかもしれない。「明日にはやつらをクチバシでつついて殺してやるさ、おまえ。」
これが、長い長い奇妙で恐ろしい日々の、最後の文明的な食事だったとは、そのときは知る由もなかった。

ひとつ聞いていいか?

なに?

この段落ではドードーがイギリス国民、船員が火星人ってことだよな。

だなっ。

書きなおしてみると「外面は立派なイギリス国民は自国では威張ってて、食料を求めてる多数の無慈悲な火星人の到着について話したのかもしれない。」ってなるぞ。たしかドードーは人間の食料となってたよな。
ということは…まさか…火星人は…

ふふっ。
ともあれ、この夜が「文明的な最後の食事」。
第8章から、さらなる絶望と恐怖の物語がはじまっていくわ。


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